女騎士と少年魔導師~憧れの女性(ひと)と旅に出たら~四話 (Pixiv Fanbox)
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「……………………」
「……………………」
一人用の狭いベッド、隣には部屋着を身に付けたソラフィス。
カーテンが閉め切られた室内を照らすは備え付けられた燭台の上で光る輝石のみ……クリーム色のワンピースに施された装飾を弄りながら、互いの指を絡ませるように手を握れば、小さな肩が竦み頭が二の腕に預けられた。
「っ……ぅ」
”本当にいいのだろうか”と芽生える羞恥に浅ましくも悦を求めんと開きかけた脚を閉ざし、舌がぎこちなく固まる。
国王からの特命、剣の腕を磨くことで性とは程遠い場所にいたかつての自分……ソラフィスが肉体を貪れば霧散してしまう躊躇いの欠片、小さなそれは見えない枷と化し手足をきつく縛り上げた。
「どうか、したんですか?」
上ずりの感じられる、ゆっくりと流れる声。
固く握られた両手を緩めて息をつく、迫り膨らむ後ろ暗さも多少薄れ、ボタンを外し胸の谷間を露出させる。
「何でもないよ、ちょっと緊張しちゃっただけ。変だよね……何度もしてるのに」
発した言葉が心の中で反芻された、何を今更……と思考が一方に傾き、ソラフィスの後頭部を引き寄せる。
どさり、と倒れる音。
手が着衣の内側に忍び入り、高価な陶器を抱え持つように曲線を探り回す。
「ん、っ……は、ぅう」
両目が捉えるは開きかけた小さな唇、直後に鼻息の擽ったさと唾液の温かさ。
唇を啄み、上下の歯をこじ開け、伸びる舌が潤いを啜り取った。
互いの呼吸を挟み、密室には唾液を掻き混ぜる音が響く、背中と肩に添えられた掌は各々滑り落ち、豊満な膨らみの頂点で引っ掛かり五指を沈ませる。
内頬をなぞり抜けた舌は、ぬちゅっ、くちゅっと歯列をくぐり抜け歯茎、上顎と這い進む。
粘膜を強めに舐り拭われ甘く目を閉じると、次は触れるか触れないかの距離で唾液を掬われる。
「ぷ、はあぁっ…………いっぱい、触って、んっ」
一旦顔が離れ、二人の唾液が短い架け橋を作る。
胸とお尻にはずぶずぶと沈みゆく指。
接触点を通じ染み渡る熱がむわっと体温を上昇させ、額に前髪を貼り付かせる。
捲れたスカートの中に手が入り下着を半分まで脱がすと、湿度を帯びた上り坂を撫で回し、下着の内側に押し込められてぎゅっと入り口が狭まった谷間を人差し指でなぞり上げる。
「っん、はあう……っ、く、うう…………んんんっ!」
立てた指が曲がり、谷間を穿る。
並行して乳首を摘み上げられ乳輪ごと刮げ撫でられた。
吊り上がる顎、歯の隙間にこぼれるくぐもった喘ぎ、鼻から呼気が抜けたところで再びソラフィスの舌が唇をくぐり抜け、不規則な動きで円を置き続けた。
「ん、っぅ、はあ、ああっ、んん、ああ……」
お尻の中心に宛てがわれた左手は小刻みに揺り動き肉をたゆんたゆんと震わせる、他方右手は親指と人差し指で目覚めた先端を軽く捻りながら残りの指と掌で下輪郭が平らに潰れるまで乳房を持ち上げる。
唾液を掻き混ぜる音の大きさに比例して、汗に潤い照り光る身体がくねり、ソラフィスの両掌がむにゅりと食い込むのも構わず疼きが駆け巡る背中を屈め、早くもぬめりに蕩け始めた実り豊かな四つの球体を沈む蠢きに差し出した。
「はあ、あっんふう、っ……ああぁ、声……出ちゃうかも」
宿は大勢の旅人で賑わっていた、もし誰かが……想像の中で嬌声と足音が重なり、膣奥を切なげに這い進む見えない何かが背中を探る腕をぎこちなく固まらせる。
ソラフィスもそれを察したか、胸を揉み回す手を離し、リュミエールの頬に温を貼り付けた。
「……扉まで少し離れてますから」
肌を通り抜け、広がる心地よさ。
”恥ずかしい”は”もっとしてほしい”に変わり、添えられた掌を再び乳房へと戻し、柔肉に際限なく沈ませる。
はあっ……と息を吐き脱力したところでささやかな尖りをに爪を立てられ、顎と背中が反り返った。
「っあ、はあ、う……」
擦れ合う引き締まりつつもむちむちと量感を湛えた太ももにぬめりが伝う。
乳首を押し潰し、裾野へ這わせた五指で円を描きながら半球を揉み搾り、外から内、内から外と手弄は吸い付いた肉をぷるぷると弾み剥がしては上り坂と谷間で行き来を繰り返す。
