放浪の剣士フォーヴァル~魔女の刃と大地の宝珠~五話 (Pixiv Fanbox)
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洞窟を根城に村を襲う山賊を始末したのは数日前、山を下り枯川沿いの荒野を抜けて、目的地である朽ち果てた古代遺跡に辿り着いた。
「この奥か……」
同じ大きさに削った石を積み上げたであろう家々の成れの果て、左右に立ち並ぶは崩れた柱、そして円形の広場には砂埃をかぶる井戸。
水は枯れているのか、覗きこんだ顔を埃混じりの乾いた風が撫で回す。
「…………」
見渡す限りの黄褐色、雲一つ無い毒々しいまでの青から降り注ぐ陽光を遮る日陰すら無く、フォーヴァルは汗で貼り付いた前髪を直しつつ、積もる砂を踏み鳴らして先を急いだ。
足音の間を縫い、欹てた耳に届く風の音……魔物の気配も、時の流れも何一つ感じられない単調な光景、十字路に差し掛かっても、遥か遠くに陽炎を着た建物の崩れた跡が見えるだけで、残りは砂地に埋もれる傾いた柱のみ。
近づいて汚れを払ってみれば、文字らしき模様が彫られているが解読などできるはずもなく、無為な行動を反省するように正面へと向き直り、炙られる肌の熱に耐えつつも、目指すべき場所に爪先を向けた。
※※※
「なるほどな……確かに、あの男の言った通りだ」
かつては橋がかかっていたであろう円形の長く深い堀を進み、人工的に作られた三角形の島へと上る。
小さな民家ほどの大きさに留まる正三角形の中心には地下へ続く階段、三つの角にはヒビすら見えない堅固さをあからさまにした太く高い柱が聳え立っていた。
どの柱にも、顔の高さと同じ位置に古代文字の一種が真っ直ぐと刻み付けられているが、照り付ける太陽は際限なく高さを増し、乾いた地面目がけて灼熱を当たり構わず撒き散らす空に負け、階段を降りて数段先の日陰を辿るフォーヴァル。
「…………ふう、少しはましか」
光を失わない内に松明へ赤を灯す。
幾人も一度に通れる広い地下路を囲む四方の壁も、外と同じ砂漠色の石で作られており、腐食した青銅の甲冑が道案内さながら一列に並ぶ。
内部の構造は外とは対照的に単純そのもので、一本道の終わりに取っ手がくり抜かれた、真ん中に小さく窪みの作られた扉があるのみ。
押しても引いても指先が痺れるばかりで開く素振りさえ見えなかったが。
「どうすれば……」
口元を手で押さえてしばし考える、ふと地図と一緒にダレクから受け取った羊皮紙の包みを思い出し、水を弾く鞣し革の小さな袋に手を突っ込んだ。
包み紙を破れば、中には金色に光り、ふわふわと燐光を飛ばす小さな棒が。
まさかと思いながらも棒を穴に入れると、地響きめいた耳を塞ぎたくなる重低音に続いて刃を易々と受け止めそうな分厚い扉がゆっくりと開いた。
「…………大した仕掛けだな……しかし、なぜこんな物を」
白髭を蓄えた、気難しそうに皺の寄った顔が頭をもたげる。
ラシュレアお抱えの魔道士ならば、この程度は造作も無いことなのか……本懐とは無関係な思考の渦に囚われながらも、逸る気持ちを抑えて一歩ずつ、壁に背を向けて足音を殺し進む。
広く、複雑な迷宮を想像し、松明を前にかざして正面を見据えるが、曲がり角も分かれ道もない一本道のようで、掌大の土煉瓦が敷き詰められた壁には、細やかなレリーフが多数設えられていた。
動物に女性、太陽、四本の手に剣を持つ戦士……連なる流れを感じさせるが、関心は奥に眠るであろう呪いを解くための聖杖に移り、松明を握る右手にも汗が浮かぶ。
「さすがに魔物はいないか」
前からも後ろからも、届くのは耳鳴りを添えるまでの静寂、朧火が焦がす埃の臭い、そして自らの浅く緩やかな呼吸。
そこには魔物の不潔な体臭も荒々しい吐息も何も無い、生死の境さえ曖昧に感じられて不安のあまり何度も足が止まり、入口から差し込む光もとうに途切れた後を振り返ってしまう。
「………………行き止まり? いや、そんなはずは」
炎に照らされた目前の風景が一変、底知れぬ闇に吸い寄せられた赤は行く手を阻む装飾が施され、燭台を備え付けた壁を照らす。
杖もそれを祀る跡もなく、三方を取り囲むは腕が欠けて頭が落ち、胴にヒビが入った彫刻のみ。
「これは…………?」
唸る風の中立ち往生を強いられ、狭い行き止まりの地面には幾つものブーツ跡が刻まれる。
グリップに添えていた左手で像の汚れを拭っても黴の臭いが飛ぶばかり、しかし何気なく地面を松明で照らすと部屋の中央に四角い切れ目が、しゃがみ込んで指を引っ掛け、高く砂の積もる、板らしき何かを持ち上げれば濃さを増す黒の先へ階段が続いていた。
確信を抱きながらフォーヴァルは次第に弾む息を深呼吸で整え、松明で床を照らしながら一段ずつ、爪先を押し付けるようにゆっくりと階段を下り、伸ばした左腕で炎を奥に捧げると同時に左右を見渡す。
「…………あそこか、罠がなければいいのだが」
奥の突き当りは多少広くなっているものの通路は上層より狭く、剣を振るえば切っ先が天井と壁にぶつかってしまうだろう。
欠片ほども感じられない魔物の気配を幸いに、松明で足元と壁を交互に照らしながら、歩幅の狭い忍び足で行き止まりへ向かった。
