連載小説「女装強要妄想ノート」(17) (Pixiv Fanbox)
Content
3月第4週「妹と一緒に卒服を着せられる」
(2)
「……はぁ」
高校の男子制服を脱いでいつも通りハンガーに吊るし、シャツとソックス、さらに下着も洗濯に出せるようにまとめて――全裸になった真弓は、大きく息をつく。
「何かもう、雑に理由を付けては女装させられるのが当たり前な流れになってきてる……まぁ、あのノートのせいなんだけど……」
女装させられたいシチュエーションを密かに書き溜めていた、「女装妄想ノート」。あれが母親に見つかったのがすべての現況であり、ある意味自業自得であると同時、亜弓の指摘通り「願いがかなっている」ともいえるのだが、恥ずかしさに変わりはない。
クローゼットにはすでに、今まで着せられた女児服とメイド服が入っていて、引き出しには下着類も充実し始めていた。
真弓はその中から、前回着せられたブラジャーとショーツのセット、ハイソックスを取り出す。いずれも色は純白だ。
「卒服なんだから、高学年向けの方がいいよね……」
自分に言い訳するように呟きつつ、ソックスを履き、ショーツを穿き、ブラジャーに腕を通して、背中の後ろに手をまわしてホックを留める。特に下着については言われていないのだが、妙なところでこだわりのある真弓にとって、女装しているのに下着だけ男物というのは、かえって落ち着かないのだ。
ぴったりとしたショーツとブラジャー、そしてハイソックスの肌触りに、思わずムラムラしそうになってしまう――が、
「我慢、我慢……女装してオナニーだなんて、亜弓たちに知られたら怒られ――は、しなさそうだけど……やっぱり、まずいから……!」
(苦しかったらお部屋で「休憩」しても構わないから――)
前回の女装で母親にそう言われた――つまりはオナニーしてもいいと仄めかされた真弓だったが、なら遠慮なくと出来るはずもなく、けっきょく女子制服にムラムラしながら一日を過ごしたものの、女装オナニーはしていない。
「まぁ、お風呂に入る前に脱いで返した後で、思い出しオナニーしちゃったんだけど……って、ダメダメ!」
その時のことを思い出し、またムラムラしそうになって、真弓は頭を振って追い払うが、
「そういえば、あの制服はどうするんだろう。やっぱり、オレに回ってくるのかな……」
女児スーツのタグを外し、ジャケットやリボンを外してベッドに並べながら、
「亜弓の女子制服とか、ランドセルとか、小学校時代に使ってたものとか――今の流れだったら、絶対オレに『おさがり』って譲られる流れだよね……でもって、これからは毎日それを着るように言われたり――学校に、行かされたり……」
ゾワッ、と背筋が寒くなる。しかしそのせいでいっそう陰部は激しく疼き、真弓はショーツの上からそっと勃起を押さえた。
「はーっ、はーっ……い、今は余計なことは考えずに、スーツを、着ちゃわないと……」
息を大きく吐き出して雑念を払い、真弓はスカートを下ろし、ブラウスのボタンも外してゆく。ブラウスはよく見れば、普通の女子制服のそれとは違い、つるつるとしたサテン生地で、前立ての左右や袖口に小さなレースがあしらわれていた。
「へぇ、可愛い……」
つぶやきながら袖を通して羽織り、ボタンを留めなおす。肌の上をすべるように撫でるサテン生地の肌触りは、最初のジャンパースカートの時にも味わったがやはり独特で、女装している気分をいやがうえにも高めてくれる。
――そう、すでにその裾から覗いているショーツに、テントを張ってしまうほどに。
「はぁっ、はぁっ、落ち着け、落ち着け……!」
荒ぶる暴君を諫めつつ、ベッドに置いたスカートを手にする。
赤いチェックの、ボックスプリーツスカート。制服スカートに多い車ひだとは異なるのが、「卒服」という特別な一着であることを意識させられる。しかし構造ぞのものは大差ないため、、
「ええと、まずは左脇のホックを外して……」
前回、プリーツスカートを穿いたので迷うことはない。足を通してウエストまで引き上げると、ホックを留めファスナーを上げる。しかし――
「す、スカートの前に、おちんちんが……!」
見下ろせば、本来であれば、卒業式を迎えた少女の身を包むべき赤いチェックのスカートに――少年の証の先端が、淫らなふくらみを作り上げていた。
「はーっ、はーっ……く、苦しい、けど、着ちゃわないと……!」
真弓は自分に言い聞かせながら、残る二つに取りかかった。
スカートとおそろいの、赤チェックリボン。ストラップについているホックで留めるようになっているため、初めての真弓にはややてこずった。
そしてエンブレム付きのブレザーを羽織り、ボタンを留めれば――
「あ、ああ……!」
ジャケットの重みは、高校の男子制服に近い。しかし明らかに違うスカートの穿き心地、サテンブラウスの滑らかさ。見下ろせば襟元を飾るのも、ネクタイではなく可愛らしいリボンで、
「オレ――卒服の女児スーツを、着ちゃったんだ……!」
改めて声に出し、そのことを自覚する。
(続く)