「んっ……気持ちよく、なって……」
「もう、ぅっ……言わないでよ。あうう、恥ずかしい、から」
瞼を閉じれば白い明滅、駆け巡る快感は手足の先まで及び布団の中でリュミエールの総身をばたばたと跳ね暴れさせる。
思う存分身体を動かし、思う存分喘ぎを立て……心の奥底に秘められた願望は体内に熱の塊を放り込む、それを発散しようと背中に軽く爪を立ててしまった。
引き寄せられた小さく細い身体、同時に柔らかさと弾力を両立させた太ももの間に固い棒がむにゅりと入り込む。
脂肪の奥に潜む筋肉が反射的にそれを締め付けるとペニスが汗を潤滑油として押し出され、ソラフィスの眉間に浅く皺が刻まれた。
「はあ、っ……ん、んっ!」
「あ、ご……ごめんね、痛くなかった?」
腰を捩らせ、右膝だけを曲げて両脚の間に余裕を作る。
苦痛の中にも快感を見出したか、目を閉じた面輪が緩む一方で、汗や愛液とは異なる別の熱いとろみをきめ細かく凝脂を詰めた肌に置きながら、胸とお尻を揉み捏ねる指の動きに合わせてペニスが前後に往復を重ねる。
「………………」
少女じみた、滑らかな肌を伝い落ちる掌はペニスに辿り着き亀頭を高価な壊れ物と包み、指先がエラに捕まった。
指が曲がる毎に掌と鈴口の距離は縮まり、ぎゅっ、ぐちゅるっと押し潰された先端から熱と脈動が注がれた。
「あああっ……リュミエール、さん、何を」
「…………えっと、触ってもいいかな?」
返事を聞く前に手首を回転させて、皮膚と粘膜の摩擦を強める。
軽く握り拳を作ってエラの内側を掻き上げる右手に竿を握り包む左手を加勢させ、ぬちゅ、ぐちゅ、にちゃっと粘り気のある液体を含んだ布を絞るような音を広げた。
上下しながら半円を描く左手首、剣を持たない手指で裏筋を軽く押し、切っ先から溢れる先走りで滑りを促しながらストロークの距離を少しずつ伸ばしていく。
「は、はい……ぃ、ううっ」
十指が太く固い屹立を弄くり回せば、その形が瞼裏に焼き付けられる。
膨らんだ亀頭がぬるついてぞよめきを繰り返す膣壁を押し広げ、山の裾野さながらに張り出したエラが襞と襞の間を練り撫でて愛液を掻き出す……頭の中で広がる想像に媚肉の層は蜜に滲み、脚と脚が自然と擦れ合う。
肌を焦がすもどかしさが足の指を反り返らせ、ソラフィスの前で全てを曝け出したいと身体を前後させ毛布を捲り上げる。
一方で”はしたないと”理性が律動を妨げ、正反対の感情がマーブル状に混じり合い小さくかぶりを振った。
「は、ああっ、だ……め、んううっ、はあう」
眼前の葛藤を振り切らんと両手の指に力を入れて裏筋に押し当てた親指をいっぱいに伸ばしカリ裏に内向きの螺旋を描かせる。
並行して小さな舌に自らの舌を巻き付け熱い液体を喉へ送りながら、右手の指三本で亀頭をぐりっと楕円になるまで圧迫し止め処なく垂れ落ちる先走りを搾り出した。
リュミエールの左手親指がエラ裏を捲り広げた瞬間、胸を捏ね揉む掌が脇、臍、腰骨と流れて太ももを割り広げ、幼女を思わせる秘裂をくつろげる。
「あ、は、ああうっ、ああああああっ! っ……ん」
差し入れられた指に弾ける嬌声も塞がれた唇に溶け落ちていく。
蜜を浴びて重なる花弁が一枚ずつ剥がされ、粘液で満ちた筒の内側にはぬたつきと蠢きの接触が織りなす微かな痺れ……びくっびくっと腰を痙攣させながらも、脈打つ竿を思い出し亀頭を捻り上げては指を不規則に動かし、段階を経て刺激を強める。
「…………リュミエールさんも、温かくなってる」
「っはあ、だって……んっ、こんなに、固くなってるから……あぁ」
左手がドアノブを捻る要領で先端を潰し回せば、右手の人差し指はカリ首に、小指は根元にぶつかる。
皮膚を伝い落ち、シーツに染みを作るまで漏れ溢れた先走りが粘っこい潤滑油と化し、ぬちゅ、くちゅ、ずちゅ、ぐちゃっと濃度に富んだ音がストロークを加速させる。
ぬめりが力加減を忘れさせ、エラを強く扱き拭う中でソラフィスが花弁の先に敷き詰められた肉蚯蚓のざわめきに指を置く。
愛液を滴らせる桃色の路を異物が行き来する度に下腹部から背中へ光の束が走り抜け、噴き上がる衝動の行き場を探すように唇を重ねソラフィスの口内を舐め回した。
「ああ、っはう、っ……んんっ、ああ、ぁ……気持ちよく、なっちゃう」
