迷宮で出会ったムチムチ爆乳瀑尻小柄少女と仲良くなるまで(第一話) (Pixiv Fanbox)
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周囲を広大な砂漠と山脈に囲まれた城塞都市ガーヴィルスの外れ……背の高い木々に生い茂る緑葉と天を分厚く覆い隠す灰色の雲に光を追い払われた共同墓地を進むジェイサグ。貧民層の出身ではあったものの、代々続く困窮を乗り越えようと救貧施設で長期間の労務に服し、手にした金で装備を整えた……有り触れた冒険者候補の一人だった。
「……………………」
ブーツと一体に組み合わさったグリーブが砂利を踏む乾音を背中に連れ、深い黒へと続く石造りの階段を正面に捉える。
二人分の幅しかない狭隘な下り道……一歩、また一歩と爪先を闇に浸す度、左右に伸びる灰色の埃を感じさせる塀が行く先を塗り潰す。松明に炎を灯せば遥か向こうに黄色く光る輝石、二つを頼りにジェイサグは、次第に冷たさを増す空気に剣の柄にかけられた右手の指を軽く擦り合わせ、小さく震える肩もそのままに段差へ足音を響かせた。
「あと八回か、長くなりそうだな」
酒場では階段を八回降りたところで剣も魔法も通じない魔物に襲われた、と一人の冒険者が蒸留酒を片手に、呆れ顔の給仕を捕まえて同じ話を何度も繰り返していた。
話が本当なら……と朧光まで真っ直ぐ進む道を前に、右足の親指が固く強張るが、合わせて魔物は迷宮奥深くに隠された財宝から生まれており、最下層には大群を生み出してもなお余るであろう宝の山が眠っているとの話も思い出す。
踵が僅かに後ろへ下がったものの、無理ならすぐに逃げればいい、とジェイサグは前後左右に軽く視線を配りつつ行く手に見える光との距離を少しずつ縮めていく。
「こいつか…………よし」
壁に備え付けられた燭台が大きな木製の扉を照らす。鋲が打たれたアーチ状のそれに取り付けられた錆を被る鉄製のノブを押す動きに従い開かれる扉は、金具を軋ませ静まり返った迷宮の入口に雑音を貼り付けた。
不快の摩擦が止むと、分厚い板を隔てた先には血と黴の臭い……そして石と石の隙間まで丹念に刷かれた永遠を思わせる暗黒。前方に掲げた松明が、辛うじて数歩先を赤橙に染める。
「とりあえず、右か」
商店で渡された地図を開く、国王の命を受けた騎士団が大々的に探索を行い情報交換の末に作られた物だったが、犠牲の多さ故か今では出自を問わず集まった冒険者も極少数。生き残りも旅慣れた熟練の戦士や魔術師ばかりで、ジェイサグのような銀や群青に光る無傷の剣と鎧を身に付けた新人は相手にもされず、こうして一人で歩くのみ。
「……少しくらい手伝ってくれてもいいのにな、ったく」
地図に従い分かれ道を右に。「次も右だったな」と呟きながら等間隔に配置された輝石の後を追うように進むが、背中を挟み何歩か後ろに低い唸り声を感じて振り向く。
「…………!! もう出やがったか!」
左手の松明を傍らに投げ捨て、翻らせた身に任せて刃先を正面向かって突き付けた。右壁を伝う橙光が距離を詰めた相手に姿を与える、自分より三回りは大きな胴体を包む赤茶色の体毛、太く筋肉質な手足、胸板を守る革鎧、猿を思わせる顔と鋭く伸びた糸切り歯……肘を曲げ近づけた切っ先を戻せば、眼前の右足が一歩後ずさる。
しかしジェイサグが腰を落とし背を屈めたところで、獣人は下げた脚をバネに飛びかかった。ぶんっと低い音と生臭い温風を伴い近づく丸太さながらの腕、肘目掛けて剣を振り下ろすが、硬い体毛に刃先は呆気無く弾き返されその反動が背中を壁へと叩き付けた。
「くっ……う、この野郎!」
「※※※!!!」
鉄板越しに駆ける呼吸が止まらんばかりの激痛。汗に滑る柄を握り直し立ち上がり、”直線的な突進を避け、右に回り込んで無防備な脇腹を”と一気に間合いを詰める獣人を低い姿勢で待ち構えるが、初撃とは比較にならない速度の追い打ちは剣を振る間さえ与えず、毛むくじゃらの大きな拳は寝かせた銀色の間をすり抜けていく。
「ぐああああああっ!!」
腹部を衝撃が貫き、吹き飛ばされたジェイサグは激しい金属音の中で仰向けに倒れた。握り拳の内側には汗と熱、剣は腕を伸ばしても届かない壁際に落ち、燃え盛る熱の塊を彷彿とさせる苦痛が呼吸を、手足の力を奪い尽くす。
