Home Import Artists Posts

シスターさんの淫呪観察室 (Pixiv Fanbox)

Content

明朝、日が昇って間もない頃。

眠い目をこすりながら、私は修道服に着替えていた。

朝の礼拝のため、ではない。

ミサを行うのも、花壇の手入れをするのも、まだ先だ。

だと言うのに、私は毎日、決まってこの時間に起きている。

神への祈りでも、シスターとしての奉仕作業でもない──別の『仕事』が、あるからだ。

朝の寒さに震える手で、下着を着け替え、肌にクリームをたっぷりと塗り込む。

あまり、考えないようにはしているが──最近、乳房や尻が、やけに大きくなっている。

それだけではなく、ストッキングを履く時も、いやに太ももの肉が引っかかるし。

唇だって、聖職者には似合わない、化粧をしたような鮮やかな朱色や、グロスを塗ったような艶が、手入れもしていないのに発露している。

そのくせ、腹のくびれは細くなり、頬のラインはすっきりと、肉が落ちるところは落ちているのだから、堪らない。

急いで、軍から支給されているリップクリームを、二、三周ほど唇にまぶす。

これだけ『対策』を行っているにも関わらず、私の身体は、一歩一歩、着実に──淫らな、魔族のものに変わっていっている。

思えば、こんな激務でも、私は体を壊す気配はない。

朝は日が昇る前に目を覚まし、日々の糧を得るために日中は馬車馬のように働き、眠るのは草木も眠る丑三つ時。

それでも、私は──今も、一日を丸ごと休息に充て、朝から晩まで眠りこけた後のように、すっきりと頭は冴えているし、身体は今にも走り出せそうなほど絶好調だ。

淫魔は、人間の何倍も頑丈な身体を持つと言うが、それをこんな形で思い知ることになるとは、予想もしていなかった。

そして、何よりも──お腹が、減っている。

それは、パンをいくら詰め込んでも、肉を山盛り食い漁っても、決して慰められない、不快な疼きだった。

端的に言えば──男の方の、所謂スペルマが、欲しい。

ザーメン、精液、精子、孕ませ汁、どろっどろの青臭い──♡

「……くっ!♡」

咄嗟に、ベッドの傍のコップに入った、ぬるい水を流し込んだ。

渇きや飢えを満たせる訳ではないが、これで少しは冷静になれる。

そのまま、たっぷり数十秒、深呼吸を続けて──

「……よし」

私は、壁に掛けてある、武骨で大きなガスマスクに、手を掛けた。

教会という空間に、ましてや修道女の住む自室に、決して似つかわしくない、厳めしいマスク。

しかし、これを着けないと、私は──瞬きをする間もなく、淫らな人類の敵に、成り果ててしまうだろう。

頭にぴったりと、一ミリの隙間もないよう、細心の注意を払いながら、防具を装着。

呼気がこもり、暑苦しくて、息苦しい。

外からの吸気が、嘴のような先端に詰まったミントにより濾過されて、辛味を感じるほど、強烈にスッとする味になる。

身体は、修道服のままでいい。

これには、神聖な精霊の泉の精製水により、加護が付与されている。

普段はただ、儀式的な意味合いしか持たず、むしろ面倒にしか思わなかった神の魔除けだが──こんな時ばかりは、感謝の念を抱かずにはいられない。

これで、準備は完了。

最後に、ばくばくと高鳴る心臓を落ち着けるため、十字架を握りしめて。

──神よ、どうか、どうか、人々に安寧を。

強く、強く祈り、私は──教会の隅にある、重厚な鉄扉の鍵を、開けた。

──こつ、こつ、と、冷たい石でできた段差を下る。

教会という、光に満ちた場所には似つかわしくない、松明がいくらか灯るだけの、雑然とした造りの石階段。

そこを、ランプで照らしながら、一歩一歩、脚を踏み外してしまわないよう、ゆっくりと降りていった。

──ここは、国の辺境にある、普通の教会だ。

いや、正確には、普通の教会『だった』と言うべきか。

数年前に起きた、魔族の人間界侵攻により、人々が憩い安らぐための、この場所は、変わってしまった。

今やこの教会は、前線で傷を負った兵士が送られる、病院のようなものとして扱われている。

いや、もっと言葉を選ばずに言うのなら──どうしようもない兵士の、最終処分場、とでも表せられるだろうか。

ここに送られる人間は、皆、治療のしようのない『傷』を負っている。

どんなに腕のいい医者でも、誰にも助けられないような、絶望的な『傷』。

それは、銃弾や矢に撃たれた傷でも、刃に切り裂かれた傷でもない。

一切の痛みも、命を脅かすこともない代わりに──精神にだけ影響する、とても淫らで、快楽に満ちた敗北の証。

魔族から塗り込まれた、『呪い』だ。

それを受けたが最期、被害者は、すべからく──永遠に、人の身には有り余る、おぞましい快感を受け続け、精を奪われ続け、人間としての尊厳を失う。

煮えたぎった油を注がれても、眉一つ動かさないような、過酷な修行を重ねた戦士であろうと、関係はない。

仔犬のような甘えた声を出して、全身を蕩かせるだけの、魔族の餌へと成り果ててしまう。

『呪い』とは、いっそ死ぬよりも、よっぽど始末が悪く、惨たらしい代物なのだ。

そして、そんなものを付与された人間が、戦場に居たとしても──ただ、他の兵士の士気を下げることしかない。

だから、誰も人の寄り付かない、この教会に詰め込んでおく。

せめて、静謐で安らかな、神の御許で──最期の時を待ってもらう。

『呪い』が発する、獲物の精の匂いを辿り、唾をつけた張本人が、住処に攫うため迎えに来るまで。

──それが、軍の下した判断だった。

──暗い石廊を抜けると、そこにはまた、一枚の重い扉がある。

この先で、『負傷者』の方々が、休まれている。

分かっている。分かってはいる。

だが──どうしても、この先の光景には、慣れることができない。

私は、生唾を一滴飲み下して、意を決してから──治療室へと、脚を踏み入れた。

「うぅ……♡あっ♡あっ♡あんっ……♡」「ひぃ゛……♡あ゛♡ぅあ゛♡」

「い゛くっ……♡いく♡いく♡いく♡いくっ……♡」「たす、け……♡もう、きもちいいの、やだ……♡」

──それは、あまりにも異様な光景だった。

厚い防音のカーテンに仕切られた、簡素なベッドの中で──ぎし、ぎし、ぎしと、スプリングが跳ねている音がする。

その上では、きっと、男の人が、延々と、延々と、甘え声を上げ続けているのだろう。

ぞわぞわぞわっ……♡

──背筋が粟立ち、子宮がかっと熱を持つ。

そこかしこで、男の人が、甘ったるぅい嬌声を上げている。

このタコツボの中で、殿方が、無数に、性感に喘いで、蕩けている──♡

「っ……♡違う、落ち着け、私は神の使途、敬虔なる主神様の御子……♡」

──つんと香る、濃いミントの香りが無かったら、私はきっと正気を失っていたのだろう。

ここは、それほどに、濃密な精気と淫気が漂った、淫獄だった。

──この瘴気を吸えば、呪いに侵されていない私とて、タダでは済まない。

いや、今だって、マスクで多少緩和されてはいるものの、少しずつ私の身体は、淫らな魔力に侵食されている。

ぴりぴりと、肌を舐め溶かすような、思わず目尻が下がる恍惚。

このまま、マスクを今すぐ脱ぎ去って、石の地面に寝転がって、深い深い官能に、溺れてしまいたい。

私の中で、そんな異常な思考が、鎌首をもたげ初めているのが──私が、溢れた瘴気を吸ってしまっている、何よりの証拠だろう。

腕を思いっきり、跡が残るほど強く抓りながら、私は胸を疼かせる。

呪いを受けていない私ですら、この有り様なのだ。

だとしたら、ここに居る人たちの感じる快楽、いや苦痛は、きっと計り知れないほど、狂ってしまうほど濃いものなのだろう。

──男の人が、ひたすら『傷』に犯され続ける、終わりのない快楽地獄。

そんなものが、父なる神の像の真下で、永遠に繰り返されているなんて。

自嘲にも似た、諦めの言葉を呑み込んで、私はまず手前のカーテンを、ノック代わりに揺らした。

「……もしもし、私です。薬をお持ちいたしました」

──返事は、ない。