抽送のままに暴れる腰と背中、正面の薄い胸板には体重で潰れて円周を広げた乳房、毛布の中で互いがもぞもぞと動くだけで芯を孕んだ先端がくにゅりと捻られた状態で圧力を受け、荒い吐息を頬に舌に吹きかけてしまう。
「はあ、あ……ん、ふ……っ、うううっ! あ、うっく……はあ、ひううぅっ」
五指も纏めて掌を飲み込み、むにゅりぐにゅりと豊満な尻山に弄りが沈む。
後ろに回った華奢な腕がぷりんっと張り出した巨尻を叩き揉みながら寄せ、並行して汗を塗されたお尻の谷間に指が滑り込む。
窄まりの皺を辿る疼痛……錯覚が肌を遠火で炙り、窪みが生じるまでお尻を引き締め異物を追い出すが、今度は膣内を掻き回す指が二本に増え、交互に折り曲がっては蕩け蜜が滴る襞蟲のあわいをぐじゅぐじゅと水音もあからさまにくぐり抜けていく。
「んんっ、ん……っ、はあ、はあ……い、いきそうです」
「ひゃあ、ああ……ん……だめ、は……はあう……もうちょっと、我慢して」
蜜を拭いながら舐り進む外向きの螺旋。
内側にびっしり敷き詰められた淫ら蟲は、指に絡み付き狭苦しく縮こまりながらも奥へ吸い寄せる。
結合部から溢れる糸を引かんばかりの濃蜜が肌に熱を与え、毛布の中に蒸し暑い世界を作る。
「っ、あん……いっぱい、キス…………して?」
額、頬、顎と伝う汗雫、今すぐにでも布団を出て窓を開けたい衝動を覚える反面、肌が、粘膜が温かなとろみでどろどろに溶けて、もっと一つになりたいという思いもあった。
欲求に命じられるまま、リュミエールは這いまわる舌に唾液を乗せながらペニスを扱く上下運動と指先の圧力を激化させ、握り包んだ亀頭を左右に捻りながら指腹でカリ首を拭い引っ掻き、先端と竿の境界線を捲り広げる。
「あ、あっ、はああんぅ、そ、そこ、あああっ!!」
唇は噛み締める前歯をすり抜け綻ぶ、輝石に黄色くぼんやりと照らされた天井に反射する憚りのない声……廊下と部屋を繋ぐ薄い扉では外に聞こえてしまうだろう、口を引き結ぼうと顎に力を入れてもわななきがそれを許さない。
「は、ふ……ううぅ、ん、ひゃあ、あああっ」
加えて、ソラフィスの指は襞を優しく引っ掻きながら層が集まる膣口と襞の集まる中に往復を重ねる。
泡立つ肌と震える背中、唇端に伝う唾液、ふっと体重とベッドが消え失せ、深闇に落ちる錯覚が総身を包む。
感覚は剥き出しとなり僅かな身じろぎも愉悦の呼び水と化し、髪を含みながら甘切ない溜め息を浮かべてしまった。
「あ、あ……っ、ソラフィス、君、わ、私も……ふああぁ」
支えを求め浮かんでは落ちる女体。
腰をくねらせて突き出し、狭隘部への挿入を促すとともに、ねとねとの先走りに塗れて不規則に開閉を繰り返す左手は指がめり込むまでの圧力で亀頭を押し潰す。
そして際限なく加速する右手は裏筋を擦り上げながら親指と人差し指の側面でカリ首を叩き捲り、手首の回転運動も加えながら苦痛を感じる手前まで刺激を倍加させていく。
目を固く瞑り、刮げ撫でられる粘り気を帯びた起伏がもたらす温悦から逃れんと濡れた布を搾るように両手の動く方向を変え奉仕に没頭するが、積み重なった快感は緩やかに全身を縛り付けてリュミエールを絶頂寸前へと追いやる。
「はあっ、あ、あああぁ……もう、う、うううっ!!」
「んうぅっ、はあっ、ああぁ、先に、いっちゃって…………あふうっ、出て、る」
ソラフィスが肩を震わせ、脈打つペニスを前に突き出す。
掌にべっとりとこびり付く熱い粘つきが汗で湿った空間を青臭さで満たす。
「ふあっ、ああ……すごい、んんっ、いい匂い……」
体内を満たす媚香がリュミエールの小鼻を膨らませ、幾度も交わされた口吻に導く。
巨尻を揉み捏ねる手の動きも少しずつ弱まり、膣内から指が引き抜かれるとそよぐ内側が疼痛を走らせ、両足の指が開ききってしまう。
「…………っ、はあ、ぁ……」
毛布を捲り、掌を満たす濁汁を輝石に照らす。
半固形の朝露に濡れた草を匂わせる液体は手首を伝いどろりと腕の白に白を重ねる。
手を握り直して指と指を擦り合わすと生温かい精液はぬちゃぬちゃと糸を引き、開いた中にはクモの巣状の粘糸が張り巡らされていた。
「……まだ、大きいままだね」
一度の射精では満足できないか、布で精液を拭い終えたペニスはリュミエールを睨み上げる。
伸ばした脚を折り畳み、ベッドの上に改めて座り直せば手の甲には指の感触が。
