迷宮で出会ったムチムチ爆乳瀑尻小柄少女と仲良くなるまで(第九話) (Pixiv Fanbox)
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地下九階に続く階段を降りた先には八階と同じ青灰色の壁と天井が作る長い通路、真っ直ぐ続く壁には炎熱を放つ掌大の赤い輝石を掲げる巫女を象った彫刻が等間隔に立ち並び、奥から吹き付ける真冬さながらの冷気を暖め続けていた。
「……向こうに、大きな反応があります。た、多分……封印を解かれた魔物だと思います」
四人を心地よく照らす赤い光の中、ロロは奥に敷き詰められた暗闇を指差して目を瞑りながら一歩ずつゆっくりと前に歩を踏み出し、ジェイサグも響きが小さくなり始めた足音を追う。
進むにつれて背中に届く輝きが弱まり、同時に寒気もあからさまに。壁や床には早くも氷の白……踏み締められた地面も薄板を割るような音を数歩向こうへと走らせる。
「まだここに残ってたのか……追いかける手間が省けたけど、結局あの話は何だったんでしょうね?」
「うーん、実体がないって聞いたけど、オウグリメルドみたいに段々と大きく広がっていくような魔物なんじゃない?」
左隣を歩くティルリエナが「ごめんね、滑るから」と小さく呟きジェイサグの腕を掴んだ。傾きかけた細身の上体も支えを持つことで直立の姿勢と規則正しい歩幅が、歯を見せない優しげな笑顔とともに取り戻された。
「確かに、それだと上の階が寒かったのも…………もう、大丈夫?」
続けて斜め右前でロロを庇うようにミムレスが口を開くが、話の途中で鼻に擽ったさを覚え大きなくしゃみを一つ飛ばす。着衣さえ凍らせんばかりの寒さが剥き出しの肌を舐る様を改めて実感しながら、ジェイサグは鼻を啜りながら霜を角から中心へ走らせている天井を仰いだ。
「ああ、悪い……ミムレスこそ、大丈夫か?」
「…………平気よ、このくらい」
垣間見えた頬には寒さ故の紅、だが上ずりを帯びた声を挟むと目の前には歩調に応じて跳ねる紫の髪と耳の裏……どうしたんだと出始めた言葉は二度目のむずつきと寒気に縮こまる両肩に阻まれ喉奥へと引き下がった。
「この扉を開ければ…………」
続く黒を捉えていた視界の中心が銀に塗り潰された、削られた石にぴったりと嵌まるアーチ型の扉は鉄製なのか四隅には赤茶色が広がっている。リング状の錆びた取っ手を掴んで押して引いてを繰り返すが、分厚い鉄板はがしゃっと甲高くも重量に満ちた雑音を響かせるばかり。
「ここにも結界が張られてるのかしら?」
「さあな、鍵がかかってるだけなら……ハンマーで思いっ切り叩けば開きそうだけど」
入れ替わるようにミムレスがジェイサグと扉の間に立つ、三人が後ろに下がった瞬間振り上げられたハンマーが扉の合わせ目に強くぶつけられると衝撃で取っ手が持ち上がると同時に右の蝶番が外れて地面に転がり、指一本分はあろう厚手の鉄板が奥に倒れて雪の中へと埋もれた。
「すごい……ですね」
「ま、まあこの程度なら…………っ、何よこれ、ううっ」
突風めいた冷気が頬に突き刺さる、歩に躊躇いすら覚える強い痛みが両脚をぎこちなく強張らせるが、目指すべき財宝まではもう少しと氷を彷彿とさせる踝辺りまで積もった固い雪に足跡を刻みながら白朧を立ち上らせた闇の中をゆっくりと歩き始めた。
「入ってきてほしくないみたいだね、これだと見つけるの大変かも」
正面と左右を取り囲むは無限に続く雪景色、突風が天井まで氷の粒を巻き上げれば鋭く尖った粒が頬を掠め、着衣で体温とは隔てられた鎧や籠手にまで結晶を広げていく。
「寒いな…………魔物はどの辺りにいるんだ?」
「……ごめんなさい、わかりません……この部屋、すごく広くて。それに雪が…………」
「さすがにこれだと……ちょっと待ってて」
敵の居場所を探る緑色に光る球体は、手を伸ばせば届きそうな位置で周囲をぐるぐると回っていたが、風と雪に嬲られ続けて最後には姿を消した。背中には倒れた扉……後ろ手で裏腿の辺りを撫でるミムレスと視線がぶつかり、互いに頷くと身を翻らせるとほぼ同じタイミングで額と頬に熱が蘇る。
「吹雪が……さすがティエナさんですね、助かりました」