代わりにあるのは、耳が溶け落ちそうなほど甘ったるい、発情した猫のような、患者の喘ぎだけ。

いつものことだ。

ここに送られた人間に、まともな思考能力を保てている者など、一人たりとも存在しないのだから。

「失礼します」

なるべく目を伏せて、カーテンを、一息に開ける。

すると、そこには──ベッドの上で、奇妙な体勢を取った男の人が、うずくまっていた。

まるで、見えない何かに向けて、土下座をするように。

胸も頭も、くしゃくしゃのシーツに必死に擦りつけ、しかし腰は高くつきあげて──時折、びくびくと、電流を流されたかのように、背筋を逸らしていた。

「う゛ぅ~~~っ……♡う゛ぅ゛ぅ゛~~~っ……♡い゛っ……♡」

それはそれは苦しそうな、けれど恍惚を極めたような、練乳のように甘い唸り声だった。

本当に、発情している猫のような──可愛らしい、とは違うけれど、でも確かに愛らしい、そんな声。

──いや、そのような感想を、こんなにも苦しんでいる人に向けるのは、間違っている。

それも、それなりに鍛え上げられている、おそらくは元農夫の、屈強と言って差し支えないような男性に。

私は、思考を追い出すため、軽くかぶりを振って、薬の入った小瓶を、バッグから漁り始めた。

彼は、そんな私には目もくれず、上半身を──特に、胸のあたりを、必死になってシーツに押し付けている。

見るからに、まともではない様子だ。

──この方は今、どんな症状に悩まされているのだろうか。

ふと気になって、彼がここに来た時に受け取った、戦場での記録用紙に、ちらりと目を通す。

『──前線にて、淫魔の群れと会敵。

その際、必死に応戦したものの、剣も防具も剥ぎ取られ、全身に呪いを塗布される。

直後に、帰還のスクロールを発動させることに成功。

そのまま野戦病院に送られたものの、淫魔に受けた呪いは解除できず、セイオス地方教会での集中治療を認められる』

必死の応戦。決死の判断による、スクロールの発動。

いいように書かれているけれど、この方には申し訳ないが、きっと──戦場では、淫魔に弄ばれていて、碌な抵抗もできなかったに違いないだろう。

スクロールを開けたのも、きっと──この方が、呪いに犯され、のたうち回るのを愉しむため。

性悪な淫魔が、あえて帰還の魔法を発動させ、獲物を放したものと思われる。

人間と魔族の戦力差は、あまりにも覆しがたい。

例え、命を狙って武器を振りかざす、それなりに筋力がある成人男性が相手であっても──まるで、ワルツを踊るかのように、余裕を持ったまま、標的に傷一つつけず、優雅に武装を解除してしまえるほどに。

命の危険を感じて、筋力のリミッターを外しながら、全身のバネを使い暴れる男を──女の細腕で、いとも簡単に制圧する、淫魔。

それも、子供の駄々を諫めるかのような、慈愛に満ちた表情で、余裕綽々と。

向かい来る剣を正面から砕いて、鎧を魔術で溶かして。

次々と、流れ作業のように、男たちを拉致して、戦場に音が無くなっていく。

あの光景は──生涯、絶対に忘れることは無いだろう。

ぺらりと、ページを一つ捲る。

『患者は、全身にA等級深度の呪いを受けている。しかし、全身に一様に同じ呪いを塗布された訳ではない。

患者は、乳頭部のみを、呪いで奪われている。恐らくは、患者の乳頭は淫魔の住処に移されているものと予想される。

患者の奪われた乳頭部には、常に壮絶な拷問が行われている。患者が発する、断片的な単語(削れる、溶ける、熱い、など)から予想される内容としては、媚毒による感度上昇、口腔や舌による愛撫、ブラシ状のものによる愛撫などが挙げられる。しかし、恐らくはそれ以上の、我々には想像もつかないおぞましい快楽拷問が、更に追加して行われている可能性が非常に高い。

乳頭部以外には、最深レベルの魅了の呪いが掛けられている。

全身が常に溶けるような恍惚に包まれ、思考が不可能なほどの陶酔に苛まれているため、自力での回復は望めないだろう。

また、特筆すべき事項として、患者の睾丸部には、強い造精の呪いが──』

ぱたん。

呼吸を荒くして、冷や汗をかきながら、私はこれ以上の情報を知ってしまわないよう、カルテを閉じた。

淫魔の呪いは、あまりにも陰湿で、悪意に満ちている。

このカルテに書いてあることが正しいなら──目の前の男は、全身が天国に浸されていながら、乳首だけが、地獄に堕とされ続けている。

背筋も、腰も、脊椎も、ペニスも、脳みその中身も、溶けてしまうほど甘いのに──乳首だけが、ひたすら辛い。

ふわふわの羽根に包まれて、ぬるい温泉に浸かるような、ひたすら優しく甘い恍惚の中で──手加減の一切存在しない、暴力的な絶頂を叩きこまれ、一秒の隙間もなくアクメ信号を発し続ける乳頭だけが、辛くて仕方がない。

辛いほど、気持ちよくて、気持ちよくて、絶頂が止まらなくて、今すぐ逃げ出してしまいたくて。

けれど、ポータルのようなもので、乳首は奪われてしまっているから──それが、自分の身体の一部であるはずなのに、乳首の快楽地獄は、止められない。

──ごくりと、喉を鳴らす。

そうか、だから、この方は、胸を擦りつけ続けているのだ。

そうして──とにかく、少しでも、熱くて仕方がない乳首を冷やしてあげたいのだ。

思考もできないほど、自力で立ち上がることもできないほどの、最深魅了に堕ちてなお、本能的にそうしてしまう。

それほどに──乳首が、気持ちいい。

「……治療を、行います。どうか、暴れないよう、お願いいたします……」

あまりのおぞましさに、寒気に震えあがりながらも、妙な熱っぽさに火照る腕を、必死に押さえつける。

今は、この方の治療に専念しないと。

私は、自分で自分を奮い立たせて、瓶に入ったクリームを、指でたっぷりと掬った。

戦場でも、ここのような治療室でも、大いに重宝される薬品だ。

故に、需要は無限と言っていいほど高く、とても高価で取引されている。

この一瓶で、一か月は食事に困らない生活ができる程度には。

ぬるりと、革の手袋越しに、手のひらいっぱいにクリームを広げる。

心なしか、ハッカのような、スッとする感覚を覚えた。

このクリームは、私も愛用している、抗魔力の作用がある薬品だ。

これを身体に塗ると、一日の間、外部から侵入する呪いや、淫魔の瘴気などを防ぐことができる。

「お身体の方、失礼致します……」

だが──既に呪いに犯されている人間は、救うことができない。

既に快楽で犯された肉体には、効果はない。

むしろ──体表から発散する呪いの魔力が、クリームによってかえって閉じ込められ、身体の内側に溜まりっぱなしになり、より深い絶頂に苦しむことになる。

彼からすれば、このクリームは、悪魔の液体に見えていることだろう。

そんなことは、とっくに知っていた。

それでも私は、この貴重なクリームを、惜しみなく患者に塗り込む。

そうしなければ、私の身が危ういから。

私の仕事は、患者の様子の確認。

それと、淫魔が侵入しないよう、この収容所を警備することだ。

そのため、この地下にいる間は、患者から漏れる魔力を抑え込む必要がある。

私の役目は、実のところ──決して、患者の治療では、ない。

銘打たれている、治療室というのは、名ばかりのものだ。

「う゛っ……♡♡♡あ゛あ゛あ゛っ……♡♡♡」

指をそっと、患者の背中に這わせる。

それだけで、彼は大きな呻きを上げ、待ち望んでいたかのように、ぶるぶるっ……♡と甘く震えたペニスから、精液をぼびゅりと吐き出した。

きっと、陶酔の魔力に浸された身体が、外部から刺激を受けたから。

ほんの一撫でで、高めに高められた性感が、弾けてしまったのだろう。

呪いの効果により、吐き出された精液は、どこかへ全て消えてしまうのは、せめてもの救いだった。

淫魔に呪われた人間は、漏らした精を全て、呪いの主に吸い取られてしまう。

そう考えると、今もどこかに居る淫魔を、新鮮な魔力により更に強大にしてしまっているとも取れるが──しかし、一度誰かを餌と定めた淫魔は、それ以上の人間を必要とせず、永遠に一人だけを犯し続けると言うし、まあ問題はないだろう。