「こ、今度は……顔の上に乗ってもらえますか?」
「上? え……座るってこと? そんなのだめだよ、だって……ん、うっ」
二回りも小さなソラフィスを大きなお尻で敷き潰す、重くて苦しいだろうと視線を逸らすがシーツとお尻の間に、自重で潰れた肉の球体を掻き分けるように忍び入る指に言葉は途切れ、肘に添えた手が滑り落ちた。
「大丈夫ですよ、苦しかったら言いますから」
谷間を擽られ、肩が竦む。
姿勢を想像すれば、お尻を、陰裂を舐め回される想像がぐじゅりと濡れ肉の狭間へ蠢きとぬめりが這い進む。
きっと、すごく気持ちいいのだろう……お尻を揉み開かれる一方で震える指が陰部へと向かい、重なり合った薄桃色の中心へゆっくりと沈み始める。
花弁の内側は、没入する人差し指にぬたりともたれかからんばかりに蕩け崩れ、温められたゼリーさながらの心地を皮膚に送る。
ぐじゅっ、にちゃっと蜜を撹拌する音は次第に大きくなり、”気が済むまで舐め回してほしい”と膨らんだ欲求が一足先に仰向けになったソラフィスの顔をお尻で圧し潰すよう促した。
「本当に、いいの? 息できなかったりとか」
大きく実ったお尻を左右にスライドさせながら谷間と鼻先の位置を合わせるが、童女めいた無毛の割れ目を間近で見せ、加えてむっちりとした重みを全て彼の顔に伝えて……今までの自分では想像もつかない大胆な行為に羞恥と後ろめたさを覚え、膝頭をシーツに擦り付けて顔の上に馬乗りになるが腰は浮いたままだった。
「…………お願いします」
「わ、わかった。っと……えいっ!」
両手を枕につき、徐々に肘を曲げて上体を傾けながらお尻と顔が触れる範囲を広げる。
実りも過剰な尻肉は、顔に押し付けられるとシルエットのままに形を歪ませ、小さな鼻と口を塞いでいく。
「んんっ……もう少し、右に。そのまま、少しだけ腰を沈めてください」
「こうかな……? 苦しかったら、すぐに言ってね」
くぐもった声が下から聞こえ、下腹部を右にスライドさせる。
皮膚の薄い敏感な内壁に吹き付けられる鼻息が背筋を震わせ、桃色のぬたつきを隠すつるりとした土手は吐息に擽られる。
しばし不安定な姿勢を硬直させていたが、舌が蕩け蜜を滲ませるスリットをくつろげると両肘両膝が崩れ、体重をお尻よりずっと小さな顔に乗せてしまった。
「ひゃあんっ、あ……ごめん、痛くない……?」
「柔らかくて、気持ちいいだけです。だから、もっと」
「……こ、これでいい? ん、ひゃああぁ」
反り返らせて立てた爪先と伸ばした肘で巨尻の重みを分散させるが、ソラフィスは気持ちよさそうに声を上ずらせ顔を振りつつ舌の行き来で膣壁を浅く穿るばかり。
それならとリュミエールも震える腰で内向きの渦を描いては両肘を少しずつ曲げ、分厚い肉の間で鼻を挟み唇には捩れて重なるぬめりの層で蓋を施すが、花弁を押し分けて襞をなぞる抽送にシーツを掻き毟ってしまう。
「あ、ああああっ! だめ、んふぅ……っ、は、ああん」
板張りの天井を仰ぎ、だらしなく開いた口元に嬌声を貼り付けるリュミエール。
弾ける声に合わせて重量に富んだお尻が上下し、ぐぢゅっ、ぷちゅっと水音に混じりぱんっぱんっと肌同士がぶつかる音が耳に届けられた。
「ううっ、重いけど、柔らかくて」
「っは、ぁ、あああああっ!」
吐き散らされた呼気が、尻谷を伝い落ち窄まりの皺を一本ずつ擽る。
途端に背中が反り返り、媚層の上端で尖りを見せたクリトリスと舌先が触れる。
表面の淡い起伏がたっぷりと蜜を湛えた突起をそよぎ、走る稲妻に汗を含んだ毛束がなびくまでお尻の上下が止め処なく激化する。
「…………っ!」
たぷんたぷんと波を打つ尻肉が頬を、鼻を強打し、跳ね暴れる上半身に応じて、ソラフィスの顔を左右に振り回す。
「ごめんね………………平気? まだ、やるの?」
「っ、ぁ……は、い……このくらいでしたら」
背中が屈むと宙に浮いた両掌がシーツの波に再び沈み、舌先は捩れ花の中心に潜む窪みへと差し込まれた。
そして全身にはむず痒い痺れ……柔らかく解れた尻肉が叩き付けられる度に、蜜海に飲まれた舌はぐちゅっ、ずちゅっと膣壁を抉り抜き、引き戻る動作で襞間にへばり付く愛液を結合部へ掻き出し続けた。
”もっと……”と内なる声に従い、両手を持ち上げながら重心を落とすとソラフィスがお尻を揉みながらリュミエールの下から這い出てきた。