歩の数が二十を超えた辺りで視界が一変する。
通路を抜けた先に潜むなだらかな段差を下ると、輝石で青白く光るドーム構造の小部屋へ続いており、半球の中心には艷やかにきらめく黒曜石の台座が敷かれ、求めていた聖杖が差し込まれていた。
剣に手をかけながら何度も左右を見渡し、罠の有無を確認してから松明を壁に立て、引っ込めては伸ばしてを何度も繰り返しつつも、杖に右手の指先を近づけた。
「………………」
音もなく窪みから抜ける杖、均一に白緑を広げる持ち手の部分は鉱石で作られているのか手指に浮かぶ熱を全て吸い取る。
先端には黄金の装飾、その中心には水晶らしき透明な丸石……美術品には興味のないフォーヴァルでも価値の高さは十分に理解でき、輝石を淡く反射する水晶にしばし目を奪われて考えるより先に天井向かって杖をかざし続ける。
「……!? 何だ、誰か来る……」
穏やかに流れる時間を幾つもの騒がしい足音が途切れさせる。
杖を置き後を振り返ればオークに獣人と下等な魔物が十匹近く、逃げ道を塞がんと横に立ち並ぶ奴らの隙間から外を窺えば、左右の壁に無数の穴が空いており、奥には小さく唸り声が。
「ちっ……ただでは返さんということか」
丸い天井の淡青が照らす脂ぎった垢まみれの皮膚、長く尖った耳、落ち窪んで泥を被った薄黄色の目……胸当てと腰蓑だけが包む小柄だが筋肉質な身体で間合いを詰められる。
豚のように潰れて広がった鼻から著しく不快な臭気が撒き散らされ、咄嗟に鼻を押さえ一歩二歩と後へ。
「なかなかの数だな……間に合えばいいが」
無数に聞こえる唸り声と足音、加えて興奮を露呈させた鼻息、黄色の目玉は汗と埃に塗れた顔、大きな胸の膨らみ、むっちりと筋肉と脂肪でボリュームを保つ白い太ももへと這い回っていた。
隙間に除く腰蓑越しの屹立を隠す素振りも見せず、口の端を涎で汚しながら半円状に陣を組み、フォーヴァルを取り囲む。
「……っ、貴様らごときに!」
飛び掛かる一匹との距離を壁を背に広げ、無防備に突き出された斧の先端を間合いに優れる長剣を振り下ろし払い除ける。
慌ててそれを拾い上げる愚かな背中に刃を突き立てながら、崩れ落ちる身体を蹴飛ばして斜め右にいた二匹目にそれをぶつける。
「――――!!」
苦しそうな呻き声はさしずめ潰れた蛙、ノイズを背中に今度は優勢に怯む三匹目を正面に捉え、返す一撃を胴体に向けた。
金属がぶつかり合う甲高くも耳障りな音、二度三度と斬撃を衝突させるが力では勝てず、不意の一発に身体は浮かび煉瓦の壁に叩き付けられてしまった。
「く、うっ……させるか!」
だが背骨を抜ける重い痛みにも屈さずすぐに体勢を立て直し、散漫に振り下ろされた斧を寸前で右に避け、両手に持ち替えた剣を首筋から胴体にへ反動をつけて一閃、噴き上がる血糊は崩れ伏す死体と杖が嵌め込まれていた黒い石版を青紫に染めていく。
「っ……まだ、だ……この程度で」
鉄製の胸当てごと真っ二つに切断された仲間を見て恐れをなしたか、半円の隊列にずれが生じ、石造りの床を叩き蹴る音も前後左右に乱れ始める。
一方でフォーヴァルも剣を振るい続けた故か、呪いにより陰裂はぬちゅぬちゅとしとどに蜜を溢れさせ、青紫で塗り潰された銀で魔物を一匹屠り去る度に膣口が湛え切れなくなった愛液を下着の裏地にぬめぬめと染み渡らせ、ショートパンツの内側に粘り気を置きながらせせらぎは太ももを伝う。
「ん、ふ……ぅ、っ、もう少し……」
両瞳を包む桃色の靄、かぶりを振って頭の片隅へ追いやって両脚を大きく開いたまま柄を深く握り締めるが、魔物たちは薄汚れた黄色でフォーヴァルを舐り眺め、時折耳打ちをしては唇を大きく歪ませて黒ずんだ歯を見せて笑う。
察するに余る奴らの卑猥な思考が粘土質と化し、全身を取り巻く錯覚……怒りと焦りに内頬を噛み締めながら官能を振り払うように剣を魔物に向け、矢継ぎ早に襲い掛かる斧を、盾を、腕を、そして胴体を薙ぎ伏せては削ぎ落とし、ドーム一体を青紫の煙で塗り潰す。
「あうっ……し、痴れ者が…………っ!」
確かに一匹一匹は取るに足らない瑣末な存在だった、しかし敵の数はフォーヴァルの予想を明らかに上回っており、増えた骸の数だけ開いた穴から新手が眼前に立ち塞がる。
白銀の刃にも粘っこく纏わり付く血糊が幾重にもこびり付き、力任せに押し付けた剣で鋸を引く要領で肉も骨も断ち切っていくが、翳りの見えた切れ味に少しずつ壁際に追い詰められてしまう。
「う、く……来るなっ!」
複数方向より同時に腕が伸びる。
相手の初撃で唯一の武器を取り落とした後も手足を振り回し、取り囲む魔物と間合いを図ろうとするが、着衣は鎖帷子もろとも引き千切られて押し倒された裸体を無数の黄色に曝け出してしまう。
立ち上る砂埃の臭いに混じり、ぴったりと固く閉じた秘裂から漂う甘香が相手の興奮を誘ったか、四、五本の手が一斉に荒々しく乳房を揉み潰す。
童女めいた小振りな乳首を頂点にし、つんっと上を向いた半球を保つ肉弾は、開いては閉じる自分勝手な指弄に揉み拉げられ、縋り付いた手型の数だけ指の隙間から新たな肉の盛り上がりを刻み付けられた。