そう考える以外に、救いはない。

「あ゛……♡♡♡♡♡いく……♡♡♡♡♡いく、いっく……♡♡♡♡♡」

──呪いとは、蓄積するものだ。

通常の愛撫のように、高められて高められて、絶頂という形で発散されるような、そんな生易しいものではない。

まるで、何度も何度も、永い永い時間をかけて、寸止めをされているように。

実際は、幾度も射精させられて、気が狂うほど絶頂させられているのに──全身が、風が吹いただけで悶えてしまうほど敏感になって、もどかしくて狂おしい欲求ばかりが募り。

表皮の全てが、あと一歩なのに到達できない、絶頂という至福に昇るための、ほんの少しの刺激を待ち望む。

マグマのように快楽で煮えたぎる、どこを触れても即座にイくような、性感帯に成り代わる。

そんな地獄が、延々と続き──それを、私が助長させる。

乳首という、ごく小さな突起の呪いに苛まれ、何度も何度も狂い果て。

それ以外の全てが、溶けてしまうほど幸福な、多幸天国に昇りつめ。

そして──毎日きっかり同じ時間に、私の革袋が、彼の全身をまさぐり、煉獄に叩き落す。

だから、きっと。

今から私が行うのは、この人にとって。

何よりもおぞましい──拷問、なのだろう。

私は哀れみを覆い隠すように、思いっきり彼の背中を擦りたくる。

下手に仏心を出して、手加減をしたら、私がこの人のようになり果ててしまう。

患者は、びくびくと、暴れるように背筋を震わせる。

目は一瞬だけ見開かれ、すぐさまとろんと蕩け落ちた。

直後──おびただしく、吐精。

ほぼ固形のような精液が、尿道に引っかかり、詰まりながら、時間をかけて排泄される。

おそらく、狭い尿道を通り切れなかった精液が、後から送られてくる精液によって、無理やり押し出されているのだろう。

快感神経の塊のような尿道が、自らの精液によって引っかき回され、みちみちと押し広げられながら、絶頂の信号をひっきりなしに送りまくる。

その絶望的な快感は、彼にしか理解できない。

そう、私は男性器を持たない女であるため、この方の苦しみは分からない。

私は、射精の苦しさも、快感も、幸福感も、知らない。

この方は可哀そうだが、私は射精していないから、関係ない。

自分にそう言い聞かせながら、無心でクリームを塗り広げる。

「あ゛っ♡♡♡♡♡あ゛あ゛っ……♡♡♡♡♡ぁ゛~~~~~っっ♡♡♡♡♡」

ぼびゅっ……♡♡♡びゅっっっ……♡♡♡ぼ、ぶびゅびゅびゅ~~~~っっ♡♡♡♡♡♡

──思わず、目を背ける。

その精液の量と、粘度。そして、射精にかける時間。

それを見れば、彼の感じている絶頂の深さなど、誰だって容易に推測できるだろう。

だが、それを見て、私が手を止めてしまう方が、よっぽど彼にとっては辛くなる。

──ごめんなさい。許してください。すみません。

心の中で、何度も何度も、繰り返し謝罪しながら。

一刻も早く処置を終えるため、彼の亀頭ほども敏感な肌を、何度も何度も擦りつける。

腹を擦り、四肢を擦り、そして股間も、内腿も。

容赦なく、徹底的に、練りつける。

一分経っても、二分経っても、精液の奔流は止まらない。

彼の睾丸は、平均的な成人男性ならば、三分と経てばペニスから溢れ出してしまうほど、大量の精液を作るよう改造されてしまっている。

彼の睾丸の、その袋に刻み込まれた、妖しいピンクの紋様を見れば、一目瞭然だった。

「い゛い゛っ……♡♡♡♡♡いぐっ……♡♡♡♡♡いっぐぅ……♡♡♡♡♡」

どれだけ経っても、粘度が落ちる気配はない。

きっと、私のせいで、彼は深い快感を感じてしまい──更に、彼の脳が、その快感に足るよう新しい精液を作れと、淫紋のついた睾丸に指令を送っているのだろう。

「いく♡♡♡♡♡いくいくっ♡♡♡♡♡うぅ゛~~~~~っっ……♡♡♡♡♡」

だから、つまり。

私が、こうして、この方を愛撫している限り。

「お゛ぅ゛ぅ゛っ……♡♡♡♡♡ひっぐ……♡♡♡♡♡」

このちんぽは、自力で射精を止める事はできない──。

「っ……?♡」

ぞくりと、悪寒が走る。

いや、寒気というよりは、もう少し。

興奮にも似た、甘い感覚と言うのだろうか──。

「……ぁ♡」

ぞく、ぞくぞくっ……♡

それに気づいた瞬間、背筋を通り抜けたモノ。

言い訳のしようもないほどに、快くて甘い、その感覚。

目の前の男性が、あまりの恍惚に、涙を流してしまっている。

大の大人が、子供のようにぐずり、泣いてしまうほどの多幸感。

それを考えた時、更に胸の中の甘い疼きは、強さを増す。

──いけない。

これ以上は、絶対に、駄目だ。

私まで堕ちてしまったら、もう、全てがおしまいになってしまう。

私は、これ以上この作業を続けるのは危険だと、少ない理性を振り絞って判断する。

彼の身体から手を放し、革の手袋を拭くこともしないまま。

「……お疲れ様でした。施術を終了致します」

私は、ぐったりとイキくたばった男性に、吐き捨てるようにそう告げる。

その姿は見ないよう、背を向けたまま、クリームの瓶の蓋すらも締めず。

乱雑に荷物を掴み取り、仕切りの外に出て、カーテンを一息に引いた。

だが、私の耳は、決して聞き逃さなかった。

この簡易病室から出る間際、患者が──とっ……ても幸せそうな、ため息を吐いたことを。

きっとあれは、絶頂に浸ったまま、乳首を優しくにゅる舐めされた時の声だ。

絶頂の後の、気怠く心地よい、蕩けるような余韻を長引かせるため──飴玉を舐め溶かすように、ポータルの向こうの淫魔は、乳頭をころころと舐めてあげているのだろう。

──無意識に、そう考えてしまう自分が、嫌になる。

そんな経験も知識も、修道院で育った私にはありもしないのに、何故かそれが、今では当然のように理解してしまえる。

淫魔の魔力が、かなり定着している証拠だ。

考えないようにしているが──最近は、人間の男性に対して、庇護欲や母性のようなものも、軽くではあるものの、抱きつつある。

仔猫に対して感じるような、言い表しようのない愛らしさを、私よりもよっぽど大きく筋肉質な男性に対して感じるなんて、まともな人間の感性とは言い難い。

私は、あとどれだけ、まともな人間で居られるのだろう。

こんな事を、あとどれだけ続ければ、私も患者達も、救われるのだろう。

私は思わず、ため息を吐く。

それはただ、私の気分をいたずらに落ち込ませるだけの、意味のない行為だと知っていたが──しかし、大きく吐いた分の空気を吸った時、マスクに詰め込まれた薬草の香気が、私を幾分か正気に戻してくれた。

──まだ、診察は終わっていない。

私は、かつかつと石の廊下を踏み鳴らし、隣の仕切りへと移動した。

「……失礼します」

そこから聞こえるのは、また先程の蕩け声を上回るような、ひどく甘ったるい嬌声だった。

子供のように甲高く、蜂蜜のようにべたついた、鼓膜にやたらと残る声。

私は、この声を特に苦手に思っている。

一日が終わり、ベッドに戻っても、まだ尾を引いて、私の心を惑わせるから。

そして、その姿もまた、私は特に痛ましく思っていた。

私は、この患者と相対すること自体に、ひどく心を摩耗させていた。

「う……♡♡♡あ……♡♡♡おねえさ……♡♡♡」

同じように、粗末な仕切りを開き、安いベッドに横たわる患者を診る。

そこに寝ていたのは──まだ小さな、男の子だった。

穢れを知らない、すべすべの肌。

筋肉の付ききらない、細く白い手足。

そして、そんな裸体に付随する──凶悪なまでに大きな、幼い身体に似つかわしくない、ペニスと睾丸。

彼は、魔族の侵略から、命からがら逃げのびた、現地に住んでいただけの男の子だった。

突如として襲い掛かる魔族の群れに、一度は捕獲され、その身体を弄ばれて──そうして、離された。

執着が強く、愛情のしつこい魔族が、何故そういう手段を取ったのかは、知る由もない。

だが、こうして今ここに、保護された民間人として収容されているのは、まぎれもない事実であり。

そして、彼もまた──全身に、おびただしい量の、淫ら極まる呪いを受けているのも、また事実だ。

彼の受けた呪いは、誰が見たって一目瞭然だ。

まず、先程も述べた通り。

彼のペニスは──馬並の大きさに、改造されてしまっている。

幼く未成熟な肉体に不釣り合いな、雌殺しの超弩級ちんぽ。

そういったモノを持つオスは、すべからく性的強者であり、思うまま雌をひっかける、好色な色狂い男であるということは、性に疎い聖職者である私でも、ある程度は理解している。