「まずいな、こんなところで……つうっ、く、っ」
上体を起こそうにも右肘が崩れ地面に蹲る、両耳に届くは間隔の広い、ひどく散漫な足音と唸り声……鉄板の凹みを指腹に感じつつ、吐き気と化した痛みに息を荒げる。ここまでかと両目を固く瞑るが、鈍い風切音に次いで迫る人の血とは異なる生臭さ、視界の先には後頭部を押さえる獣人の姿が。
「…………? あれ、痛くない……」
「何してるの! 早く離れてっ!!」
鋭く飛んだ少女の高い声、僅かに力の戻った上体を起こして剣を拾う。地面に転がってもなお燃え続ける炎は、青紫を首筋から革鎧に滴らせた魔物を映し出した。
「こんな強い魔物が上層に出てくるなんて、でも!」
ちらつく赤燈は、困惑に煌めく青瞳と風になびくうなじ近くまで伸びた紫色の髪、加えてゴマッグ族の証明である犬にも似た耳へ光を与える。
「※※※!」
「今だっ!!」
敵を挟んだ先には下を向いた五角形の盾を構え、片手では到底扱えないであろう棘付きの大きな四角頭戦鎚を振り回して相手を牽制する少女。届けられた反撃を促す声、何かを考えるより前にジェイサグは肘を曲げたまま銀刃を水平に構え、左手を添えたまま右肘を限界まで伸ばし、背骨と肋骨の間に切っ先を沈ませた。
埃に汚れた鞣し革、金属めいた体毛、そして肉と鉄製の剣が獣人を貫く。だが致命傷には及ばないか、頭上には剥き出しの牙と黄色く濁る双つの目……瞬間、自らの顔ほどもある太肘が一つの隔てもない顔面向かって血混じりの突風を孕みながら近づく。
「………………っ!」
視界の全てを隠す赤茶色、咄嗟に顔を庇った左の籠手越しには骨が砕けたと紛うほどの衝撃、剣を持つ右手さえも痺れる一撃だったが肘打ちを繰り出した獣人の胴は開ききっていた。
「………………はあああああっ!!」
幼子さながらの小さな身体が倍はあろう巨躯の懐に潜り込み、直後に右へ回り石畳を勢いよく蹴り上げる。捻られた上半身が生む反動と落下の速度を助けに叩き下ろされた戦鎚の頭が厚い胸板にめり込むと、獣人は膝を崩し顔に皺を刻ませる。
「もう一発……!」
立ち上がることもせず呻きを漏らすばかりの獣人、そのじくりと血を噴き出す傷口に狙いを定めた少女が、一撃、二撃と体重を乗せて戦鎚の激突を重ねる。鈍い音が大きくなるにつれて暗い青紫が撒き散らされ、体毛に包まれた全身が痙攣を見せ始めた。
機に乗じてジェイサグも剣を背中に突き立て堅牢を明かす背中を切り裂く、肉を、骨を断つ感触が再度鋼を通じて皮膚へと送り注がれた。痙攣は荒暴と変わり、のた打ち回る背中と殴りかかる両腕に、刺さった刃も引き抜かれてしまう。それでも幾度と無く斬打を浴びる内に、血溜まりへうつ伏せに倒れた魔物は動きも、呻きも……やがて呼吸も失った。
「やった、か……あ、危なかった」
「…………」
一歩遠ざかり、鎖帷子と一つに繋がったコート型の白鎧に付着した返り血を拭っていた少女が頷く、くりくりとした丸い瞳に見つめられながらジェイサグも炎を残した松明を拾い剣を鞘に戻す。
「……怪我、してない?」
「少しやられたけどな……助かったよ、ありがとう。えっと………………」
整った目鼻立ちと日焼けとは違う浅黒い肌、小さな背とは対照的な彼女の頭より大きな二つの膨らみとむっちりと肉感的な手足……痛みに腹を押さえながらもあどけなさと成熟もあからさまな肉体のアンバランスさに、意志とは無関係に首が傾き視線が落ちていく。
「ミムレス。あなたは?」
「ジェイサグだ、よろしくな…………ミムレスも一人なのか?」
邪な思いを見抜かれたか、上半身を全て隠せる長さと幅を持つヒーターシールドが首から下を隠す。もう一歩後ろへ下がった彼女に申し訳無さを覚えつつ、両目の位置を髪の間に寝かされた三角の耳へ戻す。
「この辺りなら大丈夫かもって思ってたんだけど、まさかあんな相手まで出てくるなんて……慣れてないなら早く戻ったほうがいいわ
ね、さっきだってもう少し私が来るのが遅かったら……」
迷宮の冷たくも黴臭い空気が炎の輪郭を真上に引っ張り、白い鎧に赤燈を塗り付ける。穏やかな光はミムレスの顔に翳りを添え、水膜の煌きを覗かせた双眸と上がり気味の眉、桃色に艶を放つ小さな唇を照らしていた。
