「思い出のワンピース」(20) (Pixiv Fanbox)
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「思い出のワンピース」
5.ぼくが水着に着替えたら(3)
しかし――
(なぁ、いまの子、ブラ外れて――)
(おいおい、あれに反応するとか、お前ロリコンかよ)
(それにしてもあの姉ちゃん、おっぱいでかいなー。くそっ、妹連れでなけりゃ……)
(あの妹を助けるふりをして、姉ちゃんの気を引くか――)
主に男性陣のざわめきと視線が集中し、のんびりしていられる状態ではない。ふたりは急いでプールから上がり、逃げ出すようにその場を離れた。
「はぁー、恥ずかしかった……」
「くすっ、まさかブラが外れちゃうなんてね。小学生のヒロちゃんには、スライダーはちょっと早かったかしら」
「う……うん……」
「というわけで次は、もっとヒロちゃんにぴったりの場所に行きましょ」
「ぴったりな場所……?」
「うん。きっと気に入ってもらえるわ」
博希は愛奈に手を引かれ、ドームを出て屋外のアトラクションコーナーに出る。
青い空の下で水着姿をしていることに、股間がますます疼きはじめた。
(でも、本当は男子高校生なのに、フリフリの水着を着て、女子小学生のふりをして、レジャープールにいるなんて……)
改めて考えると、現実感が遠くなってくる。
気づけばパンツの中で下向きに押し込んだはずの竿が上向きに戻っていたが、まさか人前で直すわけにもいかず、
(ま、まぁ、パレオで隠れてるし、勃起しなければ大丈夫だから)
そう判断して、愛那に先導されるままついてきた先は――
「さ、ここならどう?」
「ここって――き、キッズ向けのコーナーじゃないの!?」
トレジャーフォンテイン。「宝探しの泉」と呼ばれるそのコーナーは、浅いプールの中にある「宝」を探し、すべての宝を見つけたら、アクセサリーと交換してもらえる――そんなキッズ向けの場所だった。いまも数人の子供たちが、熱心にプールの底を探している。
「うん。だからぴったりでしょ? そんな可愛いふりふりビキニを着たがるような、ヒロちゃんには」
「う……」
「ほらほら、そんな顔してたら、怪しまれちゃうわよ。それに、アクセサリーを付けてたら、みんな女の子なんだって思ってくれるじゃない?」
「た、確かに……」
「ね。それじゃ、お姉ちゃんはここで見ててあげるから、いってらっしゃい」
「うんっ」
周りにいる親子連れからも、注目されている。博希は羞恥をこらえ、精いっぱい少女らしいしぐさでうなずくと、プールの近くにいる従業員に話しかける。
「す、すいません! あたしも、参加したいんですけど……」
「あらあら、ずいぶん大きい子ね。ふふっ、構わないわよ。はい、どうぞ。宝石と、コインと、指輪の3種類よ」
「わぁ、ありがとう、お姉さん!」
自分と同じくらいの背丈の従業員から、「宝」を入れるためのケースを受け取る。男子高校生なのに、なにをしているんだぼくは――内心でツッコミながらも、そんな恥ずかしささえパレオの中を疼かせた。
「ヒロちゃん、がんばってね!」
「うん!」
プールサイドから声をかける「お姉ちゃん」に返事をして、博希はさっそくプールに足を踏み入れた、が――
「ひゃあっ!?」
突如として足元から噴出した水流に、びっくりしてしりもちをついてしまう。
たまたまそれを見ていた子供たちが、
「あははっ、あのおねーちゃん、しりもちついてるー!」
悪意のない笑い声に、博希は真っ赤になりながら両手で股間を隠した。ふくらみを見られたらアウトだ。
「ヒロちゃん、大丈夫? ときどき噴水が出てくるから、気を付けてね」
「う、うん」
愛那に返事をしつつ立ち上がり、ここが「フォンテイン」と呼ばれている意味を、冷静に認識する。
しかし水着パンツの中はとても冷静とは言えず、少年の証がいよいよ限界近くまで達していた。考えてみれば女装外出はこれが3回目。なのに女児服でバスに乗ってレジャープールに来ただけで、かなりの大冒険である。女子更衣室でふりふりの女児用ビキニ水着姿になり、たくさんの人に見られながら歩き回って、スライダーでは股間に水流を浴びたうえ、ブラまで外れて注目されてしまった。そして今は、キッズプールで宝探しをしている。博希としては、勃起してないだけ奇跡のような状態だ。
(続く)