しかし──ここに寝そべる彼は、違う。

彼は、精通すらつい間もなく行ったばかりの、自慰行為すら知らない、生娘ならぬ生息子なのだ。

性的快楽に対する耐性なんて、当然あるはずもなく。

そのため、巨大な30センチ級の男性器から、ずっぽんずっぽんと糊のように濃い精液が迸るたび、彼は──目を白黒させて、それこそ乳を搾られる牛のように、低い唸り声を上げさせられる。

彼の大きな男性器は、強大なオスとしての武器ではない。

ただの、露出した弱点。

むやみに大きい分、普通の男性よりも大量に射精できてしまう、忌まわしい快楽発生器。

ただ大きいだけな、巨大な快感神経のカタマリが、みっちりと大量に詰まった、肌も舌も這わせやすい、いじめるのにもってこいの肉の棒。

女だって、そうだ。

淫魔に弄ばれる者は、大きな乳房を持っていると、その分ひどい快感を味わわされる。

単純に、快感を味わうための、表面積が大きいから。乳腺が太く、より多く射乳させられるから。

だから、この男の子も、きっとそうなのだろう。

大の男でも泣き叫ぶような、壮絶なまでの絶頂を、幾度となく味わわされているのだ。

セックスどころか、勃起の意味すらもまともに知らない、無垢な男の子が。

──私は、そっと目線を落とす。

大きすぎる睾丸のせいで、皺が無くなり、つるつるになるほど張った、玉袋。

先程の患者より、よほど酷い有り様だ。

球技に使うボールほどの大きさに成熟した、威容を放つそこからは、そのあどけなさの残る顔からは想像もつかないほど、むっとした性臭が放たれている。

そこには、どれほどの精液が詰め込まれているのだろうか。

女を孕ませるという、本来の機能から考えると、その精液のほとんどは、性行為には不要なものだろう。

男の精液には、元々何億匹という、おびただしい数の精子が含まれている。

本来女の卵子を犯すには、精子は一匹で事足りるのに。

けれど、卵子にたどり着く可能性を、少しでも100%に近づけるため、人間は合理的に、それほどの命の素をスペルマに含むよう、正しく進化したのだ。

だが、これは──違う。

これは、ただの、淫魔の食糧庫だ。

ぼびゅるっ♡と、粘着質な音すら立てて、鈴口に粘りつきながら放たれる、黄ばんだ白濁液。

ベッドから離れたカーテンに飛び散るほどの、凄まじい勢いと量を兼ね備えたそれは、マスク越しにも分かるほどの香気を放って──すぐ、消滅した。

「やだ、やだ、とめて、たすけて……♡♡♡♡♡とける、おねえさ、とけちゃうぅ……♡♡♡♡♡」

男の子は、私の目にすら分かるほど、蕩けた表情を晒している。

おねえさ、おねえさ、と、舌っ足らずな声を上げながら。

そのうわ言に出てくる、お姉さん。

普通に考えれば、それを指しているのは、私以外には居ないだろう。

けれど──実際は、違う。

彼が言いたいのは、正確に言えば、『お姉さん”達”』。

今も彼を呪い、犯し続けている、無数の淫魔だ。

そう、彼の身体中についた、色とりどりの、それ。

──大量の、無数の、キスマーク。

むっちり豊満な、女くさい唇の形をした、それらに対して。

彼は、無意味に、『やめて』『ゆるして』『ごめんなさい』と、謝罪と射精を繰り返しているのだ。

彼の全身には、余すところなく、口紅が塗りつけられている。

もっと正確に言えば── 一度、淫魔が自らの唇に、口紅をべったりと塗りつけてから。

彼の薄い身体を、化粧を落とすタオルのように扱い、唇を拭いまくったのだ。

中々落ちない、ねっとりとしつこい釉薬を、落とすために。

ねちねちねちねち、ぶっちゅぶっちゅぶっちゅぶっちゅ、むちむちむちむち……♡

肉の乗った、性器じみた唇を、首ごとぐりっぐり押し付けて、擦りつけて。

そんな淫魔が、彼の身体が見えなくなるほど、大量に取り囲んで。

それこそ、カラスの群れが、肉をつつき回しているかのように。

あんな事をされたなら、誰だって──それこそ男性器を持たない私だって、絶対に正気ではいられない。

絶対に、間違いなく、淫魔の唇に自分から、むちゅむちゅ吸い付いて寵愛を求め、その度にぷしゃりと潮を吹く、接吻奴隷になっていた。

そう、断言できるほど、凄まじい──口吸いレイプ。

そんなものを、こんな年端もいかない子供が、まさか耐えられる訳がない。

その時の、壮絶な光景。

それは、今でも覚えている。

何を隠そう、この子は──私が、助けたのだから。

──それは、村の中を見渡す限り、どこまでも続いている、レイプ地獄だった。

肉がむっちりと何かを叩く音。吸い尽くすような水音。ひたすら甘ったるく、そしてどこか饐えた、淫らな臭気。

人間という人間が、誰もかも、天国に浸るかのような、だらしのない顔を晒して、『イく』と呟いて、叫んでいたその光景は、忘れようとしたって忘れられない。

『イく♡』『イっく……♡』『イく゛っ♡』『イくぅ……♡』『イ゛く゛!♡』『……イく♡』

堕落を音にしたような、そんな媚びた声が、私を取り囲み、鼓膜を犯す。

そんな、気が狂いそうな淫獄の中。

茂みに身体を隠し、荒ぎかける呼吸を必死に抑えて、その場を何とかやり過ごそうとしている時に。

この子と、淫魔の群れは、目の前で──『食事』を始めたのだ。

始めは、それが何をしているのか、私は理解できなかった。

何故ならば、その時は、彼が見えなかったから。

大量の淫魔が群がることにより、豊満で体格に優れた肉体が壁になって、中も見えないほど淫肉がみっちりと隙間を埋めていたのだ。

ならば何故、私は彼女らが、この子を貪っていると理解できたのか。

答えは、とても単純だ。

「あ゛あ゛あ゛っっ♡♡♡♡♡あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~~~っっっ♡♡♡♡♡♡♡」