「そっちはどうするんだ?」
「下の階に用があるから。そのお金はあなたにあげる、まず訓練所に行った方がいいかもね」
「あっ………………待って、この階だけでいいからさ、俺も連れてってくれよ」
会話の間に魔物の姿は消えており後に残るは数枚の銀貨、身を屈めたところで、ミムレスは戦鎚を背負い闇へと歩き出す。
「…………傷薬は?」
「ああ、それなら……」
「一人で帰れるなら、別に構わないけど」
着衣越しに小瓶と清布の位置を探る、続くべき言葉は遠ざかる足音と消え行く姿に掻き消された。ジェイサグも小走りで後を追うが振り返ったミムレスに掲げた松明を取り上げられ、油の染み込んだ布の焦げた臭いとともに周囲は黒に塗り潰された。
「松明は捨てたほうがいいわ、魔物に見つかるし戦いの邪魔になる」
「何だこれ、うわっ、すごいな……よく見えるぞ」
代わりに手渡されたのは緑に光る指輪、促されるまま人差し指に嵌めると暗かったはずの視界に通路全体が見渡せるまでの明るさが広がった。きょろきょろと首を動かす顔の右隣には”そんなことも知らなかったの?”と言いたげな呆れ顔を礫転がる地面へ逃がしたミムレス……冷めを帯びる無表情に気づき、光の及ばない黒影を残す天井に目線を向けた。
「店で買えって言われたと思うけど」
「そういえば、でも金が足りなかったんだよな」
「はあ…………手持ちが少ない時はまず道具を揃えなさい、武器だけでで何ができるっていうの?」
不備を咎められてジェイサグは肩を落とし口を閉ざす、一方でミムレスは丸い目を見開き幾度かの瞬きを挟んだ後、先に見える曲がり角へ踏を殺しつつも早足で向かい始めた。
「………………い、行きましょう、夜までには帰りたいから」
なびく毛束に垣間見えた横顔の、やや下がりかけた眉尻と浅黒さの内に滲む紅……”自分のことを男として見ているのでは”と都合の良い感情が膨らみ、口中に溜まった唾液を飲み込むが、勘違いだと理性が諫め自然と伸びた右腕を腰へと戻す。曲がり角の先には右にも左にも不規則に分岐点が配置されているが、彼女の頭は躊躇も無く前を向き続けていた。
「………………」
炎とは比較にならない明るさ、経験のある冒険者が前を進む安心感も合わせて手足指の強張りも少しずつ解け、呼吸も規則性を持つ。歩幅も大きさを増し、気づけばミムレスとの距離は伸ばした腕二本分まで縮まった。
安心感は、彼女が身に付けた鎧と鎖帷子へと意識を向けさせた。正面は膝まで隠すものの、背面はお尻を半分隠すのみ……白いスパッツは体格に比して大きすぎるむちむちの双山にぴったりと貼り付き、膨らみの頂点辺りを斜め下に走り二つの段を作る下着のラインを露呈させていた。
加えて持ち上げられた足裏が、踵、爪先と順に地面を叩けば反動で引っ張られた尻肉が落ち、左右の楕円球が交互にぷるんぷるんっと勢いよくバウンドを繰り返す。
いつ魔物に襲われると知れない迷宮内だったが、積み重なる柔らかそうな波打ちは布地が薄く伸びて架け橋を作る谷間のさらに奥向かって横に斜めに何本も皺を走らせていた。
「緊張感が足りないっ! もう……置いてくわよ!?」
「な、何だよ急に」
両目の行く先を探られたかミムレスは左手の大盾で巨尻を隠す、ジェイサグを睨み上げる目は吊り上がり怒りもあからさまに。「悪かったよ、ごめん」と口の中で小さく呟き視線を右の壁へ外せば、前方には溜め息。しかし盾が背面から側面と本来の場所に戻れば、大きなお尻を視界の中心に捉えてしまう。
「しょうがないじゃない、これだって結構お金かかってるんだから。大きさ合わせるともっと高くつくし……だいたい」
「わかった、わかったって。もう見ないから」
ゴマッグ族の女性は人間の女性と比べると、背も低く顔立ちも幼女じみている反面、胸やお尻は片手では持て余す程に大きく、薄く触れた指が全て埋もれる柔らかさを湛えていると聞いた覚えがある。
両掌には錯覚と残る柔らかさ、滑らかさと蒸し暑い温もり……ぱんぱんになるまで布地の内側に詰め込まれ、歩を前に出すだけで左右にくねり上下に揺れる尻山を見ている内に”触りたい”と右手で固く握り拳を作ったまま身を乗り出してしまった。
「……………………」
