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連載小説「女装強要妄想ノート」(38) (Pixiv Fanbox)

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4月第4週「女児女装で駅前に連れ出される」   (3)  そして―― 「ね、ねぇ、元の靴を履かせてよっ……!」  シューズ店での買い物を済ませて大通りに出たところで、真弓は母親に抗議する。  しかし思いがけず大きな声が響き、通行人の注意を引いてしまったことの気づいて、慌てて赤い顔で口を押さえた。 「う、ううっ……!」  視線を落として、羞恥の源――男子制服のズボンから覗く、自分の足を見つめる。  白とピンクを基調にした、女児用のスニーカー。しかも紐で結ぶタイプではなく、足の甲をマジックテープで留める幼いデザインのものである。高校の男子制服とはおよそミスマッチで、通りすがる人々の目を惹いているのだ。長い髪とも相まって、「妹が兄の制服を借りてきている」感がいっそう強くなっている。 「男子制服のせいで、逆に恥ずかしい……!」  真っ赤な顔でつぶやく真弓に、 「ふふっ。なら、次の場所に行きましょうか」 「な、ならってどういうこと?」 「決まってるじゃない。男子制服で女の子用のスニーカーを履いているのが恥ずかしいのなら、上から下までぜんぶ女の子の服を着れば、もう恥ずかしくはないでしょう?」 「そ、それって本末転倒じゃん! だいいち、女の子の格好をするのもじゅうぶん恥ずかし――ああっ、待ってよぉ!」  抗議の声は完全に無視されて、早くも駅に向かって歩き出した母親と妹の後を、真弓は慌てて追いかける。  そして向かった先は―― 「まずは服の前に、下着から揃えないとね」 「なんで!?」  駅に近い大型スーパーの、2階下着売り場。女児用下着が陳列された一角に連れていかれて、真弓は悲鳴を上げた。  ハンガーに吊るされて並ぶ、キャミソールに、タンクトップに、ショーツ。白無地にリボンがついただけのシンプルなものから、ビビットカラーのロゴやイラストが入ったポップなもの、花柄やギンガムチェック、フルーツ柄などのキュートなもの、ピンクやラベンダーを基調にした「ゆめかわ」風のものまで――ここ1ヶ月ほど、日常的に女児女装させられている真弓でさえも、思わず鼻白んでしまう。  しかし一方で、 (か、可愛い……!)  色も柄もとりどりの下着が目の前に並んでいるのを見ていると、これを着せられることを想像して、股間がみなぎってしまう。 「女児用下着売り場で、自分用の下着を選ばされる――」  例の「女装妄想ノート」にもそんな一文があり、実際にこの場面を想像して抜いたこともあるのだが、実際に連れて来られる恥ずかしさは別格だ。 「さぁ、真弓。好きなのを選んでいいわよ」  母親の語りかけに、周りの店員や客たちが目を丸くして振り返り―― (え? 娘さんじゃなくて、お兄ちゃんの下着なの?) (髪も長いし、足元も女児用のスニーカーだし、本当は女の子なのかしら?) (でも、着てるのは高校の制服よね……男の子としか思えないけど……) そんな彼らの心の声が耳に響いて来るかのようで、真弓はいっそういたたまれなくなる。真っ赤になったままうつむいて黙っていると、 「どうしたの、真弓お兄ちゃん」  亜弓がニヤニヤ笑いながら、わざとらしく大きな声で話しかける。 「いつも穿いてるのと同じ、可愛い女児ショーツじゃん。お兄ちゃんが穿くものなんだから、恥ずかしがらずに選んじゃいなよ」 「あ、亜弓……! お、オレ、女の子の下着なんて……!」 「あははっ、隠さなくたっていいじゃん。あたしのよりずっと可愛い、ゴムが入ったお子様パンツを穿いてるくせに。ほら、こういうのが好きなんでしょ?」 「そ、それはっ……!」  妹が取り上げたのは、陳列棚の中でも特に幼いデザインのキャミショーツセットだった。  ピンク地に、日曜の朝にやっている女児向けアニメのキャラクターがプリントされたもの。ふりふりぴっちりとした美少女戦隊衣装をまとった少女ふたりが杖を構え、マスコットの小動物が周りを飛んでいるイラストだ。サイズは130で、明らかに小学校低学年向けのものである。 「さ、さすがにそんなのは穿いてないから!」  思わず声に出してしまってから、はっと気づく。 (へぇ、女の子用の下着を穿いているのは本当なんだ……)  周りからの好奇の目がいっそう強くなり、真弓はますますいたたまれなくなる。   (続く)

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