後輩寝取られ十話 (Pixiv Fanbox)
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土曜の昼下がり……真上近くに居座る太陽の直射日光が窓から室内へと入り込む、去りゆく涼風を引き止めるようにライトグリーンのカーテンを閉めると、ガラス越しの景色と一緒に肌を炙る熱が遮断された。
残った宿題を理由に一人で留守番していたが、机の上に開かれたノートにはどこまでも白。
どうにも集中できず、穂乃香はベッドの上にうつ伏せになり、携帯のメールを確認する。
未読は五通、どれも送り主は魁人だった。
「はあ、だめ……だよね、このままじゃ」
魁人と言い争いになってから部室に顔を出していない。
一方で直久とは毎日会って身体を重ねている。
唇も、両手も、耳も愛している”はず”の彼を忘れつつあった。
自分から出向くべきだろうか……底が隠れるほどに積み重ねた裏切りが、スクリーンに宛てがった指を震わせる。
だが発すべき言葉も思い浮かばず、携帯を投げ捨て、ピンク色のビーズクッションに抱き付いた。
滑らかな生地が温もりを吸い込み、埋めた顔に熱を回らせる。
布ずれがクーラーの風音を掻き消す、もう一度魁人に謝ってやり直すべきでは、寝返りを繰り返しながら行き詰まった思考の出口を探す。
だが、仰向けになった瞬間、内腿が擦れて下腹部に切なさが走り、ショートパンツを挟んで肉裂に触れてしまった。
「直久君……だめ、ん、っ、先輩……助けて……」
葛藤も躊躇も、内に蓄えられた温もりが吹き飛ばし、二枚の布を挟んで先尖りの楕円を擽り立て、肉層の中心にある窪みめがけて指を押し入れる。
両目を瞑れば寸前の黒が絡み合う二つの裸体を映し出された。
霧散する魁人への思いが映像を少しずつ鮮明に、指弄の範囲も勝手に広がる。
しかし服越しの羽箒の先端数ミリで撫で掠められる錯覚がもどかしく、穂乃香は縺れてぶつかる指でファスナーを下ろして下着の中に三指をくぐらせ、黒猫の体毛を思わせる茂みの間を掻き進める。
ゴムが引っ張られることで下着の内側に溜め込まれた甘く湿っぽい香りがふわあっと立ち上り、鼻の奥へと届けられた。
「ん、メール……?」
派手に響く振動音がメールの到着を教える、この音は魁人からだろう。
本来なら今すぐ文面を確認して返信すべきだが、やはりその気にはなれず、部屋中央のテーブルで光りながら震えるそれにただ顔を向けるだけ。
携帯と睨み合っている間も冷やされた空気が額を撫で付け、背筋を震わせる。
同時に下腹部にへばり付いた快感も消え失せ、次第にクッションを抱き締める両手に力が入り、苛立ち任せに指をビーズの中へ食い込ませてしまう。
会おうとも直接声を聞こうともせずに、メールだけで済まそうとするのは気まずさを避けるためか。
それでも直久なら、どれだけ自分が機嫌を損ねても……
「………だめ、だよね。何考えてるんだろ」
魁人の思いを踏み躙り続け、非を咎めさえする自分の狡さに、穂乃香はクッションを壁に投げつけてしまう。
重たく響く音と同時に、携帯の振動が止まった。
メールには何が書かれているのか、気になって手を伸ばすが机に触れたところで右手は勝手に握り拳を作り、意志とは無関係に伸びた肘も曲がってしまう。
両親も弟も明日の夜まで帰ってこない、今なら気兼ねなく魁人にも会いにいける。
もちろん直久にも…………唐突な思考の反転に首を左右に大きく振って居座ろうとする残像を追い出した。
絶対にメールだけ返さないと、苛立ちが申し訳なさに変化した直後にインターホンが鳴った。
「大丈夫、だよね……このかっこ」
母から荷物の受け取りを頼まれていた。
視線を落とすと、白いタンクトップにベージュのショートパンツ……鏡の前に立てば、ブラを付けていないためか薄布が大きな乳房にぴったりと貼り付き、下輪郭を丸く崩したシルエットが一目瞭然。
身を翻せばむっちりとした安産型のお尻がショートパンツに押し込められており、窮屈そうな二つの球体が下着のラインを浮かばせ、布を押し上げて中心部と側面に何本も線を走らせていた。
「は、はいっ! すみません、すぐ行きますからっ!」
着替えるべきか、足を行き来させている間にもう一度インターホンが鳴る。
音に急かされるまま眼鏡を掛けて、聞こえるはずもない弁明を口にしながら廊下へと出る。