何とか背筋を伸ばすが、頭を掻いて、柄に鞘に人差し指を滑らせてと誤魔化しつつ、首を下に傾け直立が作る、お尻と太股の付け根に乗った下向きの弧を舐め見てしまう。ミムレスも察したか度々振り向いては右手で追い払う仕草を取り、歩くペースを早める。
「ん……? 何か踏んだような」
「危ない!」
離れ始めた背中を小走りで負うが、左足が浅い出っ張りを踏んで凹ませたことに気がつく。かちり、と落とした視線の先には音……刹那、拳の倍はあろう礫が顔に迫る。壁に空いた穴からは一つ二つと丸く削られた石が鎧やグリーブへとぶつけられ、ジェイサグは唇を噛みながら鈍く重い痛みを振り切るように前へ走った。
「ちょっと、気をつけなさいよ!」
呼吸を封じかねない一撃を背中、膝、肩に食らい、目眩さえ感じながら罠の射程外に抜け出し転がるようにしゃがむ。顔を上げた先には長い盾で飛び交う石から身を守った故か、落ち着いた様子のミムレス……もっとも、引き攣った唇の隙間には真珠色の歯がこぼれていたが。
「違う、こっちは囮だ!! ミムレス!」
「…………っ!!」
風を切る鋭い音、構えた盾は間に合わない、咄嗟にジェイサグはミムレスの鎧越しに肉感と曲線を明かす小さな身体を押し倒したが、次々と射ち出される矢の一本が彼女の左太ももを掠めた。
「しまった! おい、走れるか!?」
崩れかけた膝に従いよろめく上体を支えた。触れた手甲には火照りが滲む、先端に回りの早い熱毒が塗られていたのだろう、引きずりじみた歩を進める毎に仄甘い汗香に混じり生温かい風が頬を擽る。
自らの肩に寄せられた小さな頭、ふわりと空気を含んで縺れた髪が首筋を優しく撫で抜ければ、鎧を挟んで刺激される五感は心地よさへと化し、竿にはむず痒さ、下腹部には小さなうねりを置いた。
「っ、ぁあ……ん、このくらいだったら……ぁ」
「……悪い、俺がうっかりしてた」
「気にしないで、助けて……もらったのは私だから」
突き当たりの一つ前には左への曲がり道。顔を向ければ近くに空箱が置かれた行き止まり……キャンプに使う厚手の布を敷いて上にミムレスを寝かせ、清布と傷薬、そして毒消しを取り出した。
「やられたのはここか、すぐ治すからな」
左の内腿に斜めに走る赤、光沢を僅かに帯びた白にも滴る血が淡く染み広がっていた。薬を塗るにはスパッツを脱がす必要がある、布地とのコントラストが映える褐色の絹肌に包まれた、つるつるの膝とやや太めの筋肉を感じさせるふくらはぎ……想像が近づけた手の動きを止め、呼吸を忘れさせ、軽い震えを走らせた。
「……………………」
「ちょっと、早く、その……ぬ、ぬ…………脱がしなさいよ、ううっ」
汗ばむ前髪を額に貼り付かせたミムレスが唇を震わせる、早くしなければと我に返ったジェイサグは縫い返しの施された継ぎ目に指を引っ掛け、食い込みが作る段差を下へ逃す。
「っあ、ああ……っ!」
傷口に触れたか眉間に深く皺が刻まれる、だがシンプルな黒い下着と蒸れ続けた甘酸っぱい匂いに膨らんだ申し訳無さも吹き飛ぶ。”触りたい”、”脱がしたいと”沸き起こる衝動を大きく首を振って追い払い、清布を水に浸し傷口を拭う。こびり付いた毒を落としたところで二枚目の布に毒消しを塗り巻き付けていく、薬が効けばすぐに動けるようになるだろうと、小さく息をついて壁に背中を預けた。
「これで大丈夫だと思うけど、毒が抜けるまでしばらく休んだほうがいいかもな」
「そう、ね……まだ、私も」
目元の涙と青瞳の煌き、身体をもじつかせるミムレスに着衣を戻さないとと気づくが、宛てがった掌に送り込まれる太ももの温かさと肉感はひどく心地よく、傷口を避けながらも円を描くように目の詰まったすべすべもちもちの肌を撫で回し続けた。
「…………ひ、ああっ、ちょっと、何、っん」
唾液を薄く纏い、艶光る唇がわななき開かれる。右手中指と薬指は閉ざされた内腿に忍び入り、皮膚の薄い潤いと滑らかさ、さらには粘り気さえ感じさせる肉を掻き撫でる。
一方、強張る太ももは異物を追いださんと締め付け、上体も起き始める。だが馬乗りのジェイサグを引き剥がすだけの力は残っておらず、鎧の留め金を外す指に自らの掌を被せ、首を振るばかり。
※※※
「あ、ふっ……やめ、なさい……っ、こんなの、はああっ」
「悪い。でも、我慢できなかったから」
「我慢って、そんな……助けて、あげた……んはあ」