「どうしたの?」
「その……逆、向いてもらえますか?」
「……? これでいい…………んひうううっ!」
やや沈んだ、残念そうな声も束の間。
ソラフィスの言う通り身体を反転させた直後に窄まりへと舌が及ぶ。
きゅっと谷間を閉ざして上体を浮かすが尻山を掴む十本の指に下半身が捕われ、むにゅむにゅと鬩ぎ合い吸い付くような潤いも明らかな尻肉を尖らせた舌でくつろげ広げる。
「あ、あっ……だめっ、ソラフィス君、い、いやぁ」
開く唇には鋭さを帯びた拒絶の言葉、しかし視界の中心にはそそり立つペニス。
確固に紐付けられた際限のない愉悦とペニスが手を、お尻を、前後の穴を錯覚がぞくりと舐り撫で、大きく息をつきながら彼の股間に倒れ込んでしまう。
「どうしてですか? リュミエールさん、こんなに気持ちよさそうなのに」
「そ、それは……だめだから、ぁ……本当に、ひあ、ううっ」
「……ごめんなさい、でも……僕も我慢できないです」
皺が寄る窄まりをつんつんと突き上げる舌、揺れる首が長い髪を各々の方向へ導き、反り返った背中が硬直すれば尾骶骨の辺りを毛先が撫でる。
前の穴とは異なる後ろ暗い快感……顔を顰めて親指の甲へ握った爪を立てるが、ソラフィスは放射状の捩れに沿って丸めた舌を宛がい、お尻全体に夥しい快感の奔流を流し込む。
「あ、あ…………ああああああーっ!!」
内心で違和感を覚えるまでの気持ちよさ、だが弄られるは不浄の穴。
一度芽吹いた”恥ずかしい”という感情は体奥を満遍なく満たし、お尻と舌の距離を広げようと肘を伸ばすがぞわつきに泡立つ肌が脱力を織りなし、ボリュームのある二つの山を顔目掛けて落とし、鼻と口を反動を付けた圧迫で揉み潰してしまう。
ソラフィスの呻き声とともにむにゅっ、ぐにゅにゅっと平らに拉げる尻肉を隔てて顔の形と息遣いが届けられ、穴を抉り広げる舌の円運動と相乗し羞恥は愉悦に置き換えられた。
「はあうっ、んん、ひゃあ、あううう」
すぐ隣に骨を感じられる脇腹を掴みながら撓む背中を反らすが、唾液塗れの異物が狭輪をくぐり柔らかな肉路をそよぎ進むと、溜め息にも似た上ずり声が結ばれた唇の隙間に漏れた。
「は、ああぁ……っく、んぅっ……ふ、ああう、だめ、ぇ……お、お尻の、はあう」
両手は尻山の頂点から谷間へ向かい、二本の親指が量感をこぼれる寸前まで湛えた扉を開く。
窄まりを引っ張り下ろすことで舌がより深くまで潜り込み、締め上げも夥しい肛口の先に潜む襞を先端がつつくことで細やかな肌に赤跡を刻む。
くねる腰と、脱力を明かす総身……二つが重なりソラフィスの顔は谷間に飲み込まれたと紛うまでに肉が熱く蕩けたお尻へと沈む。
抱けば自分の身体で覆い隠せるだろう華奢な少年に重みの全てを預ける、申し訳無さを覚える反面、顔を強く敷き潰す毎に舌は肛内を掻き分けて肉路の奥を舐り回す。
「はあっ、はあ、ああ……っ、もっと、上に乗って……」
「……ああっ、い、や……そんな、の。入って……あふうっ」
返事は嬌声に打ち消され、さらに直腸向かって突き潜る撫で刮ぎが後に紡ぐべき言葉を、乳房が縦に揺れんばかりの身じろぎへと置き換えた。
舌はいっぱいまで伸びて不規則に敷き詰められた起伏を軽く圧迫するかと思えば、今度は唇をこじ開けられた入り口に被せつつぬめりを乗せた舌先を皺の中心まで引き戻す。
積み重ねられた前後運動に粟立つ肌が逆撫でられ、身体の芯にぞわりと悦がへばり付き手足の指が虚空を引き裂かんばかりに痛むまで握られる。
同時に迫る絶頂を自覚し、”このまま……”とも考えるものの、窄まりから直腸へ染み渡るむず痒さが性交とは関係ない肛門をぐじゅぐじゅと掻き混ぜられていることを思い出させる。
残った力でソラフィスの上半身を支えに身を起こすが、右へ左へ繰り出される戯れに粘膜のあわいをぞよぞよとなぞられれば肩が落ち、重さに耐えかねた肘が曲がった。
「あ、ああああっ、それだめっ、おかしく……なっちゃう!」
ぬじゅる、ずちゅると狭隘な腸襞を這いずる小さな舌は、リュミエールの全身に眩さを走らせる。
力の入らない弓なりの背中と吊り上げられた顎、そして浮かぶ両膝に任せてぶにゅりと潰れてはゆっくりと円を描く巨尻の大きさと重さを顔に教えながら互いの肉を隔てるぬめりに夥しさを付け加える。