階段を降りて、玄関へ。
板張りの廊下を踏みつける音を連れて、ドアの鍵を開ければ、そこにいたのは直久だった。
「おじゃましまーす」
「えっ、ちょっと、勝手に……!」
予想外の訪問者に穂乃香は思わず重たい鉄扉を引くが、直久は右手と右足を滑り込ませて広がった空間に自分の身体を捩じ入れ、後ろ手で鍵を掛けてしまった。
「ひどいな、もしかしてあいつ来てるの? だったら余計都合が……」
「違うよっ……今日は私一人、あっ」
躊躇いなく靴を脱ぎ、二人きりに乗じて両肩を掴む。
自分の力では追い出すこともできず、階段へ向かう身体を捕まえられ、お尻に添えた手でリビングまで引きずられた。
「……へえ、そうなんだ。いつ帰ってくるの?」
覗き込む顔、両目は爛々と輝きを見せる。
顔を逸らしても汗の匂いと腰に当てられた手からは逃げられない。
布地越しに送り込まれる熱が膝を崩し、露出した腕に粟を並べる。
内心には十分すぎるほどの自覚、一日中直久の近くにいたら……脳裏を塗り潰す想像に、穂乃香は腕を振り解いてクリーム色のソファーに座る。
直久も隣に座り、リモコンを取ってテレビのスイッチを入れた。
立ち上がるだけの力は無い、直久が身体を近づけて、剥き出しの肉がついた太ももに手のひらを添えても、肩を強張らせながら目を瞑って時が経つのを待つばかり。
「………………明日の、夜」
「じゃあ、今日は泊まってこうかな。一人じゃ危ないでしょ?」
「だめ、帰ってよぉ……」
魁人への罪悪感が拒絶の言葉を、残った理性が目に涙滴を湧き立たせる。
直久も頬を伝う雫に手を離し、覆い被さる身体を戻し、背筋を伸ばす。
穂乃香も心底の安堵から大きく息をつくが、消えゆく体温への名残惜しさが顔中に走らせる火照りに、タンクトップの裾を下へ引っ張る。
「……わかったよ、しょうがないな…………そうだ、麦茶とかある? 喉乾いちゃって」
「ちょっと待ってて………………ひゃあっ!!」
膝の崩れは治まっている、立ち上がり台所にある冷蔵庫に向かおうとしたところで、直久が後ろから抱き付く。
首筋へ振りかかる吐息に、お尻を、胸を弄る両手。
足を前に出して距離を稼ごうとしても、布一枚先の指がまろやかな曲線の上で蠢いてそれを阻む。
踏み出せない二歩目に焦れて、自由な両腕を暴れさせるが、肘が脇腹にぶつかっても直久は表情を変えず、後ろ髪に顔を埋め深い呼吸を繰り返した。
「ごめん、やっぱりそのままは帰れないな。おっ、ノーブラか……すげ、穂乃香ちゃんエロすぎ、乳首浮いてきてるよ?」
身悶えが巨尻をくねらせる、布の擦れる音が積み重なる中で、絡め取られる不安に俯き加減になりながらもお尻を突き出し、直久を押し戻す。
しかし、むにゅむにゅと肉付きのいいお尻を下半身に圧着させたことで相手の興奮を煽ったか、中心には固い膨らみ、次第に大きくなるそれがお尻の谷間で上下する。
その勃起したペニスの雄々しさが穂乃香の腰を落ち着かせた。
伝わる熱が、情事の光景を否応なく瞼の裏に貼り、足指も入った力で湾曲してしまう。
許されない逃避を咎めるように、直久はタンクトップから浮かぶ小振りの乳首を摘み、不規則なリズムで引っ張っては押し込んでを繰り返す。
「や、ぁ……それは、直久君が来るなんて、思って……んんぅっ」
この前とは違い、栗色の髪はバラの淡く甘い香りを漂わせている。
フェロモン混じりの体臭とともに肺奥まで匂いを行き渡らせ、興奮の原動力へと変えた、穂乃香は駄々を捏ねる子供さながらにいやいやと上半身を揺さぶっているが、乳房はたゆんたゆん上下左右に波打ち、豊満なお尻はずりずりと谷間の食い込みにそって竿裏を扱き上げる。
五感への刺激も直久の手弄を激化させ、滑らかな布を隔てて埋められた十指は窪みの内側で揺れる肉塊の撫で包められるような圧迫に翻弄される。
「それにでかいケツでぱんぱんになってる……誘ってるとしか思えないなぁ。ん、ちょっと汗の匂いが」
背中越しの掬い上げられた乳山の景観、伸し掛かる手のひらに鎖骨を始点にした登り坂は傾斜を増し、白に潜む桜色も前へ引っ張られて半球は円錐へと変わる。
緩めに作ったプリンを思わせる柔らかさの目立つ弾力、指は押し返されつつも、しっとりとした潤いのヴェールが皮膚同士を吸い付かせ、粘り付いて離れないもちもちの摩擦を堪能する。