頭上を起点として半球状に四人を包む赤い光、薄いヴェールは熱を帯びているのか狙いを定めたようにまっすぐ降り注ぐ冷たい破片は淡赤に触れた先から雫と化して積もった白へと伝い落ちて新たな氷を積もらせた。
「ロロ……今度はどう、わかるかしら?」
「…………正面に、段々と近づいてきています」
安堵もあからさまに鎧の白に被さる肩の白を払い落としていたミムレスだったが、続く言葉に唇を結んで前を見据える。視線の先には舞い上がる尖粒の織り成す風切音、だがその中に啜り泣きを思わせる悲しげな声が聞こえ始め、ジェイサグはロロとティルリエナを庇いながら前に立ち剣を掲げた。
耳に届くは、使われる言語とは程遠い奇妙なノイズ。魔物が近づくにつれて声は大きさを増し、吹く風が一つに重なることにより水色のドレスを纏った宙を飛ぶ女性が姿を現した。
白い肌、黒い髪に黄金の瞳……整った顔立ちながらも表情は無く、柄頭に宝玉と羽飾り、下部に鎖を巻いた長杖に双眸を向けたまま雪上に着地する。
「来る…………のか」
剣が届くまで相手との間合いを詰めるジェイサグだが女性が微笑むと杖の先に嵌め込まれた宝玉が白く輝き、両脚も露わにドレスが持ち上がった直後雪嵐を巻き起こす。撃ち出された結晶の行く手を阻むべきヴェールに無数の罅が走り、呼吸を挟む間もなくそれはガラスの割れるような音と一緒に粉と砕け散った。
「逃げてっ、これ以上は保たない!」
鋭い声にジェイサグは助走を付けて右に飛ぶが、背中を、左肘に痛みさえ忘れさせる冷撃の強打をまともに浴び、勢いのまま地面へと倒れ込んだ。
「ジェイサグ! 危ないっ!!」
肘を斬り付け背に突き刺さった氷柱は一枚目の鋼板に穴を開けながらも二枚目に食い止められていた。遠くに聞こえたミムレスの声を支えに、薄れる衝撃の中ジェイサグは立ち上がり、敷き詰められた白の上へ斜めに射たれた頬を切らんばかりの風刃を孕む二撃、三撃を、曲げた右膝をバネに勢い良く転がって避ける。
「こいつ、やりやがったな!」
指一本分後ろには根元まで雪に深く潜る尖氷、ざくっざくっと歩幅も大きく雪を踏み締めて走り斜めから回り込んだジェイサグは、魔物の背後を取ろうと距離を詰めるミムレスに一歩先んじて、体重を乗せた斬撃を右肩目掛けて振り下ろす。
「な……そうか、実体がないって…………」
肉を、骨を断つ手応えは錯覚に留まった、黒刃は肩を斜めに裂いて左の脇腹を通り抜けたものの、目の前には嘲りを明かす歪笑……屈む背中を直立に戻し、右、左と順に後ずさりながら酒場で会った男の言葉を思い出す。
魔法か超法なら……と切っ先を突き出し籠手に守られた左手で上体を庇う構えを維持したまま、背中を炙る赤い熱を消させまいと再び歩を前に間合いを縮めるが、三匹の炎蛇も、煮え滾った鉄さながらに橙を帯びた鎖の群れも魔物の身体にはぶつからず、微かな温の余韻を残しつつ雪原の彼方へと消えていった。
「そんな……超法も効かないなんて、ど、ど……どうしよう」
「馬鹿な、じゃあどうやって………………うわあああああっ!!」
敗北を悟った故か背筋が震える、意志とは無関係に身を反転させるが、白の上に描かれた魔法陣が漆黒に光れば足元の雪は無数の角礫と姿を変えて浮かび上がり、指先よりもやや大きいそれが衝撃波じみた風を伴い豪雨と紛う程に四人の全身へと叩きぶつけられた。
「くっ……ここで、終わりか」
瞑られた目を開けて左右に首を向ければうつ伏せに倒れたミムレス、骨さえ砕くような激痛の内に辛うじて上体を起こし、片膝で立ちながら歯を食い縛り魔物を睨み上げる。
「さすがに、もう……っう、ううっ!」
籠手を、鎧を凹ませた礫を振り払いようやく立ち上がる。掴むべき自らの武器ははるか遠くに……闇を想像させる黒髪を軽く掻き上げながら剣を拾い上げる魔物向かって走り出すが、感覚も失われた左足が縺れて二歩目をよろめかせ、足跡だらけの雪が視界を覆い尽くした。
「――――そう……だ、これは…………ヴァリエン……あ、あああああっ!」
死を覚悟し俯く、だが真紅の宝珠が煌めく剣を氷嵐吹き荒れる天井に翳したところで不意に悲鳴を上げ頬に涙を伝わせる。霧散する敵意に並行して雪は止み風も消えていった。
「わ……たしは何で、確か、あの時……そうだ、何故あなたがこれを?」
「……あいつはその剣を狙って何度も俺達に襲いかかってきた」