声、だった。

人間の喉から、こんな声が出るのかと思うほど、ひどい叫びだった。

それは、最早、喘ぎですらなかった。

ただの、反射。

彼が受けている、身を引き裂くほどの暴力的快感が、ただ音になって、喉から漏れているだけ。

普通なら、拷問を受けているとすら思うような、そんな絶叫。

それを聞いて、私は──すぐに、その淫魔の群れの中の男の子が、脳が焼ききれるような快楽と共に、何リットルと射精させられていると、そう理解した。

その声は、確かに苦しみを訴えるような、金切り声だった。

しかし、同時に──幸せで幸せで、仕方がない。

そんな感情が、ひしひしと──肌を刺すほどに、確かにあの時、私は感じたのだ。

極寒の地で凍えた後に、ぬるい温泉に浸かった時に出る、あの声。

ごりごりに凝り固まった身体に、極上の指圧を受けた時の、あの恍惚の声。

彼の叫びは、まさにそれだった。

恐ろしかった。

単純に、人間があれほど、快感を剥き出しにした声を出すのか、と。

それと同時に、私は。

ひどく──羨望を、抱いた。

興奮も、した。

今すぐ立ち上がって、私もその地獄に入れてもらおうかと、本気で思った。

むっ……ちゅ……♡♡♡

むち……ちゅ、ぷ……♡♡♡

よく耳を澄ませて、その音を聴き、膣内を指でほじくり回した。

ちらりと見えた、あの唇。

ぷるっぷるで、潤いに満ちて、ぽってりと厚く、むちむちとしたふくよかさを持ち合わせていて。

あんなに気持ちよさそうなリップは、あんなに官能的な唇は、私は見たことがない。

今すぐ、むしゃぶりつきたい。

なっがいベロ肉で、私の口を、ブチ犯してほしい。

餅のように粘りつく、唾液まみれの肥満なリップで、私を家畜にしてほしい。

酸欠になっても、ベロキスやめてほしくない。

私の全てを、べろっべろに汚して、ぶちゅぶちゅ吸い尽くしてほしい。

からっからの肉袋になるまで、あの口で、犯されたい。

犯されて、犯されて、犯されて──幸せに、なりたい。

そんな事を考えながら、私は必死で、膣を掻きまわしたことを、覚えている。

人生で、最初で最後の、オナニーだった。

──死ぬほど、気持ちよかった。

けれど、間違いなく。

目の前の彼の感じている、溶け尽くすような快感と比べたら、私の感じている多幸感なんて。

ゴミでしかない。クズでしかない。取るに足りないものだ。

それが、悔しくて、悔しくて。

私は、彼の痴態をオカズに、膣内をほじくるのに、精一杯になっていた。

そうして、何時間、そうしていたのだろう。

──気が付いたら、全てが終わっていた。

村は、ひどく静かになっていた。

誰もいない。何もない。

そこに居た人間と、侵略してきた淫魔は、皆──つまみ食いを終えて、収穫物を根城に持ち帰り、宴会の続きを始めていたのだろう。

だが、私の目の前には、ボロ雑巾と見紛うようなソレが、落ちていた。

そう、今も、私のすぐ傍にいる、この男の子。

食い散らかされ、唾液と口紅でべっとべとになった、食べカス。

全身に、精液の青臭い匂いを凌駕するほど、甘ったるい匂いをつけたこの子が、倒れていた。

──その時、私が我に帰ることができたのは、針の穴を通すような確率の、ひどく幸運なことだったはずだ。

もしくは、彼を貪っていた淫魔から、そう仕向けられていたのだろうか。

ともかく──私は、絶頂により、がくがくと震える腰を押さえつけ。

時折、這いつくばりながら──遠くに見える救援の軍に、生存者の所在を示すため、必死で旗を振ったのだ。

「…………」

──下着が、濡れている。

あの時のことを思い出すと、私はどうしても、悪いスイッチが入ってしまう。

何度も深呼吸して、きついミントの匂いを吸い込み、私は冷静さを取り戻そうとした。

──私は、黙って彼の痴態を、眺め続ける。

上に報告を送るため、彼の様子に異常が無いか、私はそれを見なければならない。

例えそれが──年端もいかない少年が、全身を襲う快感から逃れようと、腰を必死によじり、情けないイキ顔と声を晒す様子であっても。

異常なし。

異常だらけの彼の様子を見ても、そう報告をしなければならないのは、いささか心苦しい。

しかし──この子の様子が、良い方向にも悪い方向にも、ここに運ばれてから一切変わらないのだから、どうにも仕方がない。

彼の身体につけられた、数えきれないリップマーク──あまりに量が多すぎて、唇の跡が重なっているところも多々ある──は、時間経過とともに消えるような様子はなく、今でも艶々と、赤やら青やら紫やら、色めいたカラーリップの跡を残している。