お尻も踏み出した足に合わせて小刻みに震え、挟まったペニスを自然と中心部へと導く。
歩くだけでぬちゅっと擦れ合うであろう内壁の深い切れ込みが竿の根元まで圧迫し、さらに穂乃香からも押し返してくれ、叩き付ける下半身に合わせて平らに潰れてはぷるんっと揺れて熱と媚香を発散しながら元の丸みを取り戻す。
直久が触れた部分を貪欲に咥え込む身体……今までも、これからもずっと指一本触れられない魁人に、哀れみ混じりの優越感を覚えた。
「はあ、ぁっ、や、あ……んっ、う……」
「すー……はー……いい匂い、今日暑いからな」
「っん、や、ん……当たってる、はあ、ああっ……わかった、わかったから」
手のばたつきが止まり、竦んでいた肩がなだらかさを思い出す。
硬直の抜けた身体を寄せ、内側の折り返しに指を引っ掛けてタンクトップの裾を捲る、潜むのは空気さえ焦がしそうな夏の日差しとは裏腹に、真冬を感じさせる臍周りの白さ。
過剰さすら感じる乳尻のボリュームの名残か腹部を指で軽く押すとふにふにと凹むが、穂乃香は羞恥を全身であからさまにし、ぷくぷくした頬に赤を置きながら裾を引っ張って小さな窪みを隠そうとする。
「シャワーだけ、浴びさせて……お願い」
匂いが消えるのは残念だが、断る理由はない。
頷けば見下ろした先に恥じらい混じりの笑顔が。
同じく笑顔を返した直久は、目元から口元にかけて汗の粘り気を帯びた柔肌を撫で捏ねる、瞬きを繰り返す眼鏡越しの双眸はさしずめ雨に濡れた三日月だった。
「……ありがと…………えっと、何でついてくるの? ぁ、んっ、ふう……」
「俺も汗かいちゃったからさ、一緒に入ろうと思って」
「え、や、やだよ、そんなの……あ、ぅっ、っ…………」
バスルームへ向かう穂乃香の左右に揺れる腰を捕まえ、扉の空いた先に誘導する。
洗面台と洗濯機が置かれた清潔な脱衣所で、タオルを抱えた後姿を浴室に続くドアに追い詰め、先んじて服を脱ぎ始める直久。
そして脱ぐ素振りさえ見せない穂乃香のボタンを外し、ファスナーを下げてやった。
最初こそ直久の手首を掴んで屈めた背中を震わせていたが、やがて諦めたか、ぎゅうぎゅうに押し込めた大きなお尻にしがみつくだけのショートパンツを脱ぎだした。
お尻を突き出して足首からそれを抜く。
瞬間、逃げ場のない密室にむわっと蒸気じみた熱が額を吹き通る。
微かな酸味の底に、過度に熟した果実を思わせる癖のある甘み……情欲のボルテージは一気に頂点まで引き上げられ、赤く染まりフェロモンを発しているうなじに舌を這わせながら両手でお尻を揉みたくり、たっぷりとした肉を自在に捏ね回す。
「あれ……もしかして、穂乃香ちゃんも期待してた? 早く言ってくれればいいのに」
手に余る膨らみを探る指がオレンジと白の細いボーダーに水玉模様のプリントという幼げなデザインの下着を中心の深い切れ込みへと集める。
捩れる薄布は日焼けとは無縁な雪肌を暴き立てながら、半円から三角形へと形を変えていく、直久は段差になったゴム跡をなぞり、付け根近くまで滑らせた指で左右の尻山を抱え上げた。
支える五指にはずっしりした充実感のある重み、身じろぎのたびにゆさっゆさっと肉が波打ち、熱を含んだ甘香は顔中を撫で回していく。
直久は後ろ手で腕を掴む動きの隙間を突いて湿っぽい裏布の縫い返しに指をくぐらせ、手が届く前に汗を吸い込んで滑らかさを増した白布を肩近くまで捲り返した。
「は、うぅ、脱ぐまで、待っててよぉ」
「ごめんごめん、なんか我慢できなくなっちゃって」
眼鏡を取った穂乃香が、唇を尖らせながらタンクトップを脱いで脱衣籠に置いた。
栗色の髪は襟を通り抜けたことで解れて穏やかなウェーブを生み、桃紅を走らせる肌と相まって、あどけない表情に不似合いな媚びた色香を醸し出す。
執拗に絡み付く視線に気づいたか、両腕でふるふる揺れる乳房を隠す穂乃香。
だが強引に手指を引き剥がし、ソフトボール大の肉塊を晒し物にしてしまう。
「もう…………あ、んっ、だめぇ」
震える指が手の甲へと近づくが躊躇うことなく振り払い、既に硬くなり始めている乳首を優しく摘み上げた。
指頭が白くなった左手が洗面台にかかる、肩越しに見える紅潮した穂乃香の顔は眉を顰めて唇を噛んでと官能の炎を露骨にしている。