薄暮に乗って訪れる澄んだ音色、だが声が耳に届く頃に彼女の姿は消えており、四方には溶け始めた雪と室内を囲むはずの壁をすら覆い隠す深い暗闇ばかり。
「これは、元々ヴァリエンの剣…………ゴルラーズが持つ力の殆どが封じられている。魔物の血さえ吸わせなければ、たとえ本人でも封印を解くことはできなかった、でも…………」
ここに至る道程で数多くの魔物を斬ったことを思い出し、剣を鞘に納める。深く、黒混じりの紅を放つ宝玉は罪の証……生温い空気の中で柄を強く握り締め、唇を噛みながらジェイサグは霙の塊を勢い良く蹴り上げた。
「もう、手遅れってことか」
「……せめて、あなた達の手でゴルラーズを。剣の力があれば、十分に勝てるはず」
「…………祭壇に……蒼白の晶石が、これを使って………………リチェリスの力が……もう、時間がない。財宝に向けられた念が干渉を弱める、奴が地上に出るだけの力を手に入れる前に……今、すぐに……」
「あんたはどうするんだ? 俺は…………」
「二人とも魔物になったのだから、許すも許さないもない。私も全て力を使ってしまった、後は消えるだけ……ヴァリエン、待っててね」
響く声が消えた頃には地面の雪は完全に溶けていた。泥を含み濁った水溜りからは僅かに熱が立ち昇るが、何かを考える前にティルリエナとロロの姿を見失ったことを思い出し周囲の黒向かって目を凝らす。もっとも、捉えられたのは浅い沼地を踏み締めるような音を立ててこちらへと歩き出したミムレスだけだったが。
「一体どうしたっていうのよ…………二人は?」
「遠くまで吹き飛ばされたかもしれない、多分向こうにいると……あ」
口には出すものの、最初にミムレスがくれた光を増幅させる指輪の力でも払えない数歩先の闇は四面を囲み方向感覚を失わせる。加えて辺りを包むはぽたりと落ちる雫の音が……ミムレスも察したか、三角耳をぴんっと尖らせたままきょろきょろと首を動かすものの、やがて小さく溜息をつくとセーターのポケットから入口にあったはずの赤い輝石を取り出した。
「灯りはこれしかないわ、気休めにしかならないと思うけど。とりあえず……進んでみれば、会えるかも」
軽く頷いて風呂の湯を思わせる明熱の塊を掌に乗せたまま前に軽く突き出す、指輪の魔力も相まって五十歩程度は先を見渡せるが、やはり広がるは墨をぶち撒けたような黒。彼女の言葉に従い、足元に視線を落としながら一歩また一歩と進むものの、辿り着いた先には青灰色の壁。
「こんなに広かったのか………………ちっ、行き止まりか」
「待って、あっちに何かある」
左手を壁に沿って進めば見えた鉄製の四角い扉は、入口と異なり錆びた金属を擦れ合わせる音と蝶番の軋みを露わにしつつも押しただけで開いた。
「……さっきの魔物が言ってたな、祭壇に蒼白の晶石があるって」
「晶……石?」
「よくわからないけど大事なものらしい」
中の広さは宿部屋二つ分、奥にはガラスか水晶を積み上げて作った祭壇が。周囲の壁には雪獣と対峙する戦士を象った彫刻が壁一面に、首までの高さを持つ透き通った直方体を守るように施されていた。
体毛の一本まで逃さない描写に目を奪われながら、祭壇の前に立つジェイサグ。近づけた籠手越しの掌に冷たさを感じながら細部まで削り込まれた擬似魔法陣の上に置かれる蒼白の晶石らしき首飾りを掴み、後ろで背を伸ばし爪先だけで立っていたミムレスへ差し出す。
「きれいね……で、これ何に使うの?」
掌に乗せて、水色の石を嵌めた菱型の枠に刻まれた装飾を指でなぞりながらジェイサグを見上げる青瞳、返事代わりに軽く首を振って壁に背中を預けた。
「ティエナさんが目を覚ましてたら、すぐに見つけてくれるんだけどな……」
「そうね……もし、魔物がいないならここで待ってたほうが早いかも」
隣には眉を顰めて脇腹を押さえながらしゃがみ込むミムレス、身体中の痛みを思い出してジェイサグも鞄の中を探る。
「…………しばらく休んだほうがいいな、傷の手当てもしないと」
腰を下ろすための大きな厚布を引っ張り出してミムレスを座らせると、留め金を外す音を聞きながら鞄の底から塗り薬の入った小瓶を見つけ、布の上に置いた。彼女の傍らには礫の雨を受けて衝撃のままに形を歪ませたヒーターシールド……コート型の鎧にも同様に無数の凹みが。
