【エロ文・リクエスト・ラブセイバー】Special Libido24! 鍛えろ! ラブセイバー・リンコ! ~絶叫! パワフル過ぎる野球?!~ (Pixiv Fanbox)
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平和な千代町。
その千代町にある学校、千代ロマンス学園。
そこの高等部には当たり前に『野球部』があった。
真面目に熱血に練習する野球部。
部室のホワイトボードにはデカデカと『目指せ甲子園!』と書かれており、その下には『スポドリあと一箱』などと書いてる。
そんな野球部の部員たちは最近『壁』を感じていた。
それなりに実力者が揃い、真面目に練習していて練習試合でも勝利し、ここ数年の大会でも近隣では強豪校と扱われている。
しかし、『近隣では強豪校』どまりなのもまた事実だった。
県大会には進めてもその先には進めないでいた。
練習は真面目そのものでかなり厳しいと評判だった。
昔ながらの熱血指導も残りながら、科学的な指導も取り入れ、様々な観点から実力を伸ばしていった。
だが、どうにも殻を破れないでいるのも事実だった。
そうなってくると人間が進む道は2つに絞られる。
『信じて突き進む』
or
『劇薬に手を出す』
この二つだ。
そして、千代ロマンス学園高等部・第76代キャプテンは部員達との協議の結果、劇薬に手を出した。
―――。
――――――。
「……それで、あのケツデカおばさんは野球部に行っているのですか?」
「うん、時間があるときに指導するくらいなら、って本人は言ってたけど凛子姉は真面目だからね、毎日いってるよ」
「それはまた…………お気の毒ですわね、野球部が」
「うん…………まぁ……」
そんな会話をしながらグラウンドを歩く制服姿の男女。
1人は戸田 錬太。
可愛らしい顔をした少年であり、凛子の彼女だ。
そして、その隣には白髪赤目の美少女であり、錬太の義妹の戸田 美玲。
2人は野球部に頼まれて指導に行っているという凛子を応援と言うか、確認しに向かっていたのだ。
凛子のことをよく知る2人からすれば、いやこの学校、この街の住民からすれば彼女を指導員に向かえる危険性は誰もが知るところだ。
別に凛子は無法者でも、乱暴者でもない。むしろ真逆に位置する存在だ。
彼女は非常にまじめで優しく、人格者であることは誰もが認めるところではある。
しかし、その能力は人の範疇から地球二つ分ほど外れている。
「死者が出ていないといいですわね」
「………………」
美玲の言葉に錬太は否定することも、笑う事も出来ずにいた。
凛子が誰かを無意味に危害することはないことは知っている。
彼女はロードローラーを片手で持ち上げられるが、力をコントロール出来ない訳でもない。裁縫も編み物も得意だし、ナノブロックも得意だ。
だが、それでも錬太と美玲の頭の中では『シロナガスクジラが悪意無く浮上しただけで転覆する小舟』のイメージが浮かんでしまっていた。
そのイメージが実際になっていないことを祈りながら野球部が練習するグラウンドに顔を出すと―――。
「一球くらい前に飛ばせーーー!!」
「このまま負けて終わりにしないでくれーーー!」
「頼む! せめて一球だけでも!!」
―――何やら練習試合をしているようだった。
ちょうど今は千代ロマンス学園の攻撃のようだ。
スコアボードを見れば、千代ロマンス学園野球部は0点かつノーヒット。
それに対して相手チームはかなりの点数を叩きだしているようだった。
錬太はそれを見て「すぐすぐ強くはならないか」と小さく微笑んだ。
試合を邪魔しないように錬太と美玲は周囲を確認していく。
そして死傷者がいないことに安堵しつつも、疲弊しつくしながらも声を出す野球部の1人に声をかけた。
「よっす、練習、どんな感じ?」
「はぁはぁあ……ぁ、戸田……あ~……やっぱり白川先輩すげーわ」
「はは、だろうね」
顔見知り、錬太の同級生である野球部は汗だくで肩で息をしていた。
それだけで練習の激しさは見て取れた。
錬太は厳しいけれど誰かが怪我するようなことになっていないことにあ真して、凛子がどこにいるのかを聞いた。
「白川先輩? どこって、ほら、今投げてるじゃん」
「投げてる? …………ぁ」
野球部の言葉に錬太と美玲はマウンドに視線を向ける。
そこにいるのは黒髪爆乳の凛々しい美人にて錬太の彼女の白川 凜子。
ジャージ姿の彼女は凛々しく、鋭い視線でバッターを射抜く。
そして、大きく、非常に大きく振りかぶり、98センチのデカパイを揺らしながら凛子はボールを投げようとしていく。
いくのだが、そこで錬太は気が付いた。
「あれ、ぇ、な、え? な、なぁ、キャッチャーは? 誰も、いないけど」
そう、本来いるはずのキャッチャーがいないのだ。
凛子が投げたボールを捕球する選手がいない。
「白川先輩のボールを捕れる人類がいると思うか?」
「思わないけど……」
「それに、いないのはキャッチャーだけじゃないからな?」
「………………ぇ?」
部員の言葉に錬太は視線を向ける。
向けた先、一塁、二塁、三塁、ショートにも外野にも誰もいない。
いるのはピッチャー・凜子。それだけだった。
「は、ぇ? ぇ?」
「お兄様……あれ……」
「美玲……あれって………………ぇ?」
混乱する錬太の制服を引っ張る美玲。
彼女が指さすのはスコアボード。
さっき錬太がチラ見したもの。
そこにチーム名を書く部分を見た。
千代ロマンス学園野球部と書かれた欄の下が対戦相手の名前。
そこには『白川凛子』とだけ綺麗な文字で書かれていた。
「…………もしかして、凛子姉、1人でやってんの?」
「ああ…………それにうちのレギュラーはボロ負けしてる」
「ぇ…………ええ……」
あまりの状況に理解出来ないでいる錬太。
しかし、理解出来なくても状況は進んでいく。
「1人って……キャッチャーいないけど……どうしてんのその辺」
呆れ半分の疑問に部員は「キャッチャー、いるぞ」と告げた。
さっきは「凛子の球を捕れる人類はいない」と言っていたのに、だ。
その疑問を錬太が声を出す前に答えは訪れた。
大きく振りかぶった凛子がボールを投げた。
時速390キロをマークしているのはスルーして、その投げられた高速の球は―――。
”バシィィィイン!”
「うむ、中々イイ球だな。ストライクだ」
―――いつの間にかそこにいる凛子のキャッチャーミットに吸い込まれて行った。
「ナイスピッチ!」
凛子はそう言うと、キャッチしたボールをマウンドに投げる。
無人のマウンドに山なりの送球が行われ、そのままボールは地面に落ちるのが普通なのだが―――。
”ぱしっ”
「27三振で終わりそうだな」
―――当たり前のようにそこいる凛子のグローブがキャッチした。
「な、いるだろ、キャッチャー」
「………………」
「………………」
部員の言葉と目の前の現実に錬太と美玲は言葉を失っていた。
自分で投げて自分で捕る。
それを当たり前のようにこなす凛子の姿に美玲は小さく「頭痛くなってきましたわ」と呟いていた。
試合結果は『白川凛子』の圧勝で幕を閉じた。
千代ロマンス学園野球部VS白川凛子
0対90で白川凛子の勝利!
勝利投手・白川凛子。9回無失点27奪三振。投球数27。
ホームラン各回10回。
全打席初球ホームラン。
打率10割。
MVP・白川凛子。90打点。