直久は火傷せんばかりに体温を蓄えた乳房を揉み捏ねては手繰り寄せ、二指で根元から先端を掘り起こし、汗を纏ってねっとりしたそれを引っ張り上げては押し転がした。
「やばい、穂乃香ちゃんエロすぎ……」
抵抗は形ばかり……魁人を思い、拒み泣きじゃくる彼女は彼方へと消えた。
眼前にいるのは大きな胸と尻をぐにゅぐにゅと揉み抱えられ、練絹を感じさせる肌に汗のぬめりをたっぷりと浮かばせた一匹の牝。
粘り気を伴い押し返す湿ったマシュマロのような触れ心地に神経を直接擽り回された直久の指遣いも自然と荒々しくなる。
むぎゅっとお尻を掴み、ふくよかな丸い実りに五つの窪みを深く刻むと穂乃香の肩が大きく震えた、足は一歩前に踏み出されバランスを崩した身体が磨りガラスの扉にぶつかる。
乳房を掬い包む右手で程よい肉付きのお腹を支えながら巨尻に密着した下着をずり下ろしていく。
落とした視線の先では、ピンク色を滲ませたふかふかの白い蒸しパンが貼り付いた下着を脱がす反動でぷるんっぷるんっと揺れて、指を飲み込もうとしていた。
「あ、ふっ……だめ、ん、ぅ」
やはり窮屈なのだろう、尻山の頂点にゴムが達したが引っ掛かりのせいでスムーズに下ろせず、穂乃香を抱えた左手の助力を得ることで、何とか足首まで脱がすことができた。
早速ぬるつきを着込んだ生尻に触れて、指が滑るのも構わずお尻を中心に向かって揉み寄せた。
しかし、手を谷間の奥へとスライドさせ、色気づいた好き蟲の下端に指が触れた瞬間、穂乃香は横開きの扉を開けて浴室へと逃げてしまう。
露と消えるふっくらとした膨らみを誘引剤に直久も扉の奥へ、その先では睫毛を汗と涙で濡らして脱力した穂乃香はマットにお尻を付けてへたり込んでいた。
曇り一つない鏡面には見上げる小さな頭、毛束の間に潜らせた手のひらを後頭部に添え、水色の滑り止めマットへ仰向けに寝かせた。
「……あんまり急ぐと危ないよ、滑って転んだりしたら大変だからね」
「っあ、直久、君……はあ、んっ、そっち、はあぁ……シャワー、浴びれなくなっちゃう、んひうぅ」
足甲が白い椅子を端に蹴飛ばす、高校生には相応とは言い難い成熟した身体の上に直久も馬乗りになり、ふわふわの桜に彩られた乳房へと顔を埋めた。
穂乃香の上半身がぴくっと痙攣し、近くの洗面器を掴む手がふらふらと宙を彷徨う。
それは迷子のように引き締まった胸部と腹部の境を行き来するだけだった。
彼女のささやかな抵抗など意に介さず、頬を使って大きな乳房をぽよぽよとゼリーのように弾ませる。
たわわな双山脈は右に左に動く頬にこびり付きながらバウンドし、横顔をふにゃふにゃと包み込む一方でぷるぷると弾力で押し返す。
鼻先で儚さすら感じる柔山を凹ませながら、突起を摘み上げて軽く爪を立てると穂乃香の腰が泳ぎ、ビニール製のマットが擦れてきゅっきゅっと甲高い音が嬌声に混じり始めた。
「あ、ああっ、は、ああうっ……ああぁ!」
巨尻に見合った肉感的な下半身を浅く震わせれば、上下の腰動に合わせて腹部も膨らんでは萎み、指先で隠れる丸臍と脇にある薄い黒子も波に揺られる。
目線の先には眉根を寄せて広げた小鼻で息を荒げる穂乃香、法悦を露にしたくしゃくしゃの顔は泣いているようにも見える。
「忘れてた、シャワー浴びないとね」
シャワーヘッドを穂乃香に向けてお湯を出す。
肌に塗り付けられた甘い汗が流され、快楽に酔いしれて薄赤く煌めく双眸に落ち着きの色が戻る。
もっとも、余韻からは逃れられずにマットの上で身体を踊らせていたが。
「洗って綺麗にしてあげるよ」
「い、いいよ、自分で……ひゃっ!」
ボディーソープのボトルを手に取り蓋を開ける。
精液を思わせる白くどろどろした粘液を穂乃香の細身だがふよふよした右腕、左腕に撫で付け、液体を肩から手首、首筋にまで伸ばす。
ぬるぬるとした肌を指先が滑るたびに声が弾ける、あえて性感帯は避けていたが、腹部に腰、太ももとふくらはぎと白い泡に覆われた部分が増えれば、壁や天井にソプラノボイスが反響する。
鼻を擽るのは、石鹸の淡い匂いに潜む愛液の瑞々しい蒸し暑さ。
肉の球体と内側に限界までぬめりを湛えた重なりを隠す土手に泡まみれの両手が近づくにつれて淫気は強くなる一方。
穂乃香も口をぱくぱくと開いて、溜め込まれた唾液を唇端からこぼしている、魁人のことなど頭の片隅にも置いてないのだろう。
「はあ、っぁ……だめ、指がぬるぬるしてる、ぅ」