「大丈夫、盾でほとんど受け……う、っ」
「何言ってんだよ、脱がすぞ」
苦しそうに蹲る相手の腰を支え、申し訳無さを覚えつつ布の上に仰向けで寝かせた。ふらつく小さな手がセーターの裾に引っ掛けられた指を掴むが、感じられるのは撫で弄るに留まる弱々しさ……構わずにたくし上げ、ふっくらと多少の肉を付けた小麦色の腹部を露呈させた。
眉尻を上げ、唇を噛むミムレスだったが、上り詰める裾に合わせて両手を頭上へと投げ出し、つるりとなめらかな肌に覆われた腋の窪みと、自重故に僅かだが平べったく潰れ頂までの標高を落とす一方で脇腹へ向かい横に流れる巨大な乳房を紅の刷かれた頬と合わせてあからさまに。
ジェイサグの両目は、理性と罪悪感を跳ね除けて自分の顔よりも大きな乳房へと注がれ続けた。正中線を基準に左右へと斜めに下がる重量感に富んだ肉塊はミムレスが少し背筋を捩らせるだけでもたぷったぷっと寄せて返す波に嬲られ先端に佇むささやかな桃色に艶光る円周と先端が揺れ動く。
「ちょ、っと……こんな時に…………痛っ」
「やっぱり怪我してるな。薬塗るだけだから、そういうのは後で」
自らの右手に薬を塗す、しばし握っては開いてを繰り返して粘液を皮膚の熱で温めた後、臍周りに掌を宛てがいゆっくりと時計回りに円を描き始めた。
「は、ああっ……そ、こは当たってない……っ!」
触れた人差し指が掌一つ分上にずれる、引っ掛かりを微塵たりとも感じさせないすべすべのお腹を撫でなぞりながら、偶然を装うように小指の側面を乳房の下輪郭に押し当てて張り詰めた弧を凹ませながら鳩尾の近くを穏やかな手つきで擦る。
「この辺は、どうだ……?」
「ん、っ……も、もう大丈夫…………だから、ぁ……っ」
立ち続けていた犬耳はくたりと毛束の間に伏せ、吊り上がっていたはずの両目も眉とともに下がり始めた。従順を露呈させた彼女に、ティルリエナとロロはどこかで……と後ろ暗さが芽生えるものの、今の自分達ではどうにもならないと首を振って思考を切り替え、広げた両手でむにゅ、むぎゅっと柔らかな半球を掴んで指の間で弾み震わせる。
「ひ、ああぁっ……やめ、て……手当てじゃ、ないの……んふ、ぁ」
薬液を隔てて皮膚の内側に送られる温もりと、重みを同居させたふかふかの柔らかさ。手当ても忘れ、ジェイサグは斜めに形を崩した分厚い脂肪の塊を脇腹から揉み寄せ、隅に置かれた輝石の光にぬめぬめと照り光る半球を楕円に歪ませると、曲げた人差し指で乳輪の微かなざらつきを塗り込められたとろみと纏めて刮げ撫でていく。
「あ、んふああ……ん、ぅ……は、早く……終わらせ、うう、ふ」
重なり合う熱と熱が腰を泳がせ双乳の揺れも激しさを増す、掌の内ではぽよん、ぷるるんっと大小様々の波を作り第一関節まで埋もれる曲がった指にぶつかってはむにゅりと指間から肉がはみ出し新たな盛り上がりを作っていく。
心地よい重さと衝撃、弾力と柔らかさの中でつんっと芯を帯び始めた小さく色素も薄い乳首を摘み、爪を甘く立てて前後の律動で扱きつつ抓り上げた。
「はあっう、ぅ……! 二人が、ああっ、見つかっちゃう…………ふああ、あ」
「心配すんなって、扉は閉めてあるから」
淡く翳りを見出だせる無毛の腋窩に触れるか触れないかのところで螺旋を描き、閉じた扉へ視線と意識を向けたミムレスの肩と唇をわななかせる。むず痒さに屈したか、腕を下ろして脇を引き締める彼女の涙に赤く光る睫毛と瞳を真っ直ぐ見つめながら先端を擦り転がしながら両胸を揉み回した。
「んっ、ん……あ……だ……め、っんん」
毛先を唇端に含みながら食い縛った真珠色の歯で、唾液を顎にこぼすのも構わずミムレスは嬌声を封じる。だが、ジェイサグが右手を急激な落ち込みを見せる乳坂から腹部、鼠蹊部と滑らせるといよいよと前歯で下唇を強く噛み始めた。
むちむちの、身長と比べれば過剰なまでに肉付きを実らせた太ももとお尻に貼り付いた、僅かに毛羽立ちを感じさせる白いスパッツ……ざらつきを伴う薄布に指を掛ければ寝ていた耳が起き上がり、褐色の肌を汗雫が伝い敷かれた布に円く染みを作る。
「こっちにも、薬……塗らないとな。今度は、背中を上にしてくれ」
