「思い出のワンピース」(24) (Pixiv Fanbox)
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「思い出のワンピース」
6.シンデレラボーイ(3)
ともあれ、そんなこんなで着替えと自己紹介を済ませ、
「まずはストレッチからね。怪我をしないために、筋肉を温めて筋を伸ばすことがいちばん大切なの。私のやるように、無理せずゆっくりと動いてちょうだい」
「はーい!」
さっそく始まったウォームアップ。バーにつかまってアキレス腱や足首、肩回りの筋を伸ばし、筋肉を温めてゆく。初心者――それもトドラー向けとあって動きは簡単だ。高校生の博希にとっては何でもない。
しかしランにとっては難しいらしく、
「わかんなーい!」
年齢もあってかいまひとつ集中力に欠ける彼女は、すぐに動きがわからなくなり、母親の元に行ってしまう。そのたびに母親が「戻って、先生の言うとおりになさい」と注意するが、効果は薄かった。
(なるほど、だからぼくに一緒にって言ったんだ。友達だと、一緒に遊んじゃったりするかもしれないから……)
(つまり、ぼくが――)
「ランちゃん、お兄ちゃんと一緒に、運動しよ? 可愛いお洋服を着て動くの、楽しいよ」
博希は戻ってきたランに笑いかけて、お手本をやってみせる。
ランは目を丸くしていたが、すぐに満面に笑みを浮かべ、
「うんっ! ランもやってみる!」
見様見真似で動き始め、楽しそうに動くようになる。トレーナーも斎藤夫人も、安心したように息をついた。
(ほっ、ランちゃんが素直な子でよかった……)
博希自身も楽しそうに動きつつ、そっと胸をなでおろす。しかしその一方で、
(うう、目の前に鏡があるせいで、ずっと自分の姿を見ながら運動することになっちゃう……!)
バレエでは定番の、壁一面が鏡張りで、手すりがついたレッスン室。自分の動きを確認しながらトレーニングするための設計が、いまの博希にとっては最高の羞恥を提供していた。
男子高校生でありながら水色のシンデレラレオタードを着て、少女と一緒にストレッチをする自分の姿――その変態的な行為に、ペニスの内側を昂奮の先駆けが通り抜け、ショーツを濡らし始めたのだった。
*
「今日はありがとう、とっても助かったわ。うちの子も落ち着いてたし」
1時間ほどの体験レッスンののち、斎藤夫人は改めて博希にお礼を言った。
「い、いえ。ぼくもとっても、楽しかったですし……こういう機会でもなければ、体験できないようなことだったので……」
「ふふっ、そう言ってもらえると嬉しいわ。それじゃ、愛那ちゃんも付き添い、ありがとうね。また今度」
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、ばいばーい!」
「はい。ありがとうございました。ランちゃんも、またね」
一足先にレッスン室を出ていくふたりに、博希はほっと息をつく――が、
「でも中森さん、お礼をしたいから残れって言ってたけど、どういうことかな……?」
着替えて帰っていったランに対し、博希はいまだシンデレラレオタードのままだった。レッスン後、トレーナーの中森に「お礼がしたいから着替えないで残ってちょうだい」と言われたのだ。
「ふふ、さて、どういうことかしら」
疑問の声に答えたのは、斎藤母娘を見送って戻ってきた中森だった。彼女は意味深な笑みを浮かべて、
「ふたりとも、これから1時間ほど、このレッスン室を自由に使っていいわ。私も入らないから、ふたりで自由にレッスンしててちょうだい。汚さないようにだけ、気を付けてね」
「え……は、はい」
「ありがとうございます、中森さん」
戸惑う博希に対し、愛那は軽快な口調で返事をして――中森は笑顔で、レッスン室を出て行った。
「ど、どういうこと……?」
「もう、ヒロったら鈍いんだから。つまり――」
愛那は博希に抱きつくと、彼を鏡の正面に向かせて、レオタードのスカートをめくりあげた。
「ひっ!? あ、愛那、こんなところで、まずいって……!」
「クスクスッ、大丈夫よ。あの先生はね、1時間この部屋を開けるから、その間はエッチなことをしていいですよって言ってくれたのよ」
「あっ……!」
「やっと判ったみたいね。さ、ずっと我慢してたんでしょ? もう安心して、大きくして大丈夫よ」
「ま、待って、でも、こんな場所で――!」
「こんな場所だから、いいんでしょ?」
愛那は左手でレオタードのスカートをめくりあげつつ、左手で股間のふくらみに触れる。
今までは先走りを漏らしながらも、ずっと大人しくしていた少年の証。しかし軽く撫でられただけで、あたかも化学反応を起こしたようにむくむくと膨らみ、あっという間に水色のレオタードのパンツ部分に、竿のシルエットが浮かび上がっていた。
(続く)