山の裾野から指を頂点へと歩かせ、半球状に曲線を描く白に白を被せてぬめついた丸みを手の中でつるつると滑らせる。
指弄を嘲笑うようにぷるぷると揺れながら逃げ惑う乳房だったが、いっぱいに広げた両手でそれを揉み寄せ、にゅるんっと楕円球に拉げさせて谷間を深くする。
「はあうっ、やあ、ああぁ」
寄せられた肉塊に持ち上がる乳首を抓っては引っ掻き、痛みまがいの刺激を与える。
滑りのいい泡が腰の揺らぎも背中の反り返りも倍加させ、跳ね回る両膝は直久の腰を何度も打ち付けた。
「……あいつは知らないんだよな……穂乃香ちゃんが、こんなにスケベだなんて」
「はあ、んっ、先輩のことは……言わない、でっ」
当然一生教えるつもりはない……直久は最大限まで勃起したペニスを熱が立ち上る胸の谷間に押し当て、ぬちゅっぬちゅっとひしめき合う柔果実のあわいに潜らせる。
下半身を駆け巡る微弱な電流に、背筋と顎が仰け反りそうになったが、穂乃香の両胸を寄せて汗と泡でぐちゃぐちゃにぬめりを走らせる肉の狭間で竿を往復させ、電流を指数関数的に増幅させた。
「はあ、うっ、ああっ、直久、君……はあ、だめ、あは……ああぁ」
眉間を緩めた穂乃香の腰が踊り、マットが擦れる音に後れてぐちゃ、にちゅう……と水飴を混ぜ返す音が聞こえる。
音の大きさに比例して肌と肌のぶつかり合いも強くなり、腰が下乳を叩く反動で双球は振動を上乳へと送り、ぬらぬらと照り光る肉塊は、ぷるぷるにちゅぐちゅと覆い被さっては吸い込むような圧縮を竿全体にもたらす。
泡の向こうで桜色に火照る乳肉の内壁が、亀頭の形に合わせて歪みエラの内側に侵入する。
溶ける寸前のソフトクリームに浸された作りたてのプリンを感じさせる温もりと柔らかさ、弾力は乳房を揉み回す両手を小刻みに震わせることで一際強調され、ぬりゅずりゅっとカリ裏を扱き拭う快感も数倍に膨れ上がった。
さらに、皮膚の間を満たす泡が質感に富んだ肌へぬたつきを添え、ペニスを前後させる律動の加速を煽る。
蕩けた肉が一つになる錯覚に、早くも射精を間近に感じつつあった。
どろついた蠢きが袋の内側でぐるぐると回り始め、穏やかな疼痛が全身を包む。
衝動が葛藤の呼び水となり、むぎゅうっと揉み寄せた手で濡れ肉の間を狭隘にしつつも、亀頭まで駆け上がったむず痒さに自然と腰も引け、ストロークも散漫になる。
「ほら、穂乃香ちゃんがおっぱい寄せて、乳首触ってあげるから」
「っふ、ああっ、や、っ、そっち……はあ、あっ! 気持ちよく、なっちゃう」
当初の拒絶など見る影もない……とろとろに解れた柔らかい乳房の上を我が物顔で這い回る指の動きを追って、脂肪を薄く着込んだ腰がくねり、背中はたわんでは突っ張ってを繰り返す。
本来抵抗すべき両腕は身体と同じくマットの上で眠りについた子供さながらに微動だにしない。
感慨じみた思いに、直久は入浴後のように桜色に染まる乳房の、濃く色付いた頂点をスイッチに見立ててささやかな円周のへと押しくぐらせた。
「ひゃあっ、だめ……直久君、そっち、あああ……」
ふくふくとした指は握り拳を作り、顎も反り返る。
肌荒れを一切感じさせない喉の生白いラインに目を奪われていると、竿横への圧力が強くなる。
双方向からにゅるにゅる押し寄せる乳房に、睾丸から亀頭への迫り上がりもより鮮烈に。
一定間隔で押されるポンプさながらに絶え間なく迫る快感から逃げるつもりで、立てた指先で乳輪に円を刻み、足跡知らずの大きな雪山とは異なるわずかにざらついた桃色の皮膜を刮げ撫でる。
置かれた円が一つ増えるたびに穂乃香の脚が身体の下でばたつき、踵がビニール製のマットを叩く音が浴室中に反響する。
横髪を唇端で噛み締め、白い歯を食いしばり愉悦への没頭を露骨にする穂乃香だったが、乳房を押さえて汗と泡でミストサウナ同然と化した肉塊で、埋もれたペニスを四方からぐにゅぐにゅむにゅむにゅっと練り扱き撫で上げるのは忘れない。
「ちくび、だめぇ……ああっ、ああぁ、こりこりって、しちゃ、だめ」
ふわふわの泡は潰れて白いヴェールへと変わり、石鹸とフェロモンが混じる馥郁とした香りが頭の中まで撫で繰り返される。
脳裏を満たす衝動に、一度は戻したペニスも前後の揺れを大きくし、ねとつきを纏った柔乳のバウンドもたっぷんたっぷんと寄せては返し、亀頭を甘く締め付ける。