自分を組み敷いた男は、鎧を引き剥がし強引に持ち上げた腕から鎖帷子の袖を引き抜く。残りはピンク色のセーターのみ、だが小さく細い身体に取って付けたような巨大な乳房のシルエットを明かすそれらもたくし上げられ、剥き出しの皮膚を冷たい風とジェイサグの目線が舐め回す。
喉を鳴らし、小鼻を膨らまし、瞬きも忘れ……背中を捩らせて露骨な性欲を跳ね除けるが、胸を庇うはずの両腕には痺れ。せめてと目を瞑り唇を噛み締めた。
「すげ……滅茶苦茶でかいな」
自分の顔よりもサイズも重みも上回る乳房を、汗雫伝うぎゅうっと肉と肉が窮屈に擦れる谷間を除き下輪郭まで隠す黒いブラが剥ぎ取られる、持ち上げる動きの織りなす反動が双丘をたぷんたぷんと波打たせ、拘束を失った肉塊は普段の行動にさえ支障をきたす自重故に僅かに垂れ下がった。
「………………」
「見る……な、だめっ、ん、うっ…………ふう、うっ」
近づく顔、精悍さに含まれた少年の面影……魔物に襲われていた彼を見て、考えるより先に助けたいと感じた。だが眼前には理不尽な裏切り、添えられた両掌がぐにゅ、むにゅっと量感に飛んだ乳房を揉み回し、沈んだ十本の指で椀型の球体を拉げて間に丸い盛り上がりを作る。
視界は悔しさの涙でぼやけ、睨んだ先の表情もはっきりとは見えない。ふらつく自分の腕を宙に彷徨わせ、揉む手と頼りなく歪みバウンドを繰り返す膨らみの間に滑らせるがそれも呆気無く振り払われ、曲がっては伸びてを重ねる蠢きは火照る褐色の柔肉を掴み、頂点へと爪の先を及ばせていく。
「ひゃああっ! い、いい加減に」
つつ……っと汗が耳元を伝う。接触点から送り注がれた熱は手足の先へと焔を走らせ、当たるか当たらないかの位置で薄桃色の小さな乳首と微かに盛り上がった乳輪を撫で擽られれば、腰が浮かび背中が跳ね上がり…………短く喘ぎが飛んだ。
”声を出してしまった”、この事実が羞恥と屈辱を生み拳の内側に爪が立つ。力に応じて増す痛みは、先端を起点にぶるんぶるんと背中のくねりに応じて弾む乳山に広がる痒みと疼きを紛らわせ、開きかけた唇を引き結ばせる。
それでもジェイサグの指が艶を滲ませた皮膜を根元から頂向かって刮げ撫でられると、積み重なる思考は「ああっ」と気の抜けたため息のような声に溶け落ちていった。
「あ、あっ、っはああぁ、離れて、んんっ、あああ!」
朝露を浴びた南国の巨大な果物さながらに大きく実った乳房は、指の甲まで沈ませて深い手型を作る。揉みしだかれる度に嬌声は高く弾け、小刻みにぷるぷる震える乳房に従い手足の指が虚空を握る。
「っ、ん……う、ああぅ、こんなこと、ゆ、んっ、許され……」
言葉を中断させる右手の親指と人差し指。芯を孕むささやかな乳首を捻り転がされ、摘み上げられ、爪を立てられる……走る痺れに視界のぼやけも夥しく、厚手の布に沈む腕には見えない枷が嵌められた。熱っぽく桃彩を含んだ褐色の乳肉も、圧力で平べったく潰されて高温多湿と粘り気を浴びた山の裾野から、自重に屈したとはいえなお急激な曲線を描く乳房をいっぱいに開かれた残りの八指が掴んでは捏ね歪ませる。
早く逃げなければ……曲げた肘を伸ばしジェイサグの胴体を押し返して互いの距離を保つが、乳房に近づく顔さえ跳ね除けられず、気づけば生暖かいぬめりが左の乳首に塗り付けられた。
「ひい、ああっ! だ、だめ……後で、覚えて……んんふっ」
「……ちょっとだけ、ちょっと触ったら終わりにするから」
敷かれた布の皺とジェイサグの息遣いを感じながら固く目を瞑る、だが被せられた唇と先の尖った舌の動きは瞼裏の闇をすり抜け、見えないはずの光景を鮮明に浮かばせた。
「ふああ、ああっ、絶対に、ん……ぁ」
二枚の唇が突起の根元を挟み付け、舌が尖りの先に唾液を置く。粘膜の接触がぬちゅ、ぷちゅっと水音をこぼし、淡いとろみを隔てた先に擽ったさを注ぎ入れる。舐り上げ、歯を立て、頂点を押し潰す一方で右手は乳房に埋もれ、左手はふっくらと脂肪を纏う腹部を通り、脇、腰へと下り続けた。
”見捨てればよかった”と歯を食いしばり両手で肩や胸板を殴るが上体だけでは力も入らず、触れられるは最後の一枚……汗でぴったりと巨尻にしがみ付いた下着の裾はゆっくりと膝向かって下ろされ、湯気を錯覚させる熱香に蒸れた無毛の秘所が暴かれた。