てらてら輝く、唾液に濡れたグロスを思わせる、その征服の証。

それを、じっと眺め、耳を澄ませる。

むち……♡

むちゅ……♡

むちゅぱ……♡

「ひっ……♡♡♡あ、や、いく……♡♡♡」

──あの時と同じ、リップが吸い付いて、途方もない幸福感を押し付ける音。

それに合わせて、男の子は喘ぎ、ちんぽを快感に跳ねさせる。

男の子は、今もなお、接吻地獄の真っ只中に、堕ち続けている。

その呪われたキスマークが、彼の身体に刻まれたキスの感触を、何度もループさせているのだ。

まるで、媚肉をたっぷりこさえた女の生肌を落とされ、その肉感を押し付けられ、愛撫されているかのような、キスの雨あられが。

あの、集団で犯されまくり、吸われまくり、嫌と言うほど射精させられた、魅惑の感覚が。

この口紅が、ぽうっと明るくなる度に──むっちゅ……う♡と、ひときわ濃厚に、そして優しくリフレインする。

彼の肉体に、口吸いをされていない個所など、一つたりとも存在しない。

顔も胸も腹も手も足も、途切れなく、口紅が塗られている。

その中でも、特に、性感帯となる場所は。

特に、巨大な睾丸や、ペニスには。

もう──唇のカタチすら分からないほど。

ただ、色の違うインクか何かを、数回に分けてぶちまけたかのように。

キスの跡が、何重にも何重にも、何重にも何重にも何重にも。

病的なまでにしつこく、塗り込まれていた。

あの、肥大しきった、睾丸。

あそこに、無数の淫魔が、ねっとりと唇を這わせ、むしゃぶりついたのだろう。

その、ねちねちと厭らしく、性悪なほどゆったりとした、愛情に満ちた唇ねぶり。

じゅるじゅると音を立て、口に含んでころころと舐めまわして。

キンタマの汚れすら拭うように、鼻の先をぐりぐり押し付け、オス臭い匂いを嗅ぎ回され。

そのまま、忠誠を誓うかのように、愛おしく口づけをされて。

そんな真似をされて、この子の性癖が、正常であれるはずがない。

キンタマの中身を、ぐっつぐっつと煮込むような真似を、延々と繰り返されて──もう、精液煮詰め煽りの、虜。

そんな顔を、そんな声を、彼は晒し続けている。

そして──ひときわ惨いのが、そのペニス。

巨大化させられ、太く長くなった表面積の広い肉棒は、口紅を塗りつけやすいキャンパスでしかなく、最高の玩具として弄ばれてしまっている。

最早、元の肌色が見えている部分なんて、一つもありはしない。

亀頭を包む包皮の内側や、ちんぽの付け根の部分まで、見えにくいところも満遍なく。

全て、淫魔の奴隷の証。ぽってり厚い、唇のスタンプを、烙印として押されてしまっていた。

一秒ごとに、代わる代わる、幾多もの唇のマークが浮かび上がる。

肥えた唇の肉の、その淫蕩な皺すらも、むっちり潰れるように付けられた、濃厚極まるキスマーク。

それが浮かんでいる間は──彼は、その感触を、再度味わわされている。

つまるところ、この精通間もない男の子は。

一秒の休みなく、ハーレムチンキスの天国を。

竿にべっとり張り付く、ちんぽに響きすぎる淫魔のぶちゅキスを、食らい続けているのだ。

──それはきっと、下手にフェラチオをされ続けるより、よほど辛いことなのだと思う。

どぷどぷと吐精を続ける竿が、仰け反って逃げ出すほど、極濃のベーゼを──ちんぽが逃げないよう手で押さえつけ、ぶっちゅぅ~~~~~っっ……♡♡♡

神経に直に快感を流し込むような、柔らかさと豊満さの極致のような、濃すぎるキスが、一度に何重にも感じさせられて。

それが引いていくと、また──竿の別の部分が、べっとりと粘着質なキスに、晒されまくる。

ちゅうぅぅぅぅっ……っぱ♡♡♡

唇が、名残惜しく竿に張り付く音すら、キスマークから何度も鳴り。

そして、少年は──恍惚に、大きく身もだえする。

射精が、終わらない。

絶頂が、終わらない。

天国が、終わらない。

肉竿べろちゅーは、きつい快感だが、むしろその質としては──激しさはなく、優しく温かい。

それがむしろ、吐精の勢いを削ぎ、精液を極楽のお漏らしに導いて。

勢いよく、どっぽどっぽと吐き出せないからこそ──過剰生産する精液は、底を尽きることがない。

少年は、幸せ過ぎる地獄から、逃げ出せない。

あ゛~~~っ……♡♡♡♡♡と、ハートマークまみれの甘え声を出しながら、シーツを力なく引っかくことしかできない。

『とける』。そう呟くのも、無理はない。

私なら、とっくに──溶けてしまっている。

肉竿も、肉体も、魂も。

どろっどろの、あっへあへ。

二目と見れない姿で、顔をくしゃくしゃに歪め、脚を無造作に放り投げながら──その身に余る多幸感を、全身で余すところなく甘受してしまっていただろう。

こんな責め、童貞に違いないこの子にとっては、あまりにむごい仕打ちだ。

そんな、人外のオーラルセックスの味を知っては──彼のちんぽは、最早本来の意味を成さないだろう。

もう、二度と、人間の女なんて孕ませられない。

人間のメスの、貧相な肉穴になんて、頼まれたって犯されてやらない。

この男性器は、最悪の末路を辿ったと、そう言っても差し支えはないだろう。

同族を増やすこともできず、かと言ってその機能を失うわけでもなく。

大量の精液を、ひたすら増産し続けて──唇にいじめられ、おびただしい快楽と共に、淫魔のご飯を捧げる。

最早これは、男性器ではない。

快楽を味わうことしかできない、淫魔のミルクサーバーだ。

そして、この子も。

ちんぽに付随して、喘ぐことしかできない、唇廃人だ。

この、馬鹿みたいに大きく、死ぬほど気持ちいい男性器の、そのオマケとして、淫魔の家畜に成り下がるしか、生きていく道はないだろう。

──それはそれで、幸せなのだろうか。

自嘲気味に、そう思った瞬間。

「あ゛っあ゛あ゛っ……♡♡♡♡♡お゛♡♡♡♡♡おね゛えさ♡♡♡♡♡おねえさぁ゛……♡♡♡♡♡」

彼の身体中のキスマークが、一斉に輝きだす。

──捕食が、始まった。

ぶっぢゅ~~~~~っっっ♡♡♡むっぢゅ♡♡♡むちぅぅぅぅ~~~~~っっ♡♡♡

むっちゅ♡♡♡べちょべちょ……♡♡♡じゅう~~~っ……っぱ♡♡♡んぱっ……♡♡♡

──うるさいほどの、啜るようなリップ音。

そして、脳の大事なネジが外れたかのような、あの日を思い出す、甘えた叫び声。

今、彼の肉体は──おびただしい量の唇に、犯されている。

唇の重なった部分すら、同時に。

それは、物理法則を無視した、究極のハーレムと言える。

何度も重ねて塗られたリップマーク、普通なら一つだけしか味わえない唇の感触が──同時に二つ、三つ、四つ、五つ。

それらが──重なって、肉体にフィードバックされる。

数多の唇に、全身をプレスされるように、押さえ付けられて。

べろんべろ、べっちょべっちょ、強精と媚薬効果のある唾液を、満遍なくまぶされて。

竿なんか、ひどい有り様だ。

まさに、唇地獄。

びんとそそり立った肉棒が、所々柔らかくひしゃげて、唇の豊満さに屈服したかのように、めろめろに蕩けさせられてしまっている。

ぶっびゅ~~~~~っっ♡♡♡♡♡

ポンプのような、長く大きな脈動。

それと共に、噴水のような勢いで、精液が天井に迸った。

キンタマの中身が無くなるまで、一体どれだけ掛かるのだろう。

いや──無くなったとて、終わるとは限らない。

空っぽの萎えちんぽに、もっと出せもっと出せと、唇がせびり倒し、空イキさせられ、潮を吹く。

あり得ないことでは、決してない。

絶対に、味わいたくはない感覚だ。

そんなもの、脳を壊す麻薬と、一体何が違うのだろう。

──時々、こういった反応が起こるのは、ここに居る患者なら誰もが同じだ。

呪いの魔力が、ひときわ濃く反応する、患者にとっては地獄の瞬間。

これはおそらく、呪いをかけた淫魔が、小腹が空いたか──あるいは、ふと人間をいじめたくなった場合に起こると、そう考えられている。

止める方法は、ない。

事前に察知する方法も、中止させる方法も、一切ない。

突然に始まって、覚悟する暇もなく、極楽のどん底に突き落とされる。

いつ終わるのか、誰にも分からないまま。

「あ゛っ♡♡♡♡♡あ゛あ゛っ♡♡♡♡♡やだぁっ♡♡♡♡♡だれか、たすけぇっ……♡♡♡♡♡」

──こうなってしまっては、助ける術はない。

それどころか、近くにいる私すら、呪いの魔力に浸されてしまう。

私は、そっと間仕切りの外に出る。

キス地獄に苦しむ、小さな子供を置いて、何もせず。

──ため息を吐くのは、これで何度目だろうか。

少し、調子が優れない。

あまりに、患者が苦しむ様子に触れすぎただろうか。

──まだまだ患者は残っているが、疲れてしまった。

もう、次で、最後にしてしまおう。

そして、そのまま、何も考えず、寝てしまおう。

やるべき仕事を放り投げ、あまつさえそのまま休むことを勝手に決めるのは、勤勉を是とする修道女としては、最低の行いだと言える。

朝の礼拝もすっぽかし、朝っぱらから眠りこけるなんて──神への冒涜、裏切りだ。

だが、きっと──神様も、そんなこと、今更責めはしないだろう。

天罰が下るなら、もっと早くに、手酷く下っているはずだ。

だって私は──男性が、悪しき淫魔に、滅茶苦茶に犯される姿に。

今もなお、その呪いに苦しみ、ちんぽを快楽漬けにされる、その姿に。

居ても立っても居られないほど──強く、ときめいてしまっている。

恍惚に喘ぎ、目尻を蕩かせ、肉棒を震わせる様子に──ぞくぞくとした身震いを、止められないでいる。

今日もまた、そうだった。

あんなに痛ましい、淫魔の口責めに合うペニスに、私は──美しい、と。

そういった思いを、確かに抱いてしまっていた。

きっと、私はもうすぐ、殿方のペニスをいじめることを、最上の悦びとして生業とする、邪で淫らなモノになり果てるだろう。

ヒトとして生きることができるのも、そう長くはない。

──ついこの間変えたばかりの下着が、みちみちと悲鳴を上げ始めている。

乳肉や尻肉が、男性器に媚びを売るかのように、下品に肥えているのが、はっきりと手に取るように分かる。

これ以上のサイズの下着など、果たして上層部は、支給してくれるだろうか。

私の肉体は日々、刻々と淫魔に近づいている。

今や私は、娼館ですら中々お目にかかれない、腹や顔は痩せているくせに、性的な部位ばかりに雌肉のたっぷり付いた、雌として大変好ましい──逆に言えば、聖職者としてはあり得ない体型になってしまっていた。

──早く、済ませてしまわなければ。

そう心に決め、私はベッドをいくつか飛ばし、最後のベッドの仕切りを開ける。

最後の患者は──とても静かで、大人しかった。

いつも静かにベッドに寝たまま、じっと──緩みきった鈴口から、ぽたぽたとろとろと、精液を漏らし続けている。

声を上げることすら、しない。

口を塞がれている訳でも、喉が枯れている訳でもない。

ただ──言葉すらも忘れるほど、快感に浸っている。

「…………っっ♡♡♡♡♡」

目の前の男性は、ただ黙って、腰と膝が軽くS字に曲げられた、直立の体勢のまま、寝そべっている。

身体をまっすぐにして、腕も縛られたかのように、腰の真横にくっつけて。

脚も、二本揃えたまま、型にでも押し込められたような恰好で、ぐったりと。

生気が感じられない、虚ろな表情で──とぷとぷ、とぷとぷ、とめどなく精を吐いていた。

異様な光景だが、今更、驚きはない。

けれど、やはり──何も感じないとは、言えない。

まるで、手足を縛られたまま、絶頂のスイッチだけを押し続けられている、射精人形だ。

身体が石のように動かないまま、全身の神経に延々と砂糖をすり込まれて、声もあげられないまま、恍惚の極みに達し続ける。

そんな、惨たらしいほど心地よい、極楽のような苦しみを、ひたすら味わわせられ続けている。

それが、彼の”意識”が受けている、拷問だ。

そう──ここにある身体は、ただの抜け殻。

精を吐き出すという機能だけが残った、物言わぬ一本のペニスだ。

ならば、彼の意識は今、どこにあるのか。

世界のどこにいるのか、あるいは既に、魔界へと持ち帰られているのか。

情報は、一切掴めていない。

だが──たった一つだけ、はっきりしていることがある。

それは、彼の受けている、拷問の内容。

意識を、小さな人形に詰め込まれて──淫魔の乳房の中に、放り込まれる。

そのまま、24時間休みなく、全身を、パイズリ。

気が狂うほどの、柔乳の中で、蹂躙、揉みくちゃ。

──考えるだけで、脳裏に甘ったるい乳臭が香るような、残忍な責めだった。

私はぎゅっと、自分の胸を押さえる。

むにゅり、ふかふか、むっ……ちり。

自分で言うのも何だが──何て心地よく、堕落を誘う感触だろうか。

男性どころか、女性ですら、この魅惑の感触には、抗うことができないだろう。

淫魔になりかけの、最下級の魔族ほどの艶もない私ですら、そう感じるのだ。

精神を丸ごと引っこ抜き、無機物である人形に詰め込むような、途方もない魔力を持った淫魔の乳なんて──想像もつかない。

だが、その乳房の谷間の中が、地獄そのものであることは、言うまでもないことだ。

常にぴっちりと、蕩めいた乳房と乳房がくっついて、乳汗とフェロモンで蒸し上げられる、狭っ苦しくて甘ったるい、隙間のない牢獄。

触れるだけで腰が砕ける、魔性の柔らかさと弾力を持った、艶々むっちむちの餅肌だけで構成された、その空間で──たったの一揉みで人間の魂を虜にしてしまう、とろっとろのスライムおっぱいに、全身を丸ごと、パイズリ。