ここに加勢するのは、粘り気の強い生クリームを思わせる乳肌に我慢汁のコーティング。
てらてらに妖しくぬめ光り、吸い込んでは締め付ける解れて蕩け崩れんばかりに柔らかくなった双球……背筋の捩れに沿って、蜂蜜を垂らした練絹と錯覚するほどの乳房に、直久は没我の中で抽送を激化させ、くにゅくにゅとうねくり返って押し迫る、きめの細かい吸い付きと瑞々しい弾力が与える快感を貪り続けた。
「っ、う……穂乃香ちゃんだって、気持ちいいのが好きなんでしょ」
「……そう、だけど、はあうっ、ああんっ! ん、ぅ、だめ、どんどん、気持ちよく、はあああぁ」
細指からにゅるんっと大きな乳房が滑り落ちて竿に勢いよくぶつかる、たぷんたぷんの水風船を覆う濡れたシルクの温もりと実の詰まり具合が鮮明になり、亀頭が上輪郭の狭間から顔を出したところで我慢の限界を通り越す気持ちよさへと変わった。
「ううっ、穂乃香ちゃん!!」
呆気ない射精の瞬間、びくっびくっと脈動するペニスの鈴口からは一回、二回と白い礫が飛び跳ね、スライム状の粘液が穂乃香の顔を打ち付ける。
見開かれた目は閉じ、緩んだ面輪も閉じた口と皺が寄る眉間に引き締められていく。
「ひゃあっ…………ぁ」
困惑と嫌悪を露呈させた穂乃香とは対照的に、直久は数秒に渡って断続的に繰り返された迸りと引き換えに訪れた魂まで抜ける気持ちよさに一人酔いしれていた。
「はあ…………あ、ごめん……気持ちよすぎて、我慢できなかった」
「…………ひどいよ、顔べたべた」
射精も終わり、バスタブに背中をもたれさせたままマットにぐったり座り込む。
穂乃香のあどけない顔には、白濁液がべっとりと粘着し、生臭さを鼻先まで届ける。
穂乃香が上半身を起こしても精液は接着剤のように頬にへばり付き、垂れ落ちる気配すらない。
さすがに嫌なのか、シャワーヘッドを持って汚れた顔を洗い流し始める。
精液はお湯と混じり、水流に乗ってタイルから隅の排水口へ。
顔がきれいになったところで穂乃香の腕を掴み、今度は自分が横になった。
「……上に乗ってくれる?」
外が一切見えない曇りガラスから注がれる穏やかな日差しに目を奪われていた穂乃香が首だけを直久に向ける。
瞳の星明かりは期待の表れ、伏し目がちになりながらも下半身の上に座る穂乃香……むちむちとした身体の重みが心地よく、ペニスはすぐに勢いを取り戻した。
愛液でふやけた割れ口をくちゅくちゅと縦筋をなぞり回すペニス、胸で挟んでいた時と同様、皮膚と粘膜を通じて興奮の脈動が送られた。
”この後”を想像すると、全身に引き締まりを覚えつつも、体奥から湧き出るぞわつきが背筋を駆け抜けた。
許されない行為に耽ろうとする中で脳裏を過るのは魁人、だが亀頭がぐちゅぐちゅと膣口を浅く掻き混ぜる牝の悦びに彼の表情も、記憶も全てが吹き飛び、直久の脇腹を掴んで表面ぎりぎりまで蜜を湛えた穴のあわいに先端を招こうとする。
ふと、鏡に映る自分の視線を感じる。
上半身を映す細長いそれに、だらしなく開いて吐息をこぼす口と、愛撫に細まった両目。
魁人に恋心を抱いていた自分はどんな顔をしていたか、今となっては思い出せない。
むしろ、思い出したくなかった……瑣末な存在が官能への妨げとなり、開いた口から魁人を詰りそうになった。
咄嗟に口を両手で塞ぐと、入口の狭隘な肉リングがきゅうっと切なく収縮する。
「はあっ、ああぁ……」
「あれ、穂乃香ちゃん、もう濡れてるの? まだ触ってないのに」
「えっ、こ、これは直久君が、はああんっ!」
ぐちゃりと水飴を撹拌する音に喘ぎが飛ぶ。
頭の中で囁く邪魔者も消え、代わりにぬちゅぬちゅぐちゃぐちゅと粘性の強い水音が思考の全てを埋め尽くした。
外に声を漏らしたくないと、二枚の唇をぎゅっと閉じて、固く筋肉の付いた腰に爪を立ててしまう。
「っく…………そろそろ欲しくなってきたんじゃない?」
苦痛に顔を顰めながら、直久は身体を跳ね上げる……が、肉涎の糸を何重にも張り巡らせて、むわっとねとついた愛液を香らせる桜色の内扉が広がり始めたところでペニスが引いていく。
くちゃっと回し混ぜられる音が無数に積み重なるが、亀頭は蜜をどろどろにへばらせた捩れ肉の表面を撫でるだけであらぬ方向へ逃げてしまう。
「なお、ひさ……くんっ、お願い、入れてぇ……」
「…………おねだりしてよ……おっと、やり方くらいわかるよね?」