「――――!! ――!?」
「く、ううっ……はあ、ああぁ……やめろ、やめろおおっ!」
魔物は低い唸り声を上げながら、膨らみに被せたフォーヴァルの手を引き剥がし、薄汚れて節くれだった指で乳首を捻り転がす。
醜い顔は、肉に下味を付けるような乳袋への揉み込みが積み重なるごとに、より見にくく歪み、汗香揺蕩う中で濁声を踊らせつつ手を太もも、脇腹、陰部へと分散させた。
「ふ……っうう……あ、ふ……ああぁ」
膨らんだ小鼻、漏れる熱っぽい吐息……無知で粗暴な魔物に捏ね繰り回される楚々とした果肉、獣欲の塊たるそれらは同時に下等さなど微塵も感じさせない技巧に満ちており、一匹が汗を塗されて薄桃色に照り付く先端を挟み上げ、もう一匹は芯を帯びた突起の周囲で真円に小さく盛り上がる乳輪を微かな起伏に沿って潰し撫で、さらに別の一匹は絹肌の上に歪な四角形を描きつつ頂点から裾野へと指を滑らせ、上下の輪郭を掬い揉んで、粘り気を着込んだ柔肉をたぷったぷっと波打たせる。
「こ、こんな……ううっ」
原因は剣の呪い……”絶対”にそうだ、嫌悪の対象たる醜い魔物に乳房をいたぶられ、悦の沼に沈められるなど到底認め難いものだった。
羞恥と屈辱にフォーヴァルは全身に生温かいへばり付きを感じ、蠢く手指の隙間を縫ってぬらぬらと垢を含んだ魔物の腕を振り払い、しこり立ち天を仰ぐ乳首を庇う。
だがそれ以上の力で添えた手を捻り上げられ、閉じ合わさった太ももをくつろげられてしまう。
開脚が媚香を立ち上らせた淡い茂みに覆われる内扉に濁黄の目が近づき、血走りを明かしつつ潰れて広がった鼻先が擦り寄れば、肩が竦んで背筋がくねってしまう。
「や、め……っん、はあぁ、ひ、ぃ……っ、う」
顔を寄せ、交代で漂う匂いを体内に染み入れる魔物。
吸気の冷たさと呼気の温かさがぷくぷくと膨らんだ白い肉土手をそよぎ、僅かに顔を覗かせる透腿の粘膜を撫で繰り回す。
糸を引かんばかりにぬたつくスリットが与える愉悦も相乗するが、目を閉じて指を噛み媚態のこもる声を封じた。
「は、あうぅ……っ、あああっ!!」
剣の呪いが押し上げた官能を奴らも察したか、歯を剥き出しにして指を熱く濡れた捩れの中心へくぐらせ、遠慮なく深みを穿つ。
節の目立つ異物がフォーヴァルの腰を跳ね上げ、太ももに筋を走らせる。
思わず飛んだ大声は怒りを倍加させる反面、体芯に快を燻らせ顎を自然と反り返らせる。
「はあっ、やめ……ろぉ、ゆ、指を……ううん」
襞を掻き撫でる指を通じて中の蠢きが手に取るようにわかり、それが触れる掌を跳ね飛ばさんばかりの身悶えと化す。
腰が大きく左右に泳ぐと、しとどに蜜を噴きこぼした襞間と人のそれとは異なる野太い指が強く擦れ合い、肌上で這い回り豊かな乳房を揉みしだく手を振り切ろうと彷徨う腕とは裏腹に、おぞましさの中にもぐちゅぐちゅと皮膚の内側で響く音ははしたなさを増した粘膜は前後の律動に纏わり付く。
「っ、ぅ……掻き、回すな……っ、ああう」
雫玉を作りながらどろりと緑色の手甲を垂れ落ちる愛液を掬い上げられ、直後に荒々しく鼻が鳴る。
豚を思わせる仕草に加え、半透明のとろみに濁る指を舐め回されると、後ろ暗さを感じるとともに、相手は下等な魔物だと意識してしまい、”こんな奴らに”と悔しさを感じる一方、それがひどく気持ちよく、手足の指は次第に湾曲していった。
それでも、浅ましさを律さんと唇を噛んで腕に指を食い込ませるが、ざわめく悦びは痛みすら吹き飛ばす。
「あ、くううっ……やめろ、んふ、っ…………」
魔物たちはおもむろに目配せするとフォーヴァルの両脚を割り開き、短く唸りながら勃起した太く亀頭が夥しく張り出したペニスを膣口に押し付け、一気に腰を沈めた。
人間の竿よりも凹凸に飛んだ表面にはイボが張り巡らされており、筒の内部でひしめき合う襞を練り揉み、隙間に溜まる愛液をぐじゅる、じゅぷっと結合部へ掻き出す。
「ああっ……! ん、はあぁ、っ、ああああ!!」
染み広がる疼痛は抽送が繰り返される度に思考に靄をかけ、代償に肌と粘膜の感覚を鋭敏に。
魔物の手は胸にとどまらず巨尻を抱え、石畳との間に生じた隙間へ五指を差し入れ、汗で滑りしっとりと体温でぬめる内壁から熱を地に吸い込まれ僅かに冷たさを帯びた外円部へむにゅむにゅと揉み開く。
日に当たらない青白さを感じる脚も、蜜を満遍なく塗られると生々しさの伴う甘い匂いを肌上に広げる。
「……ぅ…………ああああん!」
蠢く指に気を取られたのも束の間、歪笑に続いて腰が激しく打ち付けられ、重なり合う粘膜が捲り剥がれて膣底は膨れ上がった亀頭に押し揉まれてしまう。
膝を曲げて膨らんだ腹に蹴りを入れるが、魔物は唇端を持ち上げたまま、子宮口近くを基点に小刻みなストロークを何度も繰り出す。
「ああっ、んああああう……」
豚鼻の荒息とフォーヴァルの嬌声に混じり、ぐちゅっちゅぱっと泥を踏み締めるような水音が際立つ。
無数のイボが起伏をなぞり押し潰す動きに応じて窮屈な肉の環をくぐるペニスは、膣肉を押し広げる亀頭と、ぎゅうっと締め付ける襞の蠢動が同調し、進んでは戻る肉傘の張り具合も、襞間を分けてぬめぬめと蜜をしぶかせる濡れた真綿が侵入物を食い締める動きも、全てが瞼裏に浮かぶ。