そんなもの、正気を保てと言うのが、土台無理な話だ。

一分と経たず、廃人確定。

人生終了待ったなし、淫魔の甘えんぼ奴隷として、永久に愛されるに決まっている。

淫魔の乳房とは、いわば人間を甘やかしたいという、その本能を具現化したのもだ。

安心感、虚脱感、多幸感、恍惚感、快感。

そういった、一般的に『キモチイイ』とされる、ありとあらゆる感覚を、ひたすら濁流のようにぶつけてくる。

例えば、その匂い。

バニラや生クリームといった、ひたすら胸やけするほど甘い香りの中に、淫らな汗っぽい匂いが混じり。

筋肉はまるっきり脱力してしまうのに──ペニスだけは、鉄が入ったかのように、がちがちに勃起してしまう。

例えば、その味。

母乳だけでなく、その汗の浮いた肌すらも、これまたこってりと、キャラメルのような堪らない甘さを湛え。

ひとたび舌を這わせたなら、もう二度とそれを口から離したくなくなり、一生淫魔に甘えんぼすることが確実になってしまう。

まさに淫魔の乳房とは、人生を破壊する兵器なのだ。

淫魔のおっぱいに甘やかされた者は、例えその後救出されたとしても、もう永久に救われることはない。

おっぱいよりも固いもの全てに不快感を覚え、母乳以外のものは喉を通らず、おっぱいフェロモン以外の全ての匂いがドブ水のような悪臭に感じてしまう。

淫魔のおっぱいに、ほんの一秒でも甘やかされた人間は、死ぬまで治らない、重篤なおっぱい中毒を引き起こす。

もう二度と、まともな人生を送れないほど。

淫魔のおっぱいに甘やかされないくらいなら、死んだ方がよっぽどましだと思うほどに。

──何度も何度も、耳にタコができるほど聞かされた話だ。

お前もそうなりたくなければ、淫魔の胸にだけは気を付けろ。

ただの村人である私ですら、そんな話は聞き飽きるほど聞いたのだ。

戦場に出る兵士なら、きっとその数倍は、口を酸っぱくして言われたのだろう。

「っ…………♡♡♡っっ…………!♡♡♡♡♡」

──その結果が、これ。

肉体どころか、魂までおっぱいに奪われて、漬け込まれて。

悦楽と多幸に満ち溢れた乳内に、全身を封印されてしまう。

人間は、あまりにも無力だ。

生きている限り、淫魔から与えられる、めくるめく桃源郷の快楽から、決して逃げることはできない。

もしかすると、こうやって、淫魔が捕らえた獲物をあえて逃がすのは、見せしめのためなのかもしれない。

逃げたって、抗ったって──幸せからは、逃れられない。

地の果てまで、草葉の影まで探し出して──脳みその中を、快楽でじゃぶじゃぶに溺れさせてやる。

それの証明として、物的証拠を送りつけられている。

そんな気が、してしまう。

──目の前の『証拠品』は、悶えることすら、しない。

全身の、筋肉という筋肉が退化して、淫魔に甘えるためだけの存在にされてしまったか、それとも。

そうして、観察を続けていると──くにゃりと、寝転んだ身体が、折れ曲がった。

ちょうど、背筋と膝の歪曲した箇所が、上下にずれていくかのように。

まるで、尺取虫が、這いずっているかのよう。

そんな、間抜けな姿に反比例して──彼の肉棒は、狂ったように跳ね始めた。

「ぁ…………♡♡♡♡♡は…………♡♡♡♡♡」

それは、小さな小さな、微かすぎる声だった。

だが、声帯を震わせられるほどの力すら、腹に込められない今の彼にとって、この漏れ出た音は──まさに、理不尽なまでの快楽を表す、何よりの証拠に他ならない。

彼は、身体をもじもじとくねらせては、口から舌を放り出して、深く深く絶頂する。

強い快楽に浸され、腰ごと溶けるような射精を行う者にとって、これは実に自然な動作だ。

だがしかし、どうしてか──どうにもそれは、不自然な行為だと、直感的に私は感じた。

ぐにゃり、ぐにゃり。

見えない何かに潰されるように、身体をよじり、歪めては、途方もない長さと濃さの、極上射精。

一度の脈動ごとに、キンタマがぺしゃんこになりそうなほど、中身を全て絞り出すかのように、おびただしい量の精子が、ぶびゅりと飛び出しては、淫魔の栄養にされていく。

それを、何度も繰り返す。

まるで、濃厚なズリ心地の乳房に、みっとりとパイズリを食らっている、男根のよう。

それも、ペニスをまるっきり包み込んで、なおも乳肉が有り余るほどの、巨大な質量の乳房により。

圧搾するように潰し、その極上のむちつきを、嫌と言うほど味わわせる、まろやかさの極致のような、極悪の蕩けまくりパイズリ。

それを、泣いて謝っても受けさせられる、哀れな被捕食者ペニスの様子に、よく似ている。

──何故そう思ったのかは、分からない。

当然私は、男根をこの乳房で挟み潰すなどという、そのような淫らな経験はない。

だが、どうしてか、その行為を、私は──知っている。知り尽くしている。

どんな百戦錬磨の、遅漏ペニスですら、一瞬で乳内暴発させられるほど。

そう自負するほどに、私の乳房は──パイズリという行為について、熟知していた。

だから、この後に起こる事も、当然のように理解できる。

挿入して、そのまま柔肉に漬けておくだけで、めろっめろに魅了されきって、鈴口から尿道まで蕩けてしまい、精液を垂れ流しにしてしまうような、極度の甘えんぼおちんぽには。