返事を聞く前に弓なりに反った背中と蒸れた布が生んだ空間に手を差し込み、ボリュームとは裏腹に軽めの身体を反転させる。「やあぁっ」と小さく声が飛んだすぐ後には、視界を覆い尽さんばかりの白い山が二つ……加えて、最も左右から強く引っ張られ負担もかかる尻山の頂で、繊維の目が潰れて薄くてかりを広げる光景。それらを前にジェイサグはごくりと口内に溜まった唾液を喉奥へ送り、反発も意に介さず力任せに薄布をずり下ろした。
「何、言って……はあ、んっ……こっちには、当たってない……っうう」
布地の継ぎ目が山を登り、頂上で休む間もなく下って膝裏近くまで走り抜ける。道中では内に筋肉の弾力を潜ませながらも豊満に脂肪塊を付けた尻肉は、駆け上がる継ぎ目を捕まえんと覆い被さるように纏わり付いて段差を作り、指の行く手を阻んでいた。
十指に残る、ぷりんぷりん揺れた巨尻の汗に熱く濡れた潤いと、粘り気さえ感じられたもちもちの柔らかさ。ズボンの奥では勃起したペニスが下着の裏布には我慢汁がぐちゅぐちゅに染み込み、テントを作る亀頭が窮屈に擦られ下腹部全体へと快感を走らせ続ける。
「…………ここ、ちょっと赤くなってるな」
「そ……んなわけ無いでしょ、いい加減に……あ、ふああっ!」
褐色の楕円球が二つとお尻の大きさを証す深い谷間、下着も纏めて脱がしてしまったことに気づくが、かえって手間が省けたと瓶に残っていた薬を全部掌へ垂らし、温めるのも忘れ大きな膨らみに指を沈めて二本の親指で皮膚も薄くふるふると蕩けそうに柔らかい谷間を、頼りなく形を拉げさせる肉に滑りながらもくつろげ開いた。
「……ああぁ、見ない、で、そんなとこ、ろ……ひうっ、ああ」
両の後ろ手では到底覆い隠せない、吸い付き追い縋るふるふるの実り豊かな尻肉……ジェイサグは粘着質な感触を立てた指全体で感じながら褐色も濃く汗をじっとり滲ませた谷底を尾?骨から会陰部まで順に眺め、振られるかぶりも意に介さず固く窄まった放射状の皺に爪を軽く当てて引っ掻く。
「今日は、この穴に……入れてやるからな」
「そ、そんな、っああ……お、お……お尻の穴は、入れる場所じゃ、んふああう」
分厚い肉に甲すら沈む左手でお尻を開いたまま屈み込んで顔を近づける、旋毛の辺りに「くうっ……」と羞恥に溢れる鳴き声じみた呻きが聞こえると同時に、閉じた皺穴の中心に人差し指を潜らせながら鼻で大きく息を吸った。
「や……ぁっ、そんな……だめ、っ……あ、嗅がないで……」
漂うは石鹸の残り香を思わせる汗、そして花蜜めいた薬液の匂い……頭がくらくらしそうな濃厚さに興奮を煽られ、褐色の巨山にべっとり塗られた粘っこい液体を谷底へと掬い落として潤滑液を助けに第一関節まで輪くぐりを終えた指を曲げて直腸へ続くぬるり、ぐちゅりと窮屈な襞路を掻き回す。
「いいだろ、少しくらい……っ、はあぁ、いい匂いだな」
息を吐くのも忘れ、甘香を吸い尽くさんと腸液と薬、さらに汗で指と粘膜の境界線すら曖昧な肛内に虫が這うような速度で内向きの螺旋を描きつつ、左の尻山に頬と鼻先を押し当て湿度の高い熱気を顔中で浴びた。
ミムレスはやはり恥ずかしいか、頻りに巨尻をぷりん……ぷりんとくねらせながら両手を顔で覆っていた。三角耳も指先がマッチを擦る要領で強く薄い起伏のあわいを擦り回せば、立っては伏せてを繰り返し悦を露呈させている。
「もう、はううぅっ、や……やめなさいよ、こんなの、ひ、あああっ!」
鼻にかかった切なげな吐息と合わせて聞こえた拒絶。もっともジェイサグが爆尻と言っても差し支えない質量に富んだ肉弾を支えるために逆三角形を作る太ももに宛てがわれた左手指を、谷間同様に深く色濃い影を走らせる付け根に乗った下向きの弧へ滑らせて会陰部、濡れた秘裂へと這い歩かせれば、びくっと背中が震え窄まりがきゅっと口を閉じて内側の桃色を蠢かせた。
「やあ、んう……っ、一緒に、触らない……で、はう、あああん」
一方には唾液をこぼし噛み付かんばかりの収縮と円周を取り巻く温められて溶け始めたゼリーを彷彿とさせる儚い粘膜の窪みが織りなす咀嚼じみた練り揉み、他方には糸引き液が粘っこく取り縋りながら重なる花弁とその奥に潜み踊り暴れる何百匹もの蟲群……性質の異なる蕩け肉に柔らかさと締め付けに、袋がぞわりと見えない何かに撫でられ、睾丸がぐるりと回りながら引き攣りを明かす。
「ひゃあ、あああんっ……ずるい、そっちも……っああう、気持ちよく、なっちゃう……!」