「あ、あああっ、中、は……んんんっ!」
そして映し出された仮初を呼び水に、頭の芯へ注がれる強烈な快感がフォーヴァルの足に空を切らせ、十本の指を足裏に皺が寄るまで湾曲させた。
さらに一度は止まったストロークが激しさを取り戻し、組み敷かれた女体の上で魔物は薄汚れて出っ張った腹部を痙攣させつつ、腰を前後に乱れ振って竿の周りを取り巻いては縺れ、互いに絡み合う襞のあわいを突き上げた。
「――――!!」
グラインドは十回ほど続いたが唐突に腰が止まり、ぬたつきに塗れて柔らかく蕩け解された狭隘な膣底へ脈打ちとともに生温かい液体が注ぎ広がった。
「ああっ……ああ、ああぁ」
下腹で泳ぎ回る魔物の精液……手足の先まで沈ませる愉悦から一変、寒気混じりの震えが背筋を走り、締りのない顔を浮かべた魔物を突き飛ばす。
”相手は魔物だ”と思い直そうとしても、結合部から漏れ出して会陰部を伝い落ちる煮こごりめいた固体に近い精液を、身を起こして掻き出す動作は止まらなかった。
しかし、指側まで柔らかい肉塊に沈ませていた別の魔物がフォーヴァルに伸し掛かり、愛液と精液で油を刷いたようにぬめる太ももを抱えて潤滑のいい肉筒の深みを付き穿つ。
「やめろ……っ! ん、んぅ……あ、あああっ!!」
ひくついた内扉は再び捲り返され、ぐじゅぐじゅに綻んだ肉の泥濘はイボの付いた別のペニスに割り開かれる。
涙でぼやけた頭上の黄色は無数に分裂し、頂点に達した屈辱が次第に意識を遠ざける。
「……っ、うう、ああ……だめ、だ……また」
あるのは膣内を満たす硬く熱い竿の感触と魔物の人間離れした握力……そして、一方的な律動にも快感を見出してしまう哀れな自分。
夢であることへ縋り付くようにフォーヴァルはそっと目を閉じた。
「あうっ……っ、まだ残っているか……」
剥がされた着衣を戻し、引き千切られた鎖帷子と荷物を漁られ何も残っていない鞄を震える手で持ち上げる。
こびり付く汗、砂埃、そして魔物の体液……朧げな映像は次第に鮮明に、自分が何をされたかまざまざと思い知らされた。
口内にもペニスを捩じ込んだのか舌の上には生臭い残滓、唾液と共にそれを吐き出して転がっていた剣と杖を拾った。
「……早く、ここから出ないと」
地面に転がる太く短い指を踏み潰しながら、フォーヴァルは歩幅も大きくきた道を引き返す。
進むごとに奥処にまで染み広がった白濁液が下着を身に着けていない口を開いた剥き出しの扉から、地面を這いずり回るスライムさながらにどろりと垂れこぼれる。
屈辱を振り払いながら地下道を進むが、奴らがまだ近くにいるのではないか……と、目線は自然に左右へ向き、礫が転がるだけでも肩は竦み指が剣にかかってしまう。
「……………………」
行き過ぎた緊張に何度と無く躓きながら外に出れば、既に立ち込める陽炎も薄れて空は橙に塗り潰されていた。
※※※
「ふん、随分と唐突だな……俄には信用できん話だ」
聖杖を手にして三日……古びた本が隙間なく詰まる棚が四方を囲むダレクの部屋に、飲まず食わずで辛くも辿り着いていた。
今の自分は灰色の簡素なアンダードレス一枚を身に付けるのみ……慣れない薄着故、何度も腰が揺れて、布越しに張り詰め、形を見せ付けるお尻がゆさゆさと左右に波打つ。
「だが呪いを解くには避けられぬのも事実、これを見るがいい」
灰色の顎鬚を蓄えた、知性に富む皺だらけの顔と本を同時にフォーヴァルへ近づけるダレク、蝋燭の光に映る茶色く薄汚れた紙には、難解な古代文字が書かれており、読めるはずもなく首を捻って姿勢を戻す。
そのままページを捲る指を追えば、今度は杖を持った裸の女性が……継がれた言葉が真実であると否応なく思い知らされ、俯き加減のまま左手で右手の腕を掴んで視線を逸らせた。
「方法は一つ……もっとも、呪いを解く必要がないというのなら……」
杖を膣内に挿入し、絶頂時の愛液で宝珠を満たすことにより剣に秘められた淫気を追い出すという荒唐無稽極まりないものだった。
ダレクの話を聞いている内に、顎に手を当てたまま険のある目線を向けてしまうフォーヴァルだったが、相手は奥すること無く思想を蓄えたと言わんばかりの皺が刻まれた額を撫でては言葉を並べ続けた。
「……もういい、わかった。道は一つか…………悪いが席を外して」
「差し支え無ければ、見せてもらいたいが」
枯れを明かす灰がかった瞳が途端に輝く、開かれた目はシルエットを浮かばせるドレスを挟んで窮屈そうに球体を強調させる乳房、薄く筋肉が乗って引き締まった腹部へと滑り落ち、反射的に小さく開いていた脚を閉じる。
聞こえるは煮詰めた飴を思わせる色の床を蹴る音、乳房を庇わせる躊躇にダレクは乗り出していた身を直し、立ち上がって分厚い黒のカーテンを閉める。
黒影が押し寄せる中でサイドテーブルにあるランプにも光が灯され、枕元の清潔そうな白布が橙を反射する。
「……ちっ、お盛んなことだ」
不躾な欲望など跳ね除け、剣先でも突きつけてやれば……だが、知恵者の力を借りるべき時の再訪を考えれば従うべきなのだろう。
