「あねママ」(7) (Pixiv Fanbox)
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(7)
「な――!」
目の前に突如として出現した本物の「おっぱい」に、ヒカリは今度こそ頭が真っ白になる。
やや母性過剰なアカリの性格を示すように、彼女の胸は大きい。異性の体などグラビアとAVでしか見たことがないヒカリにはカップ数の推測すらもできなかったが、ゆったりとしたブラウスやシャツの上からでも存在感を主張するそれがかなり大きいことは、それとなく察していた。
それが突如として目の前に転がりだしたのだ。柔らかそうながらももっちりと弾力のある肉の質感、艶やかにしてきめ細やかな肌の耀き。乳輪はくっきりとした輪郭と鮮やかな朱色を保ち、先端の宝珠は爆ぜ割れんばかりにぷっくりと実っている。
どこから見ても申し分のない、巨乳であり、美乳――しかし姉の胸であるそれを雄の視線で見ることができず、思考がバグを起こしたように強制停止する。ただその両眼を、二つのふくらみに釘付けにされて。
「どう? 男の子って、こういうのが好きなんでしょ? さ、遠慮なくママのおっぱい、ちゅうちゅうしてちょうだい」
「す、好きじゃない! いや、おっぱい自体は好きだけど、ベビープレイで赤ちゃんになり切って吸うのが好きってわけじゃ……!」
「もう、ヒカリってば、細かいこと気にしすぎ。赤ちゃんでも何でも、せっかくおっぱい吸わせてあげるって言ってるんだから、遠慮なく吸えばいいじゃない。……でも、そうね」
ふいに考えを改めたような口ぶりに、ヒカリはほっとする――が、
「ヒカリは赤ちゃんなんだから、自分からアレがしたい、これがしたいって言うのはおかしいわよね。ママが一から十まで、ぜんぶ察してやってあげないといけないんだもの。さ、じゃあもっとこっちに顔を近づけてちょうだい。ママがおっぱい吸わせてあげるから、ね」
「いや、そうじゃなく――んっ……!」
突如として、視界を埋め尽くす双丘が一気に接近し、その先端の突起が口元に宛がわれる。形状は先ほどの哺乳瓶の吸い口にも似ていたが、しかし血の通った生身の肌。唇に触れた瞬間、その熱に驚いたヒカリは火傷したかのように悲鳴を上げて飛びのいていた。
「ちょっとちょっと! 赤ちゃんがおっぱいから逃げたらだめでしょ! ヒカリちゃんはママの赤ちゃんなんだから」
「い、いや、でも、姉ちゃんのおっぱいなんて――!」
「ん? あたしのおっぱいじゃ不満? そんなに悪くないと自分では思ってたんだけど……」
「そうじゃなくて、きょうだいで、こんなこと……!」
「きょうだいなんだからいいでしょ? ただのごっこ遊びなんだし。さすがにエッチしたいって言われたらちょっと考えさせてほしいけど、おっぱいを吸うくらい、なんてことないって」
「あるから! っていうか、エッチしたいって言われても考える程度なの!?」
姉のブラコン具合に改めて頭を抱えたくなるヒカリ。
しかし次の瞬間、彼の頭を物理的に抱えたのは、ほかならぬ姉の方であった。後頭部に腕を回し、今度こそ逃げられなくしたうえで、追い詰めるように身を乗り出して乳房を近づけてゆく。
「昔はお姉ちゃんがおむつもかえてあげたし、お着換えもさせてあげたし、お風呂にも入れてあげたでしょ? 今さらおっぱいを吸うくらい、ぜんぜん気にすることないのに」
「そ、それとこれとは、話が、別――」
なおも反論しようとするヒカリの口に、赤みをさしてピンと勃った乳首が再接近する。
同時に、アカリの空いているほうの手がさりげなく下に移動して、「娘」のロンパースの股間をそっと撫でて、
「それに――ヒカリちゃんだって、赤ちゃんごっこでこんなに興奮してるくせに」
「んぅっ!?」
驚きに声をあげようとしたその瞬間、その唇はおっぱいの先端にふさがれて、さらなる驚きに頭が真っ白になる。とっさに頭を引こうとするも、先ほどと違って後頭部を押さえられているため逃げることもかなわない。唇に当てる熱の感触と、口中にもぐりこんでいる突起――その部分だけピンと硬い果実が舌先に当たって、いっそうの混乱を引き起こす。
(こ、これって、乳首――!)
ヒカリとて男子高校生。日頃はあまり表に出していないし、今は特に好きな相手もいないのだが、恋愛や性といったものに対するあこがれも人並み程度にはある。
女の子と仲良くなって、好きになって、告白して、デートして、いい雰囲気になって――そんなあれこれを、心中ひそかに妄想してはいたのだ。そしてその先に、女子の胸を触ったり、揉んだりといった行為も含まれていた。
しかし今、そうしたもろもろをすべてすっ飛ばして、彼の目の前にはおっぱいがあり、唇に乳房が密着して、その乳首を咥えさせられている――
情緒もへったくれもない状況だったが、それでもヒカリは若い雄である。相手が姉とわかっていながら、ベビープレイと理解していながら、若い女の柔肌と匂いに、体は生理的な反応を示してしまっていた。
――平たく言えば。
おむつの中でヒカリの陰茎は硬く勃起していたのだった。
(続く)