直久の唇端が持ち上がり奥歯が顔を覗かせる。
同時に挿入をせがむ身悶えも止まり、望む言葉を手繰るように首を小さく振りながら思考を回転させる。
「でもっ、わかんないよ、っ……おちんちん、入れて、ください」
下腹を動かそうとしても、力強く抱き寄せられ、周囲を取り巻く湿気含みの温感をはっきりと受容する、交差する視線は物足りなそうに逸れ、マットに乗った細身だが逞しい身体は微動だにしない。
「そうだな、粗チンで早漏の先輩とは別れますから、ぐちょぐちょでどろどろになったオマンコに、おちんちんを入れてください、とかは?」
耳を疑いたくなる残酷な返事。
穂乃香は一度は頭を振ったが、顔を小さく上げた直久に見つめられると拒絶の言葉も胃の中へと落ちていく。
罪悪感なのか、舌も強張って石と化し目頭は遠火で炙られる。
まだ間に合う……今からでも引き返して魁人とやり直そう……理性が正しい答えを導くが、ぬめる割れ口の真下にあるペニスを切望する自分の存在は、あまりに鮮やかだった。
これ以上迷いたくない、身を引き裂く苦しみからは目を固く瞑っても、お尻を持ち上げても、背中を反り返らせても逃れられず、顔を上げて大きく息を吸う穂乃香。
視界は湯気が立ち込める真っ白な天井で覆われた。
「………………そ、粗チンで……んっ、早漏の先輩とは別れますから…………ぐちょぐちょでどろどろになったオマンコに、おちんちんを入れてくださいっ!」
「よくできました」
満足気なトーンの声が聞こえ、先端で擦られて溶け崩れた肉ゼリーが野太い肉棒に混ぜ返され、ぐちゅっぐちゅっとこれまで以上に大きな音が響き渡る。
亀頭が楕円形の穴に潜り込めば脳天から背筋を電撃が貫き、瞼裏は眩白の世界に支配される。
膣環は徐々に広げられ、エラがくぐり抜けた先できゅっとカリ首を締め上げてしまった。
半開きの傘を思わせる膨らみの裏に引っ掛けられたリングは、ぬちゅっ、くちゃくちゃと敏感な部分を擦り立て、粘膜の接触に電流は際限なく強まる。
上に乗った穂乃香の身体も暴れ、湯気に湿った栗色のショートカットが舞い上がって頬や首筋を撫で回した。
「は、あああっ! 奥まで入ってくるぅ! あ、ああっ、んあああぁ……」
随喜に声が裏返れば抽送も加速する、動かない直久の代わりに回転する腰へ上下運動を加え、突き捏ねられてとろとろに煮え崩れた肉ゼリーの通路を奥まで穿たせる。
沈む身体と浮かぶ身体がぶつかり、粘度を増したぬちゃぬちゃの愛液のせいでぐちゅっ、ちゅぱっと下品な破裂音が弾け、結合部は混ざり合って一つとなった体液がぬらぬらと肌を光らせる。
「……あいつじゃ絶対穂乃香ちゃんのこと、気持ちよくできないだろうな」
魁人との最後の言葉が脳裏に、だが苛立ちもすぐに霧散した。
穂乃香は積み重なるピストンに上半身をたわませ、近づいた直久に縋り付くように日焼けした首筋へと指を絡ませた。
互いの距離が縮まり、挿入も襞蚯蚓に白蜜をたっぷりと乗せた泥濘の深くまで進む。
反動をつけてはぐちゃぐちゃの熱ゼラチンを潜る肉棒に穂乃香の身体も揺さぶられ、一突きごとに大きな桃尻もたゆんたゆんと衝撃にバウンドして直久へ体重をかけてしまう。
「せんぱいは、っ、んあああっ、そんな人じゃ……ん、うううっ」
「どうだろうね? 謝りにも来ないんでしょ?」
その通りだった、メールを送るばかりで会おうともしない……自身の振る舞いを棚に上げ、疎遠の原因を全て魁人に押し付ける。
直久に抱かれて快楽を得るのも仕方がないこと、悪いのは全部…………強張りの抜けた両手で直久の腕を掴む。
瞬間、身体が大きく跳ね上がって落下し突き上がる亀頭が子宮口を押し撫でた、皮膚の内側を駆け回る快感電流によるものか、ぎゅううっと膣壁が縮み上がり、ぬたついた襞が四方から竿に食いついて締め上げる。
「はあっ、ああっ、だめっ、あああああっ、いっちゃうっ!!!」
ふっと目の前が真っ白になり、支えにした筋肉質な腕に爪を食い込ませてしまう。
唐突な絶頂の訪れが穂乃香の雪肌を痙攣させ、気を遠くさせる。
気づけば直久の身体へ倒れ込んでおり、豊満な乳房の頂点で淡く色づいて芯を孕んだ果肉が押し潰されて体動に擦り転がされていた。
「ああ、ぁ……はあ、っん…………」
「おっと、大丈夫? ほら……ちゃんと起きて、っ……」