「…………初めて見た、こうなってるのか」
「やっ、あ、ううっ……はあ、力、入らない……」
ぬるり、と蠢きが下腹を這い撫でる。ぴちゃぴちゃとミルクを舐める子猫を感じさせる粘着を伴った音の中に、布ずれと喘ぎが混じる。ふくらはぎの真ん中辺りへ丸まった薄布は追いやられ、ミムレスの両脚が割り開かれていく。
筋肉質な背中と脇腹を引っ掻きながら太ももを強張らせても固く起き上がった乳首を舐め転がされ、双山の中腹まで照り光らせる唾液を潤滑油にぐずゅっ、ぬぢゅっとスライム同然にぷるぷる揺れて逃げる巨乳を揉み込まれると引っ掛けた爪はジェイサグの身体を掠め落ちてしまう。
「っああぁ、う、ふ……っ、見ないで、って、ああっ、んん!」
右の乳房を搾り上げられつつも、被せられた唇が離れ銀の架け橋を作る涎糸に膨らむ小鼻からゆっくりと息を抜くが、彼の赤瞳は全く毛の生えていない一本の縦筋を見据える。
経験のないミムレスでも、今後の予想は容易だった。靄がかった意識の中で腕を持ち上げるが、厚めの土手を捲られ指が幼桃の重なりをなぞると背中が反り返り布波に手の甲が飲み込まれた。
「あああ、あっ、触ら……ないで、っ、く、あああっ!」
くつろげられた楕円の先には互いにもたれかかる粘膜、捩れの間をくぐる指が前後を開始し、くちゅっ、ずちゅっと水飴を掻き混ぜるような音が聞こえ始めた。形をなぞる円が積み重なるにつれて、啄まれた乳首とは比較にならない擽ったさと疼痛が皮膚の内側を駆け抜ける。
「濡れて、きてるのか……? もしかして」
「そんなわけ、ない……っ、はあ、っく、ふあああ……」
振り乱される前髪と引き攣る目尻、だが夜更けに宿の一室で自身を慰めた時とは比較にならない愉悦がミムレスの全身を這いずり回る。距離も速度も倍加する人差し指のストロークは縮こまり締め付ける螺旋襞をくつろげ擦りながら奥を穿ち、背筋に稲妻を走らせ続けた。強烈な快感故、口内では「はうっ」と呻きが漏れると、溢れんばかりの快感を悟ったかジェイサグの手首が半回転し円運動が粘っこくぞよめく襞と粒立ちで構成された粘膜を撫で拭い始めた。
薄濁色の愛液を湛えたとろとろぷるぷるの柔らかくねっとりと湿潤を帯びた淫ら蟲への刺激は”だめ”の奥底に”もっとして”を芽生えさせる、認め難い感情に太ももを跡が残るまで強く抓るが、押し広げられた襞越しにじわりと下腹へ染み広がる愉悦が指の力を緩ませた。
「っ……これ以上やったら、っはあ、ぁ……ん、ふ」
それでも興奮にぎらつく目と持ち上がる唇の箸が忘れかけた怒りを甦らせ、むっちりと肉の付いた脚で温く纏わり付く風ごとジェイサグの胴体を蹴飛ばすが、肩に乗った踵が膝と太ももを浮かばせ、糸引いて皮膚に追い縋る蕩け肉紐の層をさらに割り開かせた。
力の入らないふくらはぎに届く鉄の冷たさが熱に溶けた意識を引き締め、欠片だけ残った力で顔だけを持ち上げ通路の先に視線を辿らせる。声も唸りも今は聞こえないが、誰かが来るかもしれない……見られたら、と思えば内腿を緊張が歩き、ブーツの中で足裏が縮こまった。
「もう、入りそうだな……よ、よし」
「……そんなわけ、はっ、な……ああん、誰か……来たら、っう、どうするのよ?」
「大丈夫だって、それより……もう、我慢できない」
背を屈めるミムレスだったが、ぐじゅりとしとどに蜜をこぼす膣口が罪悪感混じりの快感を何倍にも膨らませ、顎を反り返らせる。穴を穿つ指はぐねつきの狭間をずっちゅ、にちゅぐちゅっと憚りのない音を連れて練り進み、会陰部に始まり後ろの窄まりへととろとろの粘り蜜を垂れ進ませた。
認めたくなかった、しかし疼く肌を粟立たせ耳裏にまで汗を広げる気持ちよさに幼子めいた丸い手は震え、曲がる指先が蜜溜まりを湛えるざわめきを擦り上げれば左右のふくらはぎでジェイサグの首を挟み付けてしまう。
「だ……め、っ、あ、あああっ、ああああ」
皮膚と複雑な模様を描く粘膜が圧着し潜り溺れる指、渦を巻く襞蟲の収縮が異物を押し返すが、一方で掻き混ぜられてぬめりも著しい真珠色の糸液がローション代わりに指腹を捩れたあわいへと導く。
「いいよな、入れ……ても」
「っふ、あああ、い……やぁ、ああ、んっ、いい、からっ、そんなの……!」
