連載小説「女装強要妄想ノート」(39) (Pixiv Fanbox)
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4月第4週「女児女装で駅前に連れ出される」
(4)
数分後。
「お待たせしました。商品をご確認いたします」
レジの店員はにこやかに挨拶すると、真弓がカウンターに置いた商品のバーコードを読み取ってゆく。
「プリティアキャミソールとショーツのセット、レース付きのソックス。以上2点で、よろしかったでしょうか?」
「は、はい」
「サイズもこちらでよろしいでしょうか?」
「は、はい……130なら、着られると思います……」
真弓が引きつった声で答える。店員が、好奇の色を隠しきれない目で見つめているのが分かったが、言い訳することもできない。
(うう、「あなたの下着なんだから自分で買ってらっしゃい」って、オレにレジにもっていかせるなんて……!)
(これならほんとに、最初っから女児服を着せられてたほうがましなくらいだった……!)
結局、妹に言われるがまま女児用アニメ柄の下着一式――それとソックスを購入することになった真弓に言い渡されたのは、さらに羞恥に満ちた命令だった。
一つは、こうして自分の手で、下着をレジまで持っていって購入すること。かごに入れることも許されず、女児用下着を握りしめたままレジに並ぶのは、それだけでもじゅうぶんな辱めだ。ちなみに母親と妹は、少し離れた場所で真弓の買い物を眺めている。
そして、さらにもう一つの命令は――
「あ、あのっ」
「はい、何でしょう?」
「そ、その……商品に、着替えてから、行きたいので……そ、ソックスのタグをとって、試着室で、着替えさせて、もらえませんか……」
「え……」
さすがに予想外だったのだろう、店員は目を丸くして、じっと真弓を見つめる。
しかしすぐに、
「かしこまりました。それではタグをお取りしますので、試着室をご利用ください」
にんまりと笑ってタグを取ってくれた。
ともあれ会計を済ませた真弓は、タグを取ってもらった商品を手に、レジ横の試着室に入る。カーテンを閉めて一息つくと、逆に恥ずかしさがこみあげてきた。
(通報されるよりはずっとましだけど、ぜったい変態だと思われてる……! いや、たしかに、女の子の服を着せられる妄想をノートに書いてオナニーしてたんだから、言い訳しようがないんだけど)
(うう、できればこのままずっと試着室に隠れていたい……)
(けど長居してたら、店員さんに「女児下着を穿いてオナニーしてるんじゃないか」って疑われそうだし、早く着替えて出ていかないと)
真弓は恥ずかしさをこらえて、改めて下着を取りだす。
(130サイズ……オレにはちょっと小さいけど、生地が伸びるから大丈夫……かな?)
(とにかく、まずは男子制服を脱いで――)
ブレザー、ズボン、ネクタイ、シャツを脱いで、ランニングシャツとトランクス、ソックスという男子用下着姿になる。
(どれから着替えよう――ええい、もう、どのみち全部着替えるんだし、脱いじゃおう!)
ほとんどやけ気味に、真弓はソックスを脱ぎ、肌着を脱ぎ、トランクスを脱いで全裸になる。
そしてそのままの勢いで、プリキュアショーツを穿き、プリキュアキャミソールを着て、レースのついたソックスに足を通す――
「あ、ああ……着ちゃった……! 外で、女の子用の、下着セットを……!」
一面に貼られた鏡に映る、女児下着を着込んだ自分の姿を見て、真弓は戦慄に震える声を漏らした。
華奢な少年の体は、本来であればもう少し小さい体格の少女のために作られた下着をも受け入れていた。ややぴったりとして、キャミソールとショーツの間からおへそが覗いているのはご愛敬だが、問題のないレベルである。むしろ美少女めいた顔立ちと、背中まで届く長い髪のせいで、男子用の下着姿より様になっているほどだ。レースのついたソックスも、女の子らしさをいっそう演出する。
(でも、いくらなんでも子供っぽすぎるんじゃ……)
本来は幼稚園児から小学校低学年用の、アニメ柄下着。キャミソールの前側に描かれている美少女ヒロインのイラストを見ると、しかも――
「う、うわぁ……」
鏡にお尻を向けてみると、そこにも女児向けアニメのイラストが。まるで本当に小さい女の子になってしまったかのように錯覚してしまいそうだが、棚に置かれた男子高校生の制服を見ると、自分の本当の年齢と性別を思い出す。
なにより、
(この上から、男子高校の制服を着て、試着室を出なくちゃいけないんだ……!)
コートの下は全裸で外を歩くような背徳の予感に――今まで大人しくしていた欲望が、ショーツの前で激しく疼き始めた。
(続く)