みっぢみぢに乳圧のかかる、ほぼ真空状態の、狭すぎる乳の谷間で、捏ね回しパイズリで、溺れるほどちんぽを泣かせてやる。

そして、そのフィニッシュは、当然。

愛らしい早漏ちんぽに、トドメを刺すために──プレス。

おちんぽの型がとれるほど、みっちりと容赦なく、むっちむちの柔肉で、潰しまくる。

そうすれば、おちんぽは勝手にマゾを拗らせて、屈服。

大喜びで、何よりも美味しいごちそうの、幸せまみれのガチ恋精液を、いくらでも捧げてくれる。

そう──今、目の前で、身体をぴんと伸ばしている、この方のように。

──なるほど、と、私は大きく頷いた。

彼の身体は、淫魔の乳の中にある人形と、連動させられているのだ。

だから、ああして上半身と下半身が、互い違いに曲げさせられたり。

こうして、両側からぎっちりと押さえつけられているかのように、直立不動の体勢にさせられたりしているのだ。

「…………~~~~っっ♡♡♡♡♡♡♡~~~~~~~~~~~っっっ!!♡♡♡♡♡♡♡♡」

だとすれば──彼はもう、これからしばらく、天国から降りられないだろう。

至高の乳肉に、焦らすかのように、じっくりとフェロモンを嗅がされ、乳脂肪のこってりとした肉感を、教え込まされ。

その後に、思いっきり肉棒──ひいては全身を、乳肉にレイプし尽くされ、最後にはその身をまるごと、魔乳に抱きしめられる。

極上のフルコースを、最後の一品まで堪能させられるような、至高の甘やかし。

魂がおっぱいに染まり、もう二度と淫魔のおっぱいから逃げられないことは、必至である。

これ以上、魅了のしようがない。

そんな、腑抜けきった表情で、彼は未だに究極の幸せに浸りきり、ペニスから精液を垂れ流し続ける。

そして、その、文字通り幸せすぎて死んでしまいそうなほどの、膨大すぎる多幸感は──これからも、募り続ける。

過剰に与えられた快楽は、その波が引いていくどころか、容赦なく──更に、馬鹿みたいに深まっていく。

何故なら、彼の身体は、乳房に漬け込まれたままだから。

彼の意志では、その絶望的な快楽、圧倒的なおっぱいからは、絶対に逃げることができない。

彼は、ただの人形だから。

指の一本すらも、自分の意志で動かすことのできない、乳房に囚われた獲物だから。

これからも彼は、目の前がちかちかと白み、ぐずぐずと身体が丸ごと蕩けて、自分の身体の境界線すら分からなくなるほど、甘すぎる快楽を注がれ続ける。

一秒と耐えられないパイズリを、一秒の休みもなく、受けさせられ続ける。

見えるものは、大福のように白い、乳肌だけ。

吸える空気は、おっぱいの谷間で蒸らされた、ひどく雌臭いフェロモンだけ。

感じられるものは、もっちりと柔らかく、求愛するように肌に張り付く、ねちっこい雌肉だけ。

彼はこれからも、そんな、天国よりもずっと幸せで気持ちよく、地獄よりもよっぽど惨めでおぞましい、乳房の谷間で。

永遠に、魂を蕩かされ、甘やかされ、生きていくのだ。

──多幸感の逃げ場が一切ない、あまりにも残酷な拷問。

脳が溶けて、溶けて、溶け切って、それでも終わらない、尊厳を踏みにじるような甘やかし。

それが、私が抱いた、率直な感想だった。

私は、この方が受けさせられている、凄惨極まる仕打ちを見て、忌避感を抱いた。

こんな、「きもちいい」と「しあわせ」以外、何も考えられない状態で、人は生きていると言えるのだろうか。

そう、人間らしい感想を、確かに抱く事ができた。

しかし、それと同時に──なんて素晴らしい行いだろう、と。

これを行った淫魔に対して、憧れのような情を抱いたのも、また事実だ。

苦しみから、永遠に解脱して、愛情を与え合い続ける。

愛し合う二人は、常に寄り添い合って、永遠に幸せなままで。

誰も傷つけることはなく、静かにただ、多幸感に満ち溢れた安寧を、揺りかごの中のように、安心して過ごす。

それは、まさに神が教えたもうた、理想郷そのもの。

弱者たる人間を、幸福で救済してあげられる、唯一の庇護方法。

──こんな歪な末路を、そう感じてしまう自分も、確かに存在する。

そう、これは、間違っている。そのはずだ。

だが──淫魔の行いを正当化する、私自身の理屈を、私は真っ向から切り伏せることはできない。

むしろ──反論の余地が、あまりないとすら思う。

尊厳や自由、それらと引き換えに、永久の幸せを手に入れる。

それは、古より伝えられている、楽園の概念そのものだと、私はそう感じてしまう。

──これ以上は、もう本当に、やめておいた方がいいだろう。

私の状態からして、私を淫魔に変質させないための、魔力封じのためのクリームも、もう必要ない。

異常なし。

いささか乱暴に、そうカルテに書き込んで、私はこの治療室を後にした。

──ため息を吐くという行為が、すっかり癖として染みついてしまった。

私もまた、淫魔のように、殿方を愛し、でろでろに甘やかし、四六時中淫らな行為に耽り。

恋人のちんぽを、この下品な大きさの尻で、どたぷんと肥えた乳肉で。

嫐り犯し、甘やかし、私無しでは生きていけないように、調教する日が来るのだろうか。

私は、迷っている。

人間として、そして清廉な修道女としての、今までの在り方。

そして、淫魔としての、愛と快楽に満ちた、その思想。

二つの生き方の間で、私はずっと、迷い続けている。

だが──迷っているという時点で、私はきっと、手遅れなのだろう。

だって私は、淫魔ではないのだから。

私にその思想が芽生え始めているのは、私の思考まで、淫魔に変質し始めているからなのだろう。

──もう、明日から、このガスマスクは必要ないかもしれない。

どうせ、あっても無くても同じだ。

それに、例え私が淫魔になったって──少し申し訳ないが、ここの人たちを襲うことはないだろう。

何と言うのだろうか、ピンと来ない。

他の淫魔のお手付きだからだろうか、その精液を、あまり「美味しそう」とは思わないのだ。

とはいえ──あと、ほんの一線。

私の中で、今も健気に張り詰めている、最後の一線、首の皮の一枚が弾ければ。

私はきっと、人間ではいられない。

かつかつと、石廊を歩きながら、漠然とそう考える。

──こうして歩いていると、爆乳と呼んで差し支えないサイズと化した私の乳房は、嘘くさいほど弾んで揺れる。

まるで、男の人を、豊満な乳揺れにより、誘惑しているかのように。

それに、むちむちと肥大化した、臀部と乳房が、下着を内側から押し上げていて、少々苦しい。

無理やり詰め込まれているかのようで、痛い訳ではないのだが、圧迫感を強く感じてしまう。

だが──これ以上のサイズの下着と言えば、それは最早、丸々と育った大玉スイカを、丸ごと包めるようなサイズになってしまう。

もう、色々と、ギリギリだ。

地下室の扉を閉めて、マスクを外す前に、もう一度、ため息を吐く。

そして、マスクを外した途端──鼻腔いっぱいに広がる、雌臭い匂い。

どこかで淫魔の呪いでも引っかけたかと、少し焦るが──それが、自分の体臭であることに気が付いて、ほっとするやら嫌になるやら、矛盾した心地を抱いた。

しかし、この嫌味なほどに甘酸っぱい匂いは、外に出るにはよろしくない。

特に、この匂いを男の人に嗅がせてしまったら──その場で、匂いだけで射精させてしまうだろう。

奉仕作業が始まる前に、水浴びでもしておこうか。

その際には、村人の方には会わないようにしなければ、。

そんな事を考えていると──とん、とん、と。

教会の門を、ノックする音が耳に入る。

最悪のタイミングだ。

来客には罪はないものの、そう思ってしまった。

もう、いっそのこと、居留守を使ってしまおうかとすら考えた。

しかし──続けてとんとんと、聞こえてきたそのノックが、あまり聞き覚えがないことに違和感を覚える。

この村は、人口はかなり少ない。

その中で、更に教会を訪ねるような方となると、更に人数は限られる。

その人数の中で、思い当たる限り──私のところを訪ねてくる方は、もっと強めにノックをするか、あるいはそのまま入ってくる。

もしかすると、何かを緊急で知らせにきた方が、私を呼んでいるのだろうか。

そう考えた私は、マスクを捨てて、雄を誘う食虫植物のような、甘ったるい匂いを漂わせたまま、門を開けた。

「あの……お初にお目にかかります!」

私は、目を丸くする。

──見知らぬ少年、だった。

礼儀正しいのだろうか、あるいは気が小さいのだろうか。

門を開ける前から、既に腰を直角に折り曲げており、頭を深く下げていた。

「元々は都市に住んでいたのですが、この度淫魔の襲撃により、疎開することになりまして、こちらの村に住むことになりました!」

良い匂いがする。間違いなく童貞だ。

いい子そう。とても可愛い。

好ましい。

私の好み、ど真ん中かもしれない。

「それで、今、村中に挨拶に回っておりまして……え?」

可愛い可愛い、私の少年は、その時やっと顔を上げた。

顔は少々あどけなく、童顔気味。

身体は小さく、筋肉が少なく、ともすればまだ成人していないようにすら見える。

なんて、愛らしいのだろう。

まるで、私に庇護されるために生まれてきたみたいだ。

「あ、え、うそ……♡そんな……♡♡♡」

私の旦那様は、私の太ましい腰回りを、じっと視姦してから。

下劣なほどに媚びたデカパイを、ねっとり嘗め回すように眺めて、それから私の目を見てくれた。

──結婚、ということでいいのだろうか。

「い、淫魔……っ♡♡♡なんで、教会に、淫魔が……♡♡♡」

み、ち……♡

みぢ、みぢみぢっ……♡

下着が、悲鳴を上げている。

急速な膨乳に、繊維が耐えられなかったのだろう。

私の身体が、どんどん最適化されていく。

目の前の旦那様を、最高に甘やかせる、素晴らしい肉体に。

「やだ、やだ、逃げなきゃっ……♡♡♡」

しかし、だと言うのに。

私の旦那様は、私に背を向けて、外に向かって走り出そうとしていた。

許せない。

咄嗟に頭に血が上った私は、その苛立ちを、そのまま彼にぶつけてしまう。

感情を、そのまま魔力に変換して、打ち放ったのだ。

「う゛ぁっ……!?♡♡♡あ゛、あ゛あ゛っ……♡♡♡」

──これで彼は、私の身体に密着していないと、不安で押しつぶされそうになり、私から一秒でも離れたなら、パニックを引き起こす。

その代わり、私に抱きしめられている限り、彼はうっとりとした、至上の恍惚に包まれる。

そうだ。今、彼を、そうしてあげた。

理屈ではなく、それを確信して、私はほくそ笑んだ。

「う、やだ、お姉さんっ……!!!怖い、やだ、なにこれ、怖い怖い怖いっ……!!!」

みち、ぶちぶち、ぶちっ……♡

ばつっ……♡びりびりっ……♡

ばっ……つんっ……♡

修道服までもが、私の乳房の大きさに耐え切れず、音を立てて破れだす。

引きちぎれた繊維の隙間から、私の柔乳がせり上がり、溢れ出した。

私は、それを気にも留めず。

彼を、そっと、怖がらせないように、招き寄せる。

「……おいで♡」

そして、そのまま、もっちりと。

抱き心地満点の、雌肉の中に。

思いっきり──沈みきってしまうほど、強く抱き込んだ。

「ぁ゛っ……?♡♡♡♡♡は、ぁ゛っ……♡♡♡♡♡」

修道服越しに、私の旦那様が、絶頂する。

穴だらけの布きれを挟んで、旦那様が、至福を味わっている。

──ああ、邪魔だなあ、これ。

私は、一息に、彼を抱きしめるのに必要ない、この布切れを引き裂いた。

びり、びりびり。

乳肉の溢れに抗っていた、いくつかの細い繊維が。

その時、音を立てて、引きちぎられた。

いや、もしかすると──引き裂かれたのは、私の理性かもしれない。

まあ、でも──どちらでもいいか、と、私は考える事をやめた。

今はただ、旦那様を甘やかすのに、忙しかった。

Comments

No comments found for this post.