戻された”それ”に薄く目を開いてぼやけを挟んだ先のジェイサグを睨み上げるが、亀頭が膣口に押し付けられ、走る稲妻が布を握る拳に緩みを与えた。
経験の無さは恐怖につながり上半身だけで後ずさるが、手を限界まで広げてもなお三分の一も掴みきれない褐色の両乳を掴まれてしまい、最後の抵抗も封じられた。
きめの細かい、傷一つない小麦色の球体は半固形のスライムさながらに柔らかく指間に纏わり付き、他方でミムレスの背中に光の束を這わせる。そしてこの刺激が意識を乳房に向け、膣口の肉リングをくぐるペニスへの反応が遅れた。
「…………ちょっと、あ、ああああああっ!」
指をはるかに上回る太さが入口の重なり合う粘翅、隙間なく敷き詰められた襞蚯蚓の巣と順番にくつろげていく。広がる痛みが、後ろめたさも恥ずかしさも怒りも全てを吹き飛ばし、絶叫じみた声が天井と壁に響き渡る。
自らの掌で唇を塞ごうにも、ぞわり……と剥き出しの肌を舐めるむず痒さが脱力を促し、痙攣も明らかな両腕は布が作る皺の間に沈んだまま。
「う、すげ……っ、こんなにきついのか」
上ずるジェイサグの声がぬるぬるの膣壁と亀頭の交わりを自覚させ、髪を唇端に含んだままかぶりを振る。
「ひ、うああっ、痛い……抜きな、さいよ……!」
だが抵抗の意志とは裏腹に、膣内はぎゅうぅ、ぐじゅるっと亀頭を舐め回し戯れかかる。餌に喰らいつかんばかりに騒ぎ粘汁を迸らせながら押し寄せる襞の一本一本へと感覚が集約し、朧げではあるものの瞼裏に光景が浮かぶ。
「あ、ああんっ、ちょっと、離れて……っあああっ」
筋肉を内に潜ませた肌色と、溢れる寸前まで豊満さを湛えた褐色がぶつかり、互いの汗でぬるりと腰が滑る。肘が崩れたことでジェイサグが組み敷かれたミムレスの身体にもたれかかり、押し分けられた泥濘と亀頭の側面がぐじゅるっと溶け合うような強い接触を見せた。
嬌声さえ封じられる苦痛を含む衝撃が総身を駆け巡る、侵入物を捩じ切らんばかりに渦を巻く濡れ肉がペニスに絡み付き、亀頭の裏側、竿との境界線にまで細やかにぞよめく起伏が入り込んだ直後に、息遣いと抽送と同じタイミングで締め上げる。
「ぅ、うああっ、痛い、っ……ああ、ああっ! だめ、抜い……て」
「そんなわけにいくかよ、ぐちゅぐちゅでぬるぬるで勝手に奥まで入るんだから」
魔物との戦いで幾度と無く傷を刻まれた肉体、慣れ故に積み重なる突き上げは加速度的に痛みを薄れさせ、残るは複雑な模様を描く蜜塗れの粘膜を擦られる気持ちよさのみ。
”誰かに見られたら”、”こんなの痛いだけ”、”恥ずかしい”と心中を占めていたはずの拒絶も、ジェイサグが片手ずつで大きいを通り越した乳房とお尻を掴み捏ね回しながら、張り出した亀頭の裾野で襞群をあやし撫でると吐く息とともに全てが霧と散った。
「ああ、ああ、はあ、う……ぅっ、言わ、ないで…………ふああっ、か、勝手に……違う、私は、あああん、うぅ」
理性とは無関係の悦を貪る感情が、言葉とは対照的に両腕を鎧に守られた背中へ巻き付かせる。染み渡る冷たさに一時は羞恥を取り戻すものの、手付かずの膣奥を肉傘がくじり回し、蜜浸しの紐を上下左右斜めから掻き混ぜられて眼前には鮮やかな閃が走る。
「……もう、痛くないだろ? だから、さ……」
「な、ふざけないで……あ、ああっ! あなた、人を何だと……ん、うんっああ」
頭上に降り注ぐ上ずり気味の掠れ声、気遣いのない言葉がわななく唇を引き攣らせるが、粘っこく指を押し返す肉塊を弄る両手の指が乳首とクリトリスを爪で摘み捻ると同時に、屹立が密着して離れない膣壁を振り払うようにストロークが激化の一途を辿りだす。
鉄板の繋ぎ目、布に隠れた脇腹を掻き毟り体奥を擽り回す愉悦を追い払うミムレスだったが、つられて暴れる背中と両足がペニスの挿入を深め、狭隘に襞が縺れる膣底近くまで先端に貫かれてしまった。
「あ、ああああ、ああっ、だめ、も、もう……ん、っ、はあ、ああっ、入らない」
皮膚を隔てて感じられる肉洞窟の息遣い、白蜜のせせらぎを生むつるつるぷにぷにの内壁は身じろぎにやや遅れて収縮と弛緩を繰り返し、切っ先から根元までの全方位を取り囲みひしめき合いをあからさまに。知らない相手に押し倒され、欲望のままに犯される……屈辱を恥じる思いは、心の底に僅かだが残されていた。しかしそれ以上に、左右へのスライドも混じえた突き上げが牝の悦びを奔流として歯を食い縛り耐える自分を際限なく押し流す。