困惑と羞恥は愉悦と化し、顔は反り返り弓をなす背中に連れられて枕代わりに置かれた腕から引き剥がされた。涎を端にこぼす唇には綻び、緩む面輪と下がる眉、水膜煌めく双眸と絶頂の兆しを見せたミムレスに両方の指でストロークを激化させ、ぐじゅぐじゅっ、ぴちゃっ、にゅぷ、ぬちゅるっと温かいぬたつきに塗れ、蕩け崩れながらぴったり付き纏っては抽送をねだる粘膜の様を暴き立てた。
「あ、ああっ、んはああうぅ……おねが、い……ひううっ、せめて、お尻の……ひゃ、ふああう」
上ずりを含む言葉は、ジェイサグがぬるぬるぐちゅぐちゅの中に第二関節までくぐらせた指で直腸付近の浅い襞を回し撫でれば嬌声の波に打ち消された。圧布の下にはくぐもった吐息、両手はお尻の上で顔や指を引き剥がさんと掻き毟るが、薄く膨らみを帯びた括約筋辺りへ右に左に半円を描くだけで汗を伝わせた小麦色の指は皺を寄せた布へと沈んだ。
皮膚を通じて内側へ送り注がれる快感電流が、全身にぐねりと渦を行き渡らせて肌を掻き毟りたくなるほどの擽ったさと疼きを歩かせる。加えてうねりの中心たる下腹部にはどくっどくっとペニスの脈動、慌ててズボンと下着を脱ぎ捨てると我慢汁で照り光る亀頭が微かに跳ねながら天井を睨み付けていた。
「触ってるだけで、こんなになっちまった………………いい、よな?」
「…………だめ、入るわけないじゃない……」
「大丈夫だって、あれだけ解したんだからさ」
右手指には赤光に照らされる透明の腸液、左手指には肘まで伝う真珠色の粘蜜……歯も緩めて熱っぽく吐息を散らかすミムレスの腰を掴んで四つん這いにさせる。分厚いむちむちのお尻は突き出されることで丸く張り詰める代わりに、肉が薄くなって谷間が自然と開かれる。
両手の親指で軽く開くだけで、甘妖に匂い立つ小さな桃色の窄まりが……てらりとぬめりを刷いた後穴に没入させた指先を裏返す手首に応じて回転させながら小刻みに震わせれば、直腸入口がざわめいて腸壁は奥から手前へと締め出す動きを露わに。
「よし、入れるぞ……」
もう十分だろうと、右手で胸を掴んで乳首を摘みながら背を向けた小さくも肉感に溢れた身体へ覆い被さり、引き始めたお尻を左手で戻して上下に揺さぶられるすべすべの柔らかさと突き飛ばされそうな重みを腰で受け止めながら、切っ先を窄まりに宛てがった。
「いやって、言ってるのに……は、う……ぅ、んんんっ!」
「っ……締め付けて、くるな……でも、これはこれで」
自重を使って窄まりを押し広げていく。膣穴とは異なり、拒絶さえ見出だせる肛口の固い緊張に、直腸との境界線を結ぶ無数の縦襞や窪みに粘っこいうねりを与える筋肉の弾力……眉間に皺を刻み背筋で真っ直ぐの下り坂を作りながらお尻だけを高く捧げ、内頬を噛みながら腹部に力を入れていきみを明かすミムレスの反応も相まって腸壁はずずっ、ぐぶぶっと異物を皺穴に押し戻す。
「おい、あんまり動くなよ。奥まで……くっ、行けないだろ?」
反り返っては撓む背中が、釣鐘状に形を変えて身じろぎに任せてふるふる揺れる双乳の先を布の敷かれた地面へと押し付けた。両肘両膝で支えられた身体が前へ逃げると、リング状に配置された襞と起伏を囲む筋肉がエラ裏を捲り上げ、粘膜の薄い部分をぬじゅるぐぢゅっと舐り上げていく。
「…………ああぅ、う、う……ふああ、あああっ……だめ、入って、あ、あああああんっ!!」
痙攣と紛う細やかな蠢動が彼女の息遣いと力み、そして尻肉を弾ませる柔腰の回転により爪先程度の距離に留まるささやかなグラインドは行く手を妨げられ、ぎゅっ、ぐぷっと体温以上に熱く濡れた肉紐さながらの環がエラを縛り、絞り倒す。
瞼裏が眩白へ染められる錯覚は頭の中から腕と背筋を伝い落ちて身体の隅々まで駆け巡ると、無意識の内に腰を左右にスライドさせて腸壁との摩擦さえ忘れさせる夥しい粘液を迸らせた肛内へずちゅ、ぐぶっ、ぬずずっと執着じみた水音を弾かせて撹拌を重ねる。
「ふああう、んん、はああ……んっ! 激しく……だ……め、まだ、痛いっ……あああああ!」
耳裏にも紅を塗り込めたミムレスが涎糸を散らしながら肩越しに振り向くと、歯列を弛ませながらかぶりを振り、曲げた左肘を伸ばしでジェイサグの身体を押し退ける。