フォーヴァルは小さな木椅子を持って、ベッド脇に座るダレクの手招きのまま革靴を脱いでドレスの長い裾をたくし上げ、丸い踝から歩に慣れた抜けるように白いふくらはぎを四半分、半分と曝け出していく。
「お、おおっ…………」
擦り傷が残るものの、つるりと白い円を描く膝が露出したところでダレクが背中を屈める。
偏屈さの象徴たる忙しなく動く瞼の厚い小さな目が、左右に割り開かれた脚のドレス内部へ向くと同時にはだけた裾へ指がかかるが、椅子脚の軋む音と揺さぶられた上半身に滾る欲求を察し、首筋に引き攣りを感じながらも捲り上げる手をそのまま一気に走らせ、ドレスと一緒に渡された装飾など一切無い白の下着を見せる。
「…………上も、脱いで見せてもらおうか」
「こちらは関係ないと思うが」
膝を立て、二本の脚に角度を付けるフォーヴァル。
正面の目線に気づくと、身じろぎごとに揺れる双球の頂点で擦れて固さを浮かばせた乳首の存在を認識し、合わせ目の隙間から窮屈そうに顔を覗かせる絹白の上輪郭を始点に、ぎこちなく強張る指でボタンを穴にくぐらせて細身に不相応なまでに成熟し、密着する布奥で汗のぬめりを帯びた二つの半球が露わに。
狭苦しいドレスから開放された肉塊は布端を山の裾野まで勢いよく追いやり、恥ずかしさに身を捩る度にぷるぷると波打つ乳房と揺れに任せて立ち上がる突起へ杖を手渡そうとしたダレクの両目が集まる。
「あまり近づくな…………っ、私にも羞恥心くらいは」
右手に触れる冷たい棒の感触、一方で離れようとしないダレクの視線を注がれる内に全身が葡萄酒を飲んだ後さながら熱く、額にはじっとりと薄く汗が滲み始めた。
粘っこさを増す視線を払うように首を左右に振ってから杖を逆さに持ちながら、幼子の握り拳を思わせる一点の曇りも無い水晶を下着越しの閉じたスリットに押し付け、手首を動かして球体を上下させる。
「あ、っ……あああ……ぁ!」
接触のむず痒さと、芯から蕩けるような悦が記憶の底に封じた蛮行の限りを尽くした魔物の存在を目前に甦らせる。
先端がめり込むごとに、ドームの内側に作られた汗と体臭、媚気の混じり合う妖艶たる空間が、古書の黴臭さを塗り替え、”はしたない真似を……”と葛藤する一方で頭上を取り囲む黄眼が脳裏をよぎり、杖上部を握り持つ右手が宙を彷徨い、伸びていた肘も曲がり始める。
「あまり……見ないでくれ、恥ずかしい」
「……………………」
生唾を飲みながら上ずり声を搾り出すが、膝を手に置いたまま血走った目を向けるダレクは小さく首を振った。
意図とは無関係に手指は強張り、白布を隔てた先にある閉じ合わさった肉の筋は表面からの圧迫で、外側の畝、奥に潜む捩れた淫ら貝と順番で押し開かれていく。
身体の芯ではぬちゃ、ぐじゅっと粘調に富んだ液体を掻き混ぜるような音が……それが積み重なるにつれて下着には楕円の染みが一つ添えられた。
「ん、んんっ……ぅ、はあうっ! ああ、ああう……」
濡れ跡の形に合わせて手首を回転させれば、より大きな円運動が球体に伝えられ、押し付けられた先端のままに土手の内側で蠢いては複雑な形を描くパールピンクの粘膜が僅かに捲れ上がり、異物の太さも相まってペニスを連想してしまう。
「ん、ふあああっ…………な、何を……?」
しばし顔を寄せていたダレクだったが、不意に立ち上がり、サイドテーブルに陶製の皿を置き、香を炊き始めた。
密室を満たす濃厚な匂いに比例して痺れは腰を蕩かすまでに強くなり、爪先は自然と持ち上がって傷もなく滑らかな足裏を両目の元に晒してしまう。
肌を射抜かんばかりの熱がこもった眼光は、くちゃくちゃと蜜をシーツへ伝わせる布越しの陰部と生温かい空気に撫で回された指一本程度の乳首を交互に行き来した。
「ふむ、香が効いてきたようだな……」
「っ……貴様、どういう…………はあ、ああ」
煙を立ち上らせる皿に端を発した、濃厚な精油を感じさせる匂い……急上昇した官能も腑に落ち、”それなら仕方がないか”と諦念が頭をもたげて、呆気無い心変わりに認め難さを感じつつもフォーヴァルは背中をたわませ顎を上げ、天井の落下を錯覚しては右手で杖を上下させて左手で荒々しく大きな乳房を揉みしだく。
「ああうっ、ああぁ……卑劣な……っああぁ」
息遣いとともに蠢動する襞は、依然として指も水晶も知らない。
しかし艷やかに熟した女体は表面を緩やかに捲り返すだけの刺激であっても、目がくらむほどの恍惚が混じる痺れに伴い、縫い返しで止められた布縁から薄めたミルクを思わせる真珠色の愛液が、むっちりと肉付きのいい太ももに塗されて火照る肌に冷気を置き続ける。
「は、ああうっん、んっ……ひうう……ぅ、か、身体が」
弧を描く丘の下輪郭を持ち上げると、取って付けたように大きく膨らんだ乳房の裏と薄い胴体の間で蒸れた汗雫が、つつっと小さな臍まで伝い落ちる。
香の醸す媚気故か、前髪は額に貼り付き、取り巻く空気もサウナさながらの熱を吐き出す。
もっともそれは心地よくもあり、椅子を蹴飛ばして覆い被さろうとするダレクを止めるでもなく、老いた皺だらけの顔に触れる寸前までとろみを浴びて湿り気混じりの温もりを放つ大きな双丘を近づけ、開いた自身の五指で膨らみを揉み締め、ぷっくりと浮かび上がった抜けんばかりの色の薄い粒を爪の先で軽く引っ掻いた。