蛇のように巻き付く五指は穂乃香のたわわに実った膨らみを揉み捏ね、もう片方の手が腰を抱き起こす。
今度は自分の番だと言いたげに、直久は狭隘な穴の内側で襞蟲がひしめき合ってはうねうねとぞよめく膣底を亀頭で叩き、ゆっくりとしたストロークで波を描いて蠢く膣壁を捲り返しては撫でそよがせる。
オーガズムの残り香が愛蜜の分泌を促し、ずぷっ、ぐちゅるっとペニスへの抱き着いて離さんばかりの執着を見せる。
好き蟲がせめぐぬめり壺の内側で引いては戻しを繰り返す肉棒も収縮する襞に雁字搦めに縛られ、自然と前後の間隔が広がった。
「んんんんっ、あああ、ぁ……っ、く、は、ううぅ」
最奥の行き止まりは電流を流すスイッチだった、甘美に満ちた絶頂が魁人への罪悪感も、欠片ほどの愛情も全てを奪い尽くす。
「っ、くううぅ……俺も、いっちゃうかも……っ!」
「ん、ふうぅ、い、いいよ……」
何度目かの突き貫きの刹那、穂乃香は再び絶頂を迎え、直久の精液を子宮口で受け止めた。
以前の自分なら嫌悪感からペニスを押し退けていた。
しかし体内で感じる熱い塊が気持ちよく、下腹に手を置きながら恍惚のあまり笑みを浮かべていた。
「はあ、また、いっちゃった……」
立ち上がった直久を薄目で見上げると、ぬるま湯が頭にかかる。
急激な現実への引き戻しに戸惑うものの、誘導されたままに中央に穴の空いた白いプラスチックの椅子に座る。
「…………きゃっ、ど……どうしたの?」
「座って、頭洗ってあげる」
後ろで膝立ちになった直久がシャンプーを手に取り、薔薇色の液体を頭頂部に落とす。
肌の重なりを忘れさせる冷たい広がり、直後に訪れる泡を伸ばす指遣いの穏やかな心地よさ、普段使いの嗅ぎ慣れたローズの香り、絶頂時の引き攣りが上り詰める湯気とともに薄れるのを感じ、穂乃香は竦みの残る肩を下げて顔を俯き加減に。
「ん、っ…………気持ちいい」
毛先の間に入り込んだ指が頭皮を刺激する、側頭部、後頭部へと続く動きは愛撫と異なり単調だったが、その分快い温もりが注がれ、安らぎに溢れた眠気さえ覚えてしまう。
「身体も洗ってあげるからね」
「あ、う、うん」
濯ぎ終えた髪から伝う雫が太ももへ滑り、一つ一つの滴りが寄り添い合って体積を増す。
重なるそれらに、穂乃香はふと直久との肉交を思い返し、鏡越しの赤彩を正面に捉えてしまう。
さらに背後の直久とも視線が交差する、返る笑顔が穂乃香にも恥じらい含みの笑みを浮かばせる。
「たまに、この匂いさせてるよね」
濡れた髪に押し当てられる鼻先、吹きかかる吐息の生温かさが微睡みを両目に被せ、二枚の瞼を仲直りさせる。
薄い皮膚へ映し出された残像は、腰を泳がせペニスを膣口で咥え込むあまりに淫らな自分。
臍近くを掠め、薄く付いた脂肪に押し沈む十本の指がイメージを加速させた。
高まる想いは、犯される恐怖でもなく、悦びに溺れる羞恥でもない……かつて魁人へ抱いた思慕そのものだった。
だが、一緒に恋人への後ろめたさも芽吹き、肌上の手に背中を泳がせてしまう。
迫るのは刺を潜ませた苦しみ、わかりきった、しかし認め難い答えへの後押しを求め、触れる手を握り締めて直久を見上げる。
※※※
「…………ああぁっ……」
換えの下着も、服もないことに気づき、裸のまま二階に上がろうとしたところで背中から抱き竦められる。
踵は持ち上がり、大きなお尻の谷間には熱い塊が挟まる……意識は否応なく卑猥な行為を思い出させ、洗ったばかりの肉扉に熱雫のこぼれを感じ、穂乃香は内腿を擦り合わせてしまった。
「ど、どうしたの……ん、っ……着替えなきゃ」
「……あいつと、別れてほしい…………本気で、そう思ってる」
「直久君……」
見据える瞳が頭の芯にまで熱を染み渡らせた。
混乱の深い渦に目眩じみた何かを覚え、ふらついた身体と後ろ手で押し返す。
マーブル状に溶け合う魁人への訣別ともう一度やり直したい気持ち、葛藤によろめく両足で覆いかぶさろうとする直久を何とかすり抜け階段を上がり、自分の部屋へ。
「俺だって穂乃香ちゃんのこと、好きだから。あいつには渡したくない」
ドアを隔てて聞こえる声、思い出される温もり。
戸惑いが一気に深まり、身体の芯に刻まれたそれが甘い疼きと化し、カーペットが敷かれたフローリングの上に座り込んでしまう。
立ち上がろうにも火照りと脱力感が妨げになり、足を動かすことさえ億劫になっていた。