「姉ママ」(10) (Pixiv Fanbox)
Content
(10)
前立てと横羽を固定しているスナップボタンが、右、左とはずれてゆく。厳重におむつを密閉していたカバーが外れると、横を向いたままのヒカリの鼻を、かすかなアンモニア臭が刺した。
(おしっこの、匂い……!)
「ふふっ、ちっちの匂いが気になるかな? すぐに取り換えてあげるから、もうちょっとだけ我慢しててちょうだいね」
嫌な顔をしたのが分かったのだろう、アカリは優しく語りかける――が、そのせいでいっそうヒカリが辱められていることには、プレイの一環とでも考えているのか、まったく頓着していないようだった。
ぷつっ、ぷつっ――
「はい、これでボタンはぜんぶ外れたわ。あとは前当てをどかして――」
視界の隅で、姉が前当てをどかしているのが見える。さすがに一番上までは染み出していないのか、真っ白い布おむつが見えると同時、アンモニア臭がいっそうきつくなった。
(自分のおしっこでも――いや、自分のおしっこだからこそ、恥ずかしい……!)
(しかもその匂いを、姉ちゃんに嗅がれて――)
(でも、この程度はまだまだほんの序の口でしかない……今からおねしょでぬれたおむつを、姉ちゃんに、取り替えてもらわないといけないんだから……!)
高校生にもなって、姉におねしょおむつを取り替えてもらう。
肛門がすくみ上るほどの恥ずかしさに耐えていると、今度はバリバリという音が響く。横羽を固定しているマジックテープを剥がす音で、ついにおむつカバーは完全に彼の腰から外れ、おむつ交換シートの上に広がる。
「おむつカバーが外れたわよ、ヒカリちゃん。自分でも見てごらん」
「う……」
姉の言葉に促され、ヒカリは嫌々ながら視線を向ける。
お尻の下から下腹部にかけて当てられた、何枚もの布おむつ。それを固定するように、横向きに1枚巻き付けれられているが、やはり目を惹くのは股間の分厚いおむつ層だ。
「こ、これ、いったい何枚おむつを当ててあるの……?」
「12枚よ。夜はおねしょしちゃってもいいようにね」
「そ、そんなに……」
「ええ。たっぷり当てたから、ふかふかで気持ちいいでしょ――って言っても、いまは濡れちゃってるから、あんまり感じないかしら」
(この世界のオレは、おねしょすることが前提なのか――)
ただおむつを当てられ、ベビー服を着るだけの赤ちゃんごっこではない。おねしょやおもらしをすることまで含めた本格的なプレイに、改めてこの世界の異常を思い知る。
しかし、呆然としてばかりもいられない。
今まさに姉の手は、ヒカリの股間に覆いかぶさっている最後の防備――おむつに手を触れていた。まずは腰に巻き付けている横向きの一枚を左右にどけ、ついに縦向きの幾重にも重なったおむつをつかんで、ゆっくりと手前に動かして――
「ひっ……!」
ヒカリは短い悲鳴を上げる。持ち上げられたおむつの間に入り込む空気が濡れた陰部を撫で、ひやりとした冷たさに襲われたのだ。
「ふふっ、冷たかった? ちょっと待っててね、すぐにお股をふきふきしてあげるからね」
「う、う……!」
そしてもちろん問題は、単に冷たいだけではない。おむつが外されて下半身が露出すれば、とうぜん足元側にいる姉に、大事な場所が丸見えになってしまう。
下腹部にだらりと、上向きに倒れこんでいる竿も。
その根元にうずくまるように鎮座する睾丸も。
さらに両脚を開いて膝を立てているため、会陰部からお尻の穴まで――
(見られてる、見られてるっ……!)
家族にすら日ごろは晒すことのない秘部を姉に凝視される恥ずかしさに耐えかねて、ヒカリはきつく目を閉じた。本当ならば今すぐベビーベッドから逃げ出したい気持ちでいっぱいだったが、また巻き戻しされて暗闇に戻され、赤ちゃんのように泣きじゃくるところから始めるのもまっぴらごめんだ。
(我慢、今はとにかく、我慢して――)
(なんとか巻き戻されないように、姉ちゃんを説得する方法を見つけて、こんなプレイをやめさせるんだ……!)
ヒカリは必死に自分に言い聞かせる、が――
「さ、まずはおちんちんからふきふきしてあげるわね、ヒカリちゃん」
姉の手は、まさに赤ちゃんに触れるような遠慮のない手つきで、弟の少年の証をつまみあげると、用意していたおしりふきで小水を拭き始めた。
「っ!」
乱暴にこすられたのであれば、まだよかっただろう。しかし姉の手つきは赤ちゃんに対するもののように優しく、ほとんど痛みのないまま表面を拭いてゆく。
その刺激に反応してしまいそうになる己が分身を、ヒカリは歯を食いしばって押しとどめた。
(続く)