”だめなのに”を内心で繰り返しても身体の動きは止まらず、光と香気に乗って室内に響く水音が快感を引き上げ、足甲と脛でベッドを軋むまで蹴飛ばしてしまう。
「ああっ、ああ、あああぁ、だめ、いっちゃう、お尻の穴で、いっちゃう……っ!」
憚りのない声を煽る舌先の律動、膨らんだ侵入物が襞にぴったりと縋り付き、時計回りの円周を柔らかく蕩けた粘膜に置きながら、螺旋を描くそれは直腸へと向かう。
接触を想定していない敏感な部分がずるりと舐め撫でられると天井が近づき、下から上へ甘切ない痺れが駆け回り両脚で腕をぎゅっときつく挟んでしまう。
「あああっ、ん、ああっ、はああ、あぁ、あ! だめ、だめ……ソラフィス君、あああっ!!」
持ち上がる腰と追いかける舌、手足の力がふわりと一気に抜けた。
お尻の穴で快感の極地に追い込まれる……いけないことだと承知していたが、だからこそ総身を取り巻く愉悦の濁流に耐え切れず、肩を震わせ涙と涎をこぼしながらリュミエールは絶頂を迎えた。
「はあ、う、ふっ……ん、ひゃ、あああっ、気持ちいい、気持ちいい……っ、よぉ」
肌と肌が溶ける錯覚、皺をなぞり抜けて戻る舌に伸び切った背中からソラフィスの上に崩れ落ち、意志とは無関係に先走りを滲ませたペニスを撫でくり回す。
「あっ…………」
不意に直立を保つカーテンが視界に入り、後頭部が柔らかい何かに沈む。
目の前には顔を赤くし、顎に唾液の糸を伝わせたソラフィス。
熱い蜜糸を巡らせた花弁の重なりにはにゅるりと亀頭が。
絶頂の余韻を這わせる後穴と、舌を忘れかけたものの再び期待に疼き始めた前穴……小さくゆっくりと息をつき、頬を持ち上げたまま近づく下半身に掌を添えた。
「い、いいですよね? 次は、こっちも」
「…………うん。また……気持ちよく、して?」
仰向けを保ちつつ膝を立てて脚を開く。
滑らかな指がベッドをぎしぎし軋ませる巨尻と汗を吸ったシーツの間に滑り込むと、撫で気味の肩に力の抜けた柔らかいふくらはぎが乗った。
「っは、あああ……っ!」
捩れて愛液を吐き出す花弁を押し分ける先端が襞を撫でそよぎ、媚筒の内側をぐちゅっぐちゅちゅっと掻き混ぜる粘っこい音が耳の中で響く。
瞬間、火の塊を投げ入れられたように下腹部が熱を帯び、両手の拳が固く握られ中の空気を全て追い出した。
「う、っ……いつもより、ぎゅって……んんっ」
「はあっ、んうっ、あ、あああっ!」
愛液を潤滑油に押し引きを繰り返しながら少しずつ挿入が深まる。
内側に隙間なく縺れた襞がぐじゅっ、ぐぢゅるっと伸び縮みを繰り返す度に舌弄を凌駕する強烈な快感が光線と化して背骨を貫き、忙しない呼吸に合わせて脂肪の薄い腹部が膨らんで、すぐに凹む。
口を開けば掠れた喘ぎと熱の篭った吐息、もう見られてもいい、どうなってもいいと言わんばかりに濡れたシーツに擦れる音を聞きながら身体を振り回して挿入を助ける。
「あ、あっ、あああああ……ぁ、あ、んは、ああっ!」
ソラフィスが眉を顰め、大きなお尻に手の甲まで沈ませたところで二人の下腹部が触れた。
体格に比して明らかに大きな剛直、広げた傘を思わせるエラが膣奥でぬじゅぬじゅと絡み合う襞を揉み撫でる一方、切っ先はその先の丸い行き止まりを遠慮がちに叩く。
「………………っ!!! は、ああぁ、あああああん!」
輝石に照らされた薄暗い空間が眩白で塗り潰され、蜜を纏い前後するペニスに感覚が集まる。
一回、二回と距離のあるストロークが、膣口と子宮口をエラで探り回せば、肉蚯蚓をぞよめかせる濡れた筒全体を突き捏ねられて粘膜の接触部分を起点に快感が進み、頤が反り返り白い喉もあからさまに。
膣壁を捲り返しながら最奥へ潜り進むペニスの動きは緩やかだったが、襞の縮こまった狭隘部への刺激がリュミエールの全身を陸に上げられた魚さながらに暴れさせた。
両足は背中と肩を打ち付け両手は脇腹と太ももを掻き毟る、罪悪感は身に余る快感に吹き飛ばされてただ腰を高く捧げながら暴れるばかり。
「はあっ、ううっ……これじゃ、すぐに……はああぁ」
痛みも意に介さず、ソラフィスはにゅるにゅると起伏が追い縋る割れ口の先を時折角度を変えて前後に突き上げる。
そこにリュミエールが全身を振り乱し、蕩け崩れるぬる襞一枚を隔てた摩擦は加速の一途を辿る。