「力抜けば痛くないって、ほら…………動くと、うっ、締め付けが」
吊り上がる肩を優しく擦り、汗ばんだ滑らかなクリームさながらの肌に掌を撫で落としながら乳輪、乳首と桃色の尖りを指腹で転がし扱く。目尻を下げては大きく息を吐いたミムレスだったが、脱力とは対照的に浅く交差状に襞を刻む筒状の直腸は膨らんでは萎んでを繰り返しながらエラ上をぬるつきとともにそよぎ回した。
「だ…って、そんな、あああっ、こんなの、初めて、だから……んあああうっ!」
混ざり合う腸液と我慢汁が潤滑を促し、壺に詰まった水飴を掻き混ぜるような音と甲高い喘ぎ声は憚りも消え失せ、雫と化した融雪の滴音を塗り潰すように響き渡る。
ミムレスも後ろ手で胸部を守る鉄板に爪を立てる一方で、足指で虚空を深く握り込み律動のままに顎を上下させて愉悦をあからさまに。挿入には不適な穴にもかかわらず、ジェイサグが四半分の回転を含むストロークを繰り出せば、触手さながらに腸壁が竿を縛り上げて奥から手前へと及ぶ柔らかなうねりをより狭隘なものへと変えた。
「前も、濡れてるのか……?」
「ち、違うわよ、はあうっ、こ……れは、あああ、っふあああ!!」
左手で釣鐘状に下がった両手で掴んでもなお余る乳房を指が全て沈むまで揉みくちゃにしながらたぷんたぷんとバウンドさせ、右手を駱駝色の布に大きな染みを落とす淡い乳白色を滴らせたスリットへ宛てがわせる。
立てた人差し指が愛液に溺れるクリトリスの突端を押し弾き、開脚に楕円へとくつろげられた桃花弁の表面に湛えられた粘蜜を掬い刮げるだけで、褐色の方から背筋に痙攣が走って青髪が生温かい風になびくと同時に持ち上げられていた顔が甘切ない吐息をこぼしながら布に埋められた。
「はあ、ああぁっ……だめ、気持ちよく、なっちゃう、お尻の……はあう、ふあああ、穴、なのに」
「別に気持ちよくなっても、いいだろ? ティエナさんも、ロロだって……」
「そ、れは……ひあ、ううっ、はあ、でも……っ!」
否定は白濁のとろみをまき散らす花弁のあわいに指が没入したところで途切れた、膣内への刺激がピンク色のうねつきと溺れんばかりのとろみ敷き詰めたゼリー状の粘膜に咀嚼じみた蠢動を染み広げ、加えてお尻だけが高く捧げられた姿勢が摩擦の角度を変え亀頭上部に窮屈な痺れを走らせた。
咄嗟に腰を引き、下腹部に力を入れるジェイサグ。絶えず先走りを垂れ流す精液の通り道には、袋の中で回り始めた睾丸が織りなす疼き含みの擽ったさ……思考を奪う甘くもどかしい痺れが、にゅるにゅるぐじゅぐじゅの肛内で早く射精したいと突き上げを加速させた。
そして煮えた蕩け蜜を水溜りと紛うまでに刷いた肉層へくぐらせた指を馴染ませるように曲げては伸ばし、並行して熱に解れて柔らかさを増したむちむちぷにゅぷにゅのお尻を鷲掴みに。
「っん、ふあああっ、あ、ああぁ、だ……め、もう、入らない……うう、ぅ」
しかし、射精衝動は戯れかかる腸壁が震えてエラ裏に熱塊を含んだ薄襞を忍ばせるだけで膨らみ続け、強く触れられれば痛みを滲ませる感度の高い部分をずるり、ぬたりとなぞり舐る。
さらに、温められて蕩け崩れた半固体のスライムを思わせる縮こまりを両立させた瑞々しくもも粘着質な蠢きと、追い縋りを促すジェイサグを突き飛ばしそうな勢いと重みに満ちた巨尻の前後が亀頭を、腹部の微かな波打ちに合わせて異物を狭苦しく搾り立てる直腸の奥処へと吸い招く。
「うう……っ、そろそろ、我慢できなく…………ミムレス、中に……出しても」
ストロークは押し戻す蠕動と不規則に並ぶ環状の収縮に妨げられつつも、反動を用いて丸みを強調させた褐色の柔尻が少し凹むまでぱんっぱんっと引き付けた腰を叩き込み、全方位から迫る直腸粘膜を振り解きながら先端を奥に潜らせた。
「…………こ、ここなら、別に……ふああうっ、ん、んん……ぅ」
エラ裏を固く窄まった皺口が捲り剥がす感触は、切っ先を限界へと届かせる深い挿入により、ずぬっ、ぐぷぷっと腸液に満たされてぞよめく凹凸を通り抜けると、亀頭の側面に一枚二枚ともたれかかる横襞の引っ掻きへと変わる。
ミムレスが息を吸って背中を反り返らせれば、ぎゅううっと腸壁が螺旋状に縮こまり、竿の根元を始点に快感の塊を鈴口へと迫り上げる。下腹部には皮膚の内側が溶け落ちそうなまでに熱を帯びたどろどろの渦を置いて興奮を煽り、全体重をかけて褐色の背中に覆い被さりながら胸とお尻を爪が食い込むまで激しく揉んで、腰を受け止める左右の膨らみがぶるんっと大きく揺れるまで抽送を加速させた。