「はあ、ぁ……ん、ああっん」
接触点に始まり全身へと広がる稲妻が、フォーヴァルの背中を反り返らせて脚も一層大きく開かせる。
体動に従いベッドも大きく軋む、天を仰ぐ顔を正面に戻すと蝋燭を挿した燭台を持ったダレクが呼吸の届く場所まで距離を詰め、ぬたぬたと柔らかく溶け崩れた割れ口を真正面に見据えていた。
肌が燃え焦がれんばかりの羞恥に膝は笑い出し脚も閉じそうになるが、心の奥底には”もっと……”と内なる声が湧き出し、従属の甘露を皮膚裏に溜め込みながら吐息を深め、体液でぐちょぐちょに濡れた下着を脱ぎ捨てる。
不規則な波を発するシーツが濡れるのも構わず、ぬたりと蠢きくちゃくちゃと溶け潤む剥き貝の身を蝋燭の淡光に照らせば、そのまま雫を伝わせる重なりに透明な珠を宛てがい、捩れの中心へと引き込むままに潜らせた。
「ああん……っ、はうふっ、あ、ああぁ」
近づく両目と、指を食い込ませた乳房を交互に荒々しく揉み回す左手を助力に、先端を肉扉が重なり合う深みに没入させれば、ふっくらと白を湛えぬるまりで照り光る外扉に隠された桃色を暴き立て、無数の糸が水晶の表面に絡み付く。
狭隘な膣口をくぐった先でも、異物を収縮せんと幾重にも置かれた肉ゼリーのリングは、しとどにあふれた愛蜜を潤滑剤に異物との圧着を深め、背筋にはぞよぞよと駆け巡るもどかしさ混じりの擽ったさ……フォーヴァルは気の抜けた声を上げながら反射的に親指と人差し指でクリトリスを捏ね繰り回す。
「も……もう杖はいい。あとは絶頂時の愛液があれば、それで十分だ」
季節が過ぎる度に置いを自覚し続けた身体。
しかし目の前で嬌声を立てる少女と例えても差し支えないフォーヴァルに枯れたはずの情欲も大いにそそられ、理屈を並べ立てるのも忘れたまま白く細い手を引き剥がし、身じろぎに従いふるふると波打つ巨大な膨らみを鷲掴みに。
「……なんと重く、そして柔らかい…………」
「んむ、ううっ……触るなんて、聞いてない………っああ」
掌にはみっしりと肉の詰まった、一方で軽く触れただけでも形を崩しそうなほどの質感に富んだ脂肪塊と、表面を包む練絹を思わせる皮膚の境界線さえ曖昧になる柔らかさは、同時に僅かな粘り気を実感させる吸い付きを持ち合わせ、指甲へしっとりと潤いに満ちたふわふわの肉が纏わり付く。
さらに、中身は液体かと紛うほどとろとろに解れ、新雪を思わせる二つの球体は頂点に小さな突起を立たせ、乳輪から先も桃色に透けていた。
「っ、う……ん、はあ、ぁ……あああんっ!」
芯を帯び愛撫をせがむ乳首に爪を立てて捻り、喘ぎを促すと布ずれの音と一緒に掻き鳴らされた鈴の音を思わせる高めの声がわななく口角から弾け、辛うじて指を添えていただけの杖が白の波に飲み込まれる。
嫌悪も狼狽も微塵たりと感じさせない、下がりきった眉と涙を湛える赤瞳……乳輪の上に内向きの螺旋を置いては四指と掌でぬるま湯を詰めた風船を支え持ち、たぷんたぷんとバウンドさせながら左手を脇腹へ滑らせて直線的ながら充実したボリュームの太ももを形に沿って撫で回していく。
「…………うむ、大した濡れ具合だ……」
「はあ、はあっ……それは……ん、違う、ああう」
フォーヴァルが唇を震わせ、テーブルに置かれた陶器へ顔を逸らす。
香気が自分の体内にも回ったか、ダレクも比喩しがたい欲求に突き動かされ、凝脂が作るシルエットの奥でぐねぐねと蠕動する秘貝に指を吸い入れさせ、粘っこく纏わり付いて蚯蚓を連想させる壺の内側を襞のままに刮げ撫でる。
「く、ああっ……これ以上は、関係……はあうっ」
所在無さげに肋近くへと置かれていた掌を再び乳房に戻し、五指の力を僅かずつ強め、若さ故にきゅっと上を向いた釣り鐘に近いドーム状の実りを片手全てを埋めんばかりに揉み潰した。
双方向の刺激がフォーヴァルの鼻翼を膨らませ、くねり踊るのぼせ肌には汗と涙が添えられる。
愉悦を明かす体動に比例して暗闇にも桃混じりの熱っぽい白が朧と浮かび、なびく黒曜石さながらの束ね髪とたぷたぷと波揺れる双丘の動きが同調したところで、襞蟲の一匹一匹は溺れる人差し指を吸い寄せては奥に招き、ぬちゅぬちゅぐちゅぐちゅと甘く締め付けて異物を舐め回す。
「何と素晴らしい……貴族の娘であってもこうは行くまい」
ため息混じりの感嘆、シーツの端を握り締めて眉間に皺を寄せながら両目を固く瞑るフォーヴァルの下腹部に潜り込んだダレクは、太ももを筋が突っ張る寸前まで脚を割り開かせ、薄くなる皮膚に連れられ左右に逃げる外唇の中心に垣間見えた、僅かな窪みへと指を半分ほど没入させる。
「ああうっ……ん、やめ、っ……入れる、な」
頭上で聞こえるくぐもり声と掠れた吐息を聞きながらのストローク……愛液で粘る襞は抽送を激化させることで、ぐねついてくちゃくちゃと歯の無い口で咀嚼せんばかりに絡み、もがく指が膣口と手首に糸引き汁を伝わせる。
皮膚が溶けんばかりの柔熱、ダレクはさらに顔を近づけ、桃色の剥き身が撒き散らす馥郁たる甘香と薄いざらつきを伴った大小様々な起伏が入り組む、スライムじみたとろみと弾力に追い打ちをかけられるように中指を加勢させた。