「う、うっ……やばい、いきそう」
結合部ではぐちゅぷ、ぴちゃっとこぼれ落ちた愛液が跳ね、ぶつかる肌と肌を溶け合わせる。射精を仄めかす言葉に胸板を押し返すが、混ざる液体が夥しく境界線も曖昧なぬめり筒の内側にこびり付いた快感の稲妻が伸びる肘と掌の行く手を阻む。
「んうあっ、は、ああふ……だめ、早く、抜きなさい……っ!」
前後運動の回数に比例して早さと深さも増し、力任せなピストンは膣口の花弁を抉じ開けるに始まり、最奥近くの襞塊を穿ち上げる。逃げ場を失った淫ら蟲達は一斉に中をそよぎ回すペニスへと噛み付き、縛り上げ、竿の形を変えんばかりにもたれかかった。
「でも、間に合わないって、っう、うう……っ」
「だ、だめっ、や……だっ、あ、ああ、あああっ、あああああ!!」
伸し掛かる上半身を突き飛ばすべき腕は、身体を守る鉄板を撫でるばかり。もし中に射精されたら……震えが肌に粟立ちを置くが、むず痒さ混じりの疼痛はひどく心地よくもあり、亀頭を搾り上げる襞を通じて送り注がれる刺激を求めようと顎を落ちる唾液も気にせず、大口を開けて喘ぎを飛ばす。
ジェイサグも逃すつもりはないか、胸を揉む手を背中に回して小さな身体を抱き寄せる。捏ね潰される乳首と押し付けられた頬には冷たさ、反面高速で行き来するペニスは根元まで肉の層に包まれ、”一つになった”との実感が全身を完全に包む。
「っ、う……出す、ぞ……っ、う、あああっ!」
「いや、いやあっ、あ、あああっ……ん、はあ、ああっ!!」
唐突に動きを止めた腰、伝わる痙攣と脈動……麻痺へ至るほどの愉悦に包まれた膣内が脈動に並行して訪れた迸りを受け止める。悔しさの中には諦め、今さら遅いとミムレスは体温に暖められた鎧越しの身体に強くしがみつく。
「あ、あああぁ……出て、る、いや、やあ、だ……っ、ああああんぅ」
離れたいが離れたくない……相反する二つの思いが汗ばむ肌を、ねっとりと蜜に塗れ柔らかく解れた襞蟲の大群を蕩けさせ、今だけは、と面輪の緩みと紅の染みる褐色を感じたまま目を瞑って近づく彼の顔に唇を被せた。
※※※※
「いててて……」
「……衛兵に突き出されなかっただけでも、ありがたいと思いなさい」
「悪い、どうしても我慢できなくて」
探索を中断し、出口へ向かう二人。事後散々に打ちのめしたためか、新品の鎧には大きな凹みと傷が。この男をどうしてやろうか……ありふれた装備と僅かな有り金、詰め所に引き渡すにも証拠がない、苛立ち紛れに殺してしまおうかとも考えたが、内に浴びた精液の熱と抽送の快感が高く上げた戦鎚の行き場を失わせ、鎚頭の刺で身体をつつくのが精一杯だった。
「絶対に許さないから。か、覚悟しておくことね」
振り向きかけたジェイサグの顔を見上げる、背中を引っ張られる錯覚に歩が止まった。胸には、初めて彼の顔と同じく高まりが……もう少し鋭い言葉でも、と思考が命じるものの開きかけた唇はぎこちなく震えて小さくぶつかった歯がこつんと口内で音を立てる。
「しばらくただで働いてもらおうかな……」
「え、もしかして収容所とか」
左目の端が燭台に備え付けられた輝石の明るさを捉えた。光を呼び水に外の光景を思い出しそれもいいなと俯き加減の状態で唇の端を持ち上げると、ぶつかった視線が相手の肩を竦ませ、歩調も早めさせた。
「冗談よ、そんなことしたって何にもならないでしょ? だから……」
意図とは異なる”だから”。額と頬に生温かさが広がる、冷獣の毛で作ったセーターの奥にも火照りが伝わり滴る汗が行為を思い出させた。出口へ急ぐジェイサグとは対照的に踵には重み、爪先には強張りが与えられ出すべき左足が地面に貼り付いた。
「だから?」
「………………何でもないっ、いいからさっさと行きなさい!」
上に立つことで落ち着きかけた心は、向けられた赤瞳に乱されて膣口と乳首に蠢きを忍ばせる。縮こまる背中、錯覚だと言い聞かせつつ顔を上げるが下着の裏地には粘っこい潤いが。もし、もう一度……絡み合う裸体が頭の中に浮かぶ、だめだ、だめだと理性と羞恥心が言い聞かせるものの、いつの間にか掌にはべったりと汗が滲んでいた。