「うっ……く、ああ…………うっ、ううう!!」
「あ、ああ……あ……いく、あ、ああっ、ああああああああっ!!」
最後にぐぷぐぢゅに蕩け爛れた直腸粘膜が食い締められては噛み揉まれる亀頭を連想する中でジェイサグは下腹部を、背中を走る濃度の高い塊が織りなす疼痛ともどかしさのままに総身を痙攣させ、肩の力を抜いて大きく息を吐くと一緒に射精を開始した。
「ひああ、あああぁ……お、お尻なのに、あああぅ……」
脈打つペニスがびくびくと筒の内側で跳ね回れば、ミムレスも両手の爪で全方位に皺を進ませた布を掻き毟りながら汗と涎、荒息を伝わせる小麦色の頤を天井へと吊り上げ、大きなお尻を湿った風が生まれるまで振り乱し絶頂への陥りを明かす。
溜まっていた精液を全て搾り出された錯覚を抱くジェイサグ、満遍なく撫で回すのに多少の時間を要する巨尻を軽く叩きながら、消えない余韻を引き連れて腰を戻す。
しかし亀頭を舐る直腸内では肉洞の壁を作る横襞が、裏筋を扱く窪みと縦襞はぎゅっと収縮しカリ首にしがみつく……ミムレスも汗ばみ輝く横髪から繰り返す青瞳の瞬きとチョコレートクリーム色の湿潤に満ちた頬、そして弛みきった両唇と軽く突き出た舌を覗かせていた。
「…………もう一回、してもよさそうだな」
「…………………………」
※※※
合流を終えて傷の手当てと体力の回復を済ませた翌々日、発見した最下層へ続く階段を降りると、目の前には溶けた鉄を思わせる鮮やかな赤が眩く広がっており、長く……長く続く一本道の先も同じ色で塗り潰されていた。
「うわっ……何だよこれ、さすがに暑いな」
「ほんとだね、溶けちゃいそう」
橋代わりに続くに二、三歩足を踏み出しただけで額と掌に汗が滲み始めた。全員熱いのは同じか、ミムレスは頻りに手の甲で頬や首筋を拭い、ロロははだけさせたブラウスの襟元を軽く摘み「熱いです……」と呟きながら扇いで風を送り込み、加えて短いスカートの中にまで手を入れて軽く裾を持ち上げている。
「どうにかできませんか? ティルリエナさんの魔法で」
「うーん…………ちょっと無理かも。氷のシールドは作れるけど、奥まで保たないかな」
互いの視線がぶつかり、頬を嬲る赤橙に火照りの赤を被せたロロは俯いて立ち止まり来た道を振り返る。目に見える羞恥にティルリエナは小さく笑みを浮かべ息をつき、掌の汗をローブに吸わせ裾を皺になるまで強く握り込みながら、まず黒翼の剣……次いで左手に遥か遠くまで続く溶岩の海へ顔を向けた。
「…………あと、少しか」
最下層に眠ると噂され続けた莫大な財宝を手に入れるために過ぎなかった探索は、城塞都市を守るための戦いにいつしか変わっていた。探索を初めて半年も経っていない、冒険者としては未熟な自分でも三人のお陰で生き残ることができたものの、ゴルラーズの力は一行を苦しめたヴァリエンや数多くの魔物とは比較にならないまでに上回るのは明らか……積み重なる想像が腕足を見えない枷で縛り、剣の柄を握る指頭に白を這わせた。
一方で、黒翼の剣にはゴルラーズと互角以上に戦える強大な力が秘められているとも聞いた。自信と不安が鬩ぎ合えば踏み出すべき歩は止まり、足指に力を込めても返るはぎこちない強張りと背筋の竦みばかり。
「どうしたの? 止まらないでちゃんと歩きなさいっ、暑いんだから」
「あ、ああ…………悪い、大丈夫だ……」
隣には腰に手を当てて上目遣いを眉間の辺りに送るミムレス。気づけば腕を引っ張られるが、着衣越しに感じられる指先には震えが走っていた。
「怖いのはみんな同じ、でも逃げたって死ぬなら……一緒に戦えば勝ち目だってある……そう言ったのは誰だったかしら?」
引き上げて騎士団の救援を待つべきだと主張し階段を降りようとしなかったロロへ”奴が地上に上がればもう逃げ場はない……この剣ならゴルラーズと戦うこともできる”との説得を思い出し、「そうだったな、ありがとう」と彼女に小さく頷いて添えられた掌を優しく握ると、幅も大きく再び前に進み始めた。
「…………急ごう……すぐにでもゴルラーズが目覚めるかもしれない」