「そこ……っ、ああぁ…………お、おい、んんぅ」
ダレクがぬるぬると濡れそぼつ秘裂に鼻先を近づけると、フォーヴァルが瞳を潤ませ、熱息を吐きながら腰を痙攣させる。
細明かりにきらめく傷一つ無い小さな爪が下腹から広がるわななきと同時に震えて丸い臍も上下し、吹きかかる呼吸がぬめり肉のスリットをそよぐだけで、引き結ばれたはずの双唇が唾液を載せる舌を露出させた。
体動が激化すれば、掌で包んだ巨大な膨らみも振動と息遣いにゆさゆさたぷたぷと波に揺られた小舟さながらに暴れ弾み、指を舐り上げる濡れ肉絨毯のぞよめきも相乗してつい加減を忘れてしまい、前後のペースは際限なく早まる。
「この締まり、名器としか言い様のない」
深くまで刻まれ侵入物を絡め取る襞は、ぬちゅぴちゃくちゅっと粘度の高い涎を噴き散らしては焔に照りきらめき、淫気を立ち上らせる。
香としとどな愛液の中で呼吸が一つ重なり、その分だけローブの奥では斜めに睨む亀頭が先走りを滲ませ、むず痒さともどかしさ……そして軽い痛みに操られながら肉棒をむき出しに、そして自らの先端とシーツに皺を刻むフォーヴァルの紅に染まる雪肌の中心を交互に見つめる。
「このような気分になったのは久しぶりだ……」
「…………っ、あ、ああぁ……貸せ、さっさと終わらせて……はうっ」
こみ上げる快感の渦、そそり立つ竿に伝わるしっとりとしたビロードと紛う心地、ダレクがそれらに酔いしれている間に骨を感じさせない滑らかな指先がエラを巻き上げ、裏筋を擦り揉み、ぐちゃぐちゃと粘っこい音を立てて動き始めた。
右手にはひしめき合うぬめ肉の縄、左手にはみっしりと重量感に溢れ、揉み拉げられて沈む手の中で自在に変形する柔らかな乳房。
さらには数年ぶりに滾りを取り戻したペニスを押し潰す指腹……挿入への強い衝動から、フォーヴァルのすらりとした女体に覆い被さろうとするが、フックさながらに曲がる生白い人差し指がエラ裏の敏感な粘膜をぬりゅっと揉み捲り、強烈な刺激に背中も仰け反ってしまう。
「ううっ……! も、もう少し強く……」
寄せては返す生温かくも鮮烈な気持ちよさがダレクの頭芯に火花を飛ばし、燻り続ける欲求に命じられるまま腰を前に出して胸を揉む手と膣穴を穿つ律動を加速させると、媚肉の狭間はぬるやかな糸蜜をこぼしつつ、ぐねぐねと引き込みをあからさまに。
「あっ、あ……はああ、ぁ……っん」
喘ぎは声にならず、フォーヴァルは毛束を舞い踊らせながら顎を震わせ、唾液にぬるついた真珠色の歯と丸まって先の尖った舌を、露を浴びた花弁を思わせる唇の間から綻ばせるまでに深い愉悦へと浸る。
それでも依然として幼さを残す牝の貌にペニスの脈動も促され、跡を付けんばかりに平べったく押し潰される乳房と、蕩け崩れた膠を思わせる膣壁が迸らせる熱された蜜液が、快感を注がれる指の前後、上下の動きを際限なく加速させた。
「あ、ああっ……奥は、ぅん……ひああっ」
だらりと下がったままの左手は皺が深く刻まれた額に添えられた。
その抗いとは裏腹に、彫塑じみた均整の取れた肢体は手の甲まで全て埋もれさせてもなお余る巨大な乳房をゆさりゆさりと振り子のように弾ませながらダレクの元へと迫る。
同時に亀頭を練り揉む圧力も強まり、鈴口に溢れる先走りは潤滑油としてぐちゅ、ぬちゃっと何本もの短く細い糸を引きながら絹布を思わせるふわふわの皮膚に扱き撫でられていく。
「ああっ……はう、ううっ……早く、いってしまえ……ああっ……わ、私も」
「うおおおっ、ぐ……もう少し、で……」
薄く滲む水膜は朧な星明かり、だが赤をきらめかせる双眸が力を取り戻し目尻に浅く皺が刻まれれば、擦り動く指腹に疼痛を感じさせる。
並行して心地よい圧力が根元から先端に送り込まれ、出口付近まで追いやられる白濁液……渦を巻く比喩し難い快感のまま、ダレクは指を半回転させてざわざわと縺れ合う襞蚯蚓を掻き撫で、さらなる蠢動をせがむ。
「ああっ……っん、いく……やめて、くれ……う、ああああっ!」
中指の先が膣錠部の起伏を優しく引っ掻いたところでフォーヴァルの嬌声が飛び、肩と背中が跳ね暴れ両脚も痙攣する。
結合部からは煮え溶けた蜂蜜を連想させるぬたつきが迸り波打つ皮膚に合わせて狭隘な襞蟲の合間では接触点の境界すらも無くなり、ぐじゅぐじゅと蕩けながら指を締め付ける。
「っお……うううっ!」
体動に翻弄される掌が亀頭を強く握り包み、指を押し付けたまま屈曲した手首が半転する。
厚みを取り戻した掌上の肉に揉み抜かれたまま、くぐもった呻き声とともに射精してしまう。
長い年月を隔てた先の快感は至上の脱力感とともに全身を満たし、支える力を失ったダレクは上半身をふらつかせながら放心で目を閉じているフォーヴァルの乳房へと倒れこんでしまう。
「はあ、はあ……ま、まだだ……この程度で…………」
彼女の手には頼りなく萎びたペニス、そして指間で粘糸を作る黄色含みの液体と固体が混じり合った濁汁……老体には一度の射精も酷であったか、身を起こそうとしても力は入らず、挿入を望む気持ちは、脈動の度に徐々に薄れていった。