「わ、たしも……んはう、そ、そっちばっかり……やあぁ」
乱高下する声が織りなす形だけの拒絶に混じり、ぬちゅりぐじゃりと雨上がりの蒸し暑い泥濘を踏みしめる音。
耳奥にこびり付く淫らなノイズは、顔、胸、脚と流れ落ち、目を瞑りかぶりを振っても疼痛を含んだ悦はリュミエールを二度目の絶頂へと追い詰める。
「あううっ、はあ、んっ、ああ、ぁ……」
お尻を揉み手繰り、谷間に滑り落ちた指が今度は乳房へ向かう。
尻肉よりも頼りない柔らかさが目立つ二つの膨らみはぐにゅりと掴まれ、乳首は指側に摘み捻られる。
性質の異なる快感が渾然と混じり、襞蟲が渦を巻きながら子宮口を何度もつつく先端をきつく抱き止める。
亀頭の形に応じて広げられた内側は元に戻ろうとペニスを搾り上げ、うねりは内向きと外向きを交互に繰り出す。
「あ、ああっ、は、あああっ! いいっ、もっと、奥まで……きてぇ」
恥じらいなど微塵も感じさせない喘ぎ、震える右手でソラフィスの腕を掴めば乳房を揉む蠢きにさらなる圧力が。
下半身も一気に沈むが右膝から姿勢を崩したため、傾きに合わせてペニスの側面は左の膣壁と激しく擦れた。
「っ、ああああっ! あ、ああ、うっ……ん、はああ」
結合部をくぐった先に広がる肉洞がエラ裏を包み、独立した軟状のスライムさながらに縋り付いて膨らんだ膣底まで導く。
決して見ることは叶わない光景だったが下腹越しに感じられる蠢動と抽送が、頭の裏に”自分の身体がどうなっているか”を想像として貼り付けた。
「……あ、ああああっ! きて、きて……っ!」
一度膣口まで戻った亀頭が反動を付けてぶつかる腰に従い、再び子宮口を突き上げる。
遠慮がちなノックは前後運動の回数が重なる度に激しさを増し、衝撃のままに捩れたシーツの端を掴みながら全身を揺さぶり、踵でソラフィスの背中を叩き蹴ってしまう。
反り切った顎は元に戻らず、視界には涙と汗でぼやけた天井と薄い板を並べた壁……隣に人がいたら聞こえているだろう、理性が被せた恥じらいのヴェールがリュミエールの右手を唇へと導くが、先端と行き止まりがぬりゅっと触れ合えば添えるべき掌はベッドに沈む。
「あ、あっ、あああああ、あああああ、ああんっ!!」
ぬちゃぬちゃと飛沫を立てる内側ではペニスを握り込むように締め付ける。
鬩ぎ合う肉と肉が襞を掻き混ぜ、蜜溜まりを突き捏ね、振り切れんばかりの快感を子宮の中にまで広げた。
じわり、と下腹を満たす熱と痺れと蠢きがひどく心地よかった。
全てを忘れ、吐き出されるであろう精を中で浴びたい……子供ができても構わない、理性も道徳も、思考も取り払われ、リュミエールは両手をソラフィスの背中に回して前後に往復する腰を突き出しては屹立をとろみも著しい窮屈な膣奥へと縛り付けた。
「はあぅっ、あ、ああああっ! はあ、あああああん!!」
びっしりと敷き詰められた愛液塗れの肉紐は、早く深いストロークに追い縋りにゅるにゅるぐちゅぐちゅと律動を妨げるまでに縮こまる。
射精が近いか脈動に比例して乳房を揉み回す手の動きも荒く、半球の膨らみは乳首を摘み上げられ円錐状に尖っていた。
「だめ、あっ、あああっ、いく、いっちゃう、いっちゃう!」
「はあっ、はあっ……リュミエールさん、僕も」
一定間隔で訪れる収縮に先んじて加速する前後運動が無数の蕩け襞を無でそよぎ、狭隘なざわめきの間をくぐり抜けて子宮口を叩き続ける。
思い思いの方向にぐねぐねと蠢動を繰り返す内部の起伏は、入口近くでは潤滑油もろとも狭隘部へと竿を吸い込み、中央では裏筋と触れた部分を起点に双方向に螺旋を描き、最奥では弾力のある丸い膨らみが触れた亀頭を押し返しと別の動きを見せて互いに底知れない悦を注ぎ送る。
「あっ、あ、あああうっ、あ、あ……っ、ソラ……フィス君、ああああーっ!」
呂律も回らない口と上ずり声で相手の名前を叫ぶ、背筋を上り詰める光の束と瞼裏に広がる鮮明な白……五感全てに働きかける快感に命じられるままリュミエールが背中に爪を立てると、胸を揉みしだく掌が同じ背中とシーツとの間でたぷんたぷん揺れていたお尻に届き、高く張り詰めた乳房がむにゅっと押し潰され一つに溶け合うのではと紛うまでに密着が深まった。
「も、もう…………ううっ!」
「はあああっ、あああ、あああああああああっ!!!」
