連載小説「女装強要妄想ノート」(25) (Pixiv Fanbox)
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4月第1週「?」
(5)
「は、はい……!」
もはや彼自身にも、手が止まらない。
勢い良く手を動かせば、官能への高鳴りが充填されてゆく。先走りに濡れそぼった竿はさらに硬く、太く、赤く膨れ上がって、可愛らしいセーラー服に似合わぬ凶暴さを誇っていった。
「お、おちんちんをこすっていると、最後には、せ、精液が、出てきます。これが、射精で――しゃ、射精すると、すごく、気持ちよく、なれますっ……!」
うわごとのように解説を続けながらしごくうちに、ついに限界に達する。
「あ、ああっ……!」
内圧によってはちきれんばかりの竿と亀頭が痛みを発し、こすりあげる手の運動が止まって、縋り付くようにぎゅっと握りしめる。しかしすでに少年の雄は、欲望を解放するに十分な刺激を受けていて――
「あっ、で、出るっ……! 亜弓、離れて――!」
警告は、一瞬遅かった。
亜弓が飛びのこうとしたその時にはもう、彼のペニスは大きく脈打ちながら勢いよく精液を噴出しているところで――熱くドロドロとした、溶岩のごとく白濁液が、少女の顔に飛び散っていた。
「きゃあっ!? な、なにこれ、クッサ……!」
「うう、ごめん……!」
顔についたモノを指ですくい、匂いを嗅いで顔をしかめる亜弓。
真弓は急いでティッシュを取り、何枚か妹に渡しつつ、自分も手に垂れた精液を拭き取りながら謝る。
「お姉ちゃんの顔に射精するなんて、まったくとんでもない妹がいたものね。これはきつーいお仕置きが必要かな?」
「お、お仕置き……!? いったい何を……」
「うん。そうねー、いまからしばらくスカートなしで、パンツ丸出しのまま過ごしてもらおうかしら。お姉ちゃんの顔が近くにあるのに、我慢できずに射精しちゃう真弓ちゃんには、ぴったりじゃない?」
「うぅっ、は、はーい……」
真弓は泣きそうになりながらも、言われたとおりにスカートを脱ぐ。セーラー上着の下からパンツ丸出しという惨めな格好になったところで、
「さ、学校に行く前に、持ち物に名前を書いちゃわないとね。ランドセルも、制服も、文房具やノートも――ちゃんと真弓ちゃんの名前にしましょうね」
「はーい」
持ち物に名前を書く。ただそれだけの行為であっても、女子小学校生活の準備と考えると、昂奮と緊張を抑えきれない真弓であった。
*
各種持ち物から妹のおさがり女児下着、女児ソックスまで、あれこれと名前を書き終わったころには、お昼近くになっていた。
(午後からは小学校に行って、そのあとご近所さんに挨拶――ううっ、緊張する……!)
考えるだけで、昼食の味もよくわからない。食べ終わったところで、
「ママ、そろそろいいんじゃない?」
「そうね。もう午後だし、頃合いかしら」
「頃合い……? えっと、食べたばっかりだけど、もう出かけるの? まだ、心の準備が……」
「ふふっ、違うわよ。こういうのって、午前中だけっていうのがローカルルールでしょう?」
「?」
ふたりの言葉についてゆけず、首をかしげる真弓。
「くすくすっ、真弓ちゃんったら、こっちが拍子抜けするくらい簡単に信じちゃうなんて、ほんとに女子小学生になりたいのね」
「え、ど、どういう――」
「真弓。あれを見てごらんなさい」
母親に誘導されるまま、真弓はリビングの壁に目をやって――同時に「女装妄想ノート」に書いた自分の妄想を、今さらながらに思い出した。
母親の指さす先にあるのは、日めくり式のカレンダー。
その日付は、4月1日。
そして「女装妄想ノート」に書いた一文は――
「――エイプリルフールに騙されて、女装させられる」
(続く)