「……そのまま寝ていることだな、無理は身体に障る」
頭上に聞こえる、低さを取り戻した穏やかな声……自らの老いに悔みを感じつつも、泥のように周囲を取り巻く倦怠感と眠気には勝てず、服を着るのも忘れて目を閉じてしまった。
※※※
キルト地を裏に縫い付けた鎖帷子の上には胸と背中を守る板金鎧、右手には揃いの籠手、下は鞣し革のズボンに太ももからは足元を守るためのグリーブと動作に不自由のない範囲で聖杖と引き換えにダレクから与えられた装備を身につけ山道を進むフォーヴァル。
枯れ木を踏み締める乾いた音と生い茂る葉の隙間に見える灰色が薄暗さに拍車をかけていた。
「…………ふう、まだ先は長そうだな」
呟いた直後、不意に視界が広がる。
何かに使ったか周囲の大木はほとんと切り落とされており、切り株の上に腰を下ろすと頭上には一面の曇り空が。
グリーブを付けた両足は重く、膝近くにも軽く痛みが走っていたが目を閉じて座っていれば不快感も薄れていく。
「………………ちっ、少しくらい休ませろ」
風切音と一緒に訪れた翼の羽ばたき、金切りの鳴き声……頭上を飛び交うは翼竜の群れ、赤黒い体色に同様の翼、細長く尖った嘴が大きく開くと細かく敷き詰められた牙が顔を覗かせた。
奴らからすれば人など獲物か相手は五匹六匹と数を増やし、円を描くように飛び回りながらフォーヴァルが剣を構える前に羽ばたきを止め、地上目がけて一直線に飛びかかった。
「数だけ揃えても無駄だっ!」
鋭利な刃物を思わせる嘴が空を切る。
刹那、鞭をしならせる音とともに束ね髪がそよいだ。
初撃を回避したフォーヴァルは正面に向き直り、追い打ちをかけんと急旋回の後、前後から同時に突撃を繰り出す相手と距離を取り身を屈める。
そして隙を図ることもなく本能のまま歯を剥き出しに攻撃を仕掛ける翼竜の頭向かって両手で握り締めた剣を振り下ろした。
「――――――!!」
言葉では表し難い魔物独特の不快感な断末魔、一方で硬い殻に包まれた果実を真っ二つにするような、痺れと重さが残る手応えを抱きつつ、嘴をひくつかせ地面に赤錆色の血溜まりを作る一匹目を振り返ることもなく、真後ろに迫った二匹目の胴を硬く靭やかな羽ごと真横に断ち斬った。
「雑魚が………………な、何だこの音は……!!」
大木をなぎ倒す地響き、助けを呼ばれたか見上げた先には三階建ての塔に匹敵する巨大な魔竜が。
緑瞳に光沢を放つ鱗、両手剣さながらの太く長い爪、鋼も一噛みで粉々にできるであろう広い顎と鋭利な牙……翼竜とは対照的な巨体故の威圧感がフォーヴァルを後ずさりさせた。
「逃げられそうにないな……だが!」
解呪された魔女の刃は以前とは異なり女体に悦を与えない、残る冷静さに勝利を確信し、砂を踏み直して巨竜を睨み上げたまま刃先を突き出した。
こちらが腰を落とせば轟音が止まり、人など容易に丸飲みできる口がゆっくりと開き始める。
瞬間、風さえ灼かんばかりの炎が地面に吐き下ろされた、鎧越しに伝わる熱……右に素早く転がり直撃は避けたものの、飴のように溶けた空気がどろりと全身に纏わり付いて前に出す手足の枷となり、膝を崩した状態で剣の柄を手の中で転がしてしまう。
足元さえ覚束ない中で木炭の焦げる臭いに振り返れば、切り株も天に向かって繁茂を続けていた若木も、全てが赤橙に取り込まれ黒く朽ち果てようとしていた。
背中越しの乾いた熱風が後ろ髪を引っ張る、しかしあの男が城よりも大きな竜を倒したという話を思い出し、下がる肘を前に戻す。
「この程度の相手、倒してみせる!」
翼竜の血がたっぷりと染み込んだ刃を遥か頭上にある大きな顎へ向けた、開かれたままの口角から二度目の爆炎が飛んだのはその直後、しかしフォーヴァルは相手の緑瞳が上を向いた瞬間に身を屈めて、何を省みることもなく全力で前に進み、焔が届かないであろう両足の真下へ。
腕よりも太い爪の先に切っ先を突き立てると、板金さながらの固い鱗も干し肉でも切るかのように削ぎ刮げられていく。
「いけるかっ!?」
魔竜の反り返った背中が崩れ、腕に守られた腹部が間近に露出する。
突風を伴って叩き付けられる両手の鋭い爪をくぐり抜け、分厚い胴体に立てた刃を鍔が見えなくなるまで突き刺した。
皮膚こそ鋼を弾かんばかりの硬さだったが内側は獣の肉と変わらず、フォーヴァルは強く握り締めた剣で引き抜いては刺しを繰り返して紫色の傷口をぐちゃぐちゃに広げる。
吐き散らされるのは炎ではなく絶叫、振り回されるが近づいても気配を一早く察知し、渾身の一撃で腕も落としてしまう。
「………………」
崩れ伏す魔竜が動かなくなったのはその直後、息絶えた相手を背中に心の昂ぶりを感じるがそれは剣の呪いなどではなく、強敵を打ち倒した純粋な高揚感だった。
去り際、返り血を厚布で拭いながら自らが追い続ける男の噂を再度思い出す、決して勝てない相手ではない……次は貴様の番だと。
「ははは………ははははははっ、いける、いけるぞ!!」
雲の切れ目に青空と太陽、汗ばんだ額を撫でるなめらかな風はまだ見ぬ勝利への祝福か。
魔物の骸は遥か背中、フォーヴァルは歩調も軽やかに下り坂を急いだ。