噛み殺された呻きがソラフィスの口から発せられた刹那、全身が焔に包まれた。
下腹には脈動と迸り……どくっどくっと尽きること無く撒き散らされた精液がもたらす悦に手足は跳ね暴れ、何度も何度も背中を引っ掻いてしまう。
心配も羞恥も後ろ暗さも全てが霧と消え、気持ちよさと満足感だけが毛先まで丁寧に包み込む。
腰の動きが止まるとともに手足もベッドに崩れ落ち、ごぽり……と結合部に垂れ溢れる精液を拭うこともせずに隣に倒れたソラフィスに抱きつき、頬に手を当てながら開きかけた唇に舌をなぞらせる。
燻る余韻を冷ましてくれと言わんばかりに。
※※※
街を出てから九日……地図に書かれている通りゴモプレの地下迷宮までは遠く、昼夜を問わない魔物の襲撃もあり道程は決して順調ではなかった。
瘴気に満ちた山道の下り坂に並ぶは葉を全て落とした黒苔塗れの朽木ばかり。
足元に目をやれば、魔物の餌となったか大きく育った山鼠の骨が。
生を感じさせない空間に、茶灰色の枯れ葉を踏む音が静寂に微かな彩りを添えていた。
空には分厚い雲、薄くなった部分からは時折陽光が垣間見える。
天を仰いだまま顔だけを後に向けると、杖を背負い水晶球を左手に持ったソラフィスが小さく首を振った。
近くに敵の気配は感じられない、当面は安全だと認識すれば今度はスカートの中に擽ったさに近い疼きが走り、踏み出した右足の指がブーツの奥で固く握られる。
「………………」
「…………わかってるよ、その、私だって同じだから…………」
「……そ、そうですよね、はい」
宿で互いを求めた日を最後に、女体と剛直の距離は遠ざかる一方。
リュミエールからも、ソラフィスからも誘う日はあったが近くに潜む魔物の気配が行為を許さなかった。
「もう、近いんだよね?」
「少し歩けば、谷底に洞窟が見えるはずです。随分前から下り始めているので……」
地下迷宮に辿り着けば性交どころではないだろう、だからこそ……柄にかけた右手を強く握りながら背中越しに途切れ途切れ視線を送るが、ソラフィスが水晶球から顔を上げると、弾かれたように両瞳は空を覗かせる枯れ枝の間へ。
「……っ……」
いつ来ると知れぬ戦闘、目尻に力を入れて唇を引き結び、坂の遥か先に曖昧な輪郭を明かす大木を目標に、濃さを増した不快感が額を撫でる中地面を踏み締めた爪先の位置を合わせた。
「あれ、だよね……?」
何も考えまいと、枯れ葉の音だけを積み重ね続けたリュミエール。
下り坂の終わりと、広がる影……数十歩奥には周囲を人工的に石で囲われた半円の暗闇が口を開けている。
入口を守るべき分厚い石の扉はこじ開けられ、鎖と金色の大きな錠が傍らに転がり舞い上がる砂埃を浴びていた。
重い扉に備え付けられた太い取っ手を掴み果てなく広がる黒を覗き込む、冷たく黴臭い風が前髪を、スカートの裾を軽く踊らせた。
「開いてる……魔物がやったのかな……?」
「樹精石目当ての盗賊かもしれません。奪われていなければいいのですが」
ソラフィスが障壁を作り出す高度な紋様が刻まれた鎖を拾うと、刃物で切断された跡が。
扉の裏側と錠前にも同じ呪文が込められており、樹精石を狙う相手は並外れた力を持っている可能性が高い……呼吸は自然と押し殺され、後ずさる足裏は砂利と砂利の間へと音もなく置かれた。
「普通の武器では壊せないはずなのに………………危険な相手かもしれません、気をつけて下さい」
長い髪と首筋に熱、燃える松明を手に取り続く闇を追い払う。
炎を前にかざしながら地面と足を平行にした状態でゆっくりと下ろし、一歩また一歩と漆黒を進むと、背後から一条の青白く温かな光が走り抜け、灰色の壁伝いに右奥へと消えた。
「い、今の何?」
「精霊を先に向かわせました。魔物の巣には、足を踏み入れたくありませんから」
「…………すごい、そんなことまでできるんだ」
水晶球に映し出される数々の罠、唸りを上げる魔物の姿、狭くドーム状の空間に置かれ、四方を囲む薄汚れた石像の中心に置かれた宝箱、そして輝石にぼんやりと照らされた透緑の壁、ここで映像は途切れた。
「まだ手は付けられていないみたいです、行きましょう」
最初の突き当たり、二手に分かれた道の右側を指差すソラフィス。
リュミエールも頷き、明かりの消えた燭台が並ぶ石を敷き詰めた四角い通路に光を注いだ。