メモ帳の奥に眠っていたウマ娘のss(非エロ) (Pixiv Fanbox)
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「あ、マックイーンちゃん、今ちょっといいかな?」
「あら、ゴールドシップさんのトレーナーさん。ごきげんよう。嫌ですわ」
「まあまあ、そう言わずにさ。ほら、ロシアンたこ焼きあげるから」
「要りませんわ」
「六個中五個がねぇ」
「要りませんったら」
「カラシ入りなのよ」
「逆じゃないですの?」
「残り一個はワサビなの」
「じゃあロシアンでもないでしょう、全弾入ってるのですから」
「まあそれはそれとしてね、ホントに相談あんのよ。これは後でライスシャワーちゃんにあげるとして……」
「絶対におやめなさい。相談聞いてあげますから」
「実はゴルシの事なんだけどねぇ、最近様子変じゃない?」
「ゴールドシップさんが変じゃない時はないと思いますが」
「いやいや、そういう変じゃなくてさ、柄じゃない事してるってか」
「……あまり、思いつきませんが」
「ふーむ、おかしいな……」
「何かあったんですの?仲違いでもなさったのですか?」
「いや……俺の勘違いじゃなければなんだけど……」
「はい」
「プロポーズ、されてる気がしてさ」
「……は、プロ、ポーズ?」
「そうなのよ、あ、あとこれナイショのやつだからね。ゴルシには言わないでね。言ったら背中にでっかくゴエモンインパクトの刺青入れるからね」
「……は、はい、分かり、ました。けど、プロポーズですか?ゴールドシップさんが?」
「うーん、だと思うんだけどな……違うのかな……」
「……とりあえず、お聞かせ願えますか?」
「おうよ、五分で五百円な」
「帰りますよ」
「嘘だって、ごめんね。ほら、土下座」
「うわっ!おやめなさい!なんで貴方は躊躇なく土下座できるんですの!?」
「これはこの前の事なんだけどね」
「土下座したまま喋らないで下さいまし!?」
~~~~~
『おう、トレーナー。これやるよ』
『サンキューゴルシ。男子トイレの中に入ってまで渡したいものとは相当だね』
『おーよ、でもアンタも暇そうで良かったよ。トイレの中に居るヤツって皆忙しそうだしな』
『まあ、用を足す訳でもなく小便器の中のキャンディーみたいなやつ眺めてただけだからな』
『業務時間中にやるねぇ。タバコ休憩みたいな?』
『理屈としては全く同じ』
『そっか、ニコチン中毒には気をつけろよ!あと、そのぬいぐるみは冷凍庫に入れとけな!じゃああばよ!ゴルシちゃんワープッッ!!!』
~~~~~
「んで渡されたのがこのカリフォルニアロールのぬいぐるみなんだけどさ」
「ちょっと待って下さる?一度整理しますわ」
「五分で五百円ね」
「ならもういいですわ、多分考えるだけ無駄ですし」
「そうかい、ならボッシュートだね」
デデッデデッデーン……
「えっ!?何の音ですの!?どこから!?」
「んでねぇ、このぬいぐるみがねぇ」
「教えてはくれないんですのね……というか、その、独特なデザインですわね、そのぬいぐるみ」
「キモイよな~」
「折角ぼかしたのに、貴方は……」
「こことか見てよ、目ん玉三つあるんだぜ」
「え?二つでは……あ、背中にも一つあるんですのね」
「奇数て」
「そのツッコミもどうかと思いますけど」
「んでさぁ、ここの糸の結び目なんだけどさ」
「はい、これがどうしたんですの?」
「この結び方だと解けやすいんだよね」
「そうなんですの?」
「うん、こういう物には一般的には使われないね。ここをこう引っ張るとね……ほら」
「あら、本当ですね。簡単に解けました」
「特殊な結び方でね、ある一方向からの力には強いけど、解き方を知っていれば簡単に解けるんだ」
「へえ……」
「それで、糸を解いてこの中に……ほら、やっぱり」
「これは……一本の髪の毛、ですの?」
「そう、多分ゴルシのやつ」
「何故……?」
「まあ、一つは呪術的な意味かな。昔から日本では髪の毛には強い呪いの力が宿るって言うしね」
「はぁ……」
「あと、西洋なんかでは髪の毛は愛する人に送るものなんだ。小説なんかでもよく出てくるよ」
「そうなんですの……あら?この髪の毛、黒くないですか?」
「そう、そこがポイントなんだね」
「では、これはゴールドシップの髪ではない……?」
「いや、これは染めてあるゴルシの髪だよ。触れば分かる」
「いや、一本だけでは無理でしょう……」
「そう?ゴルシのなら分かるけどな」
「どんな手の感覚してますの?」
「トレーナーなら皆担当のウマ娘のなら分かるんじゃない?」
「無理だと思いますけれど」
「そうかな……?まあ、ともかくこれは……ほら」
「何ですか、それ……保冷剤?」
「そ、押し当てると……白くなったでしょ?これは温度で色が変わるインクだね」
「本当ですね、黒かった髪が元の白色に……ですが、何故?」
「ありつつも君をば待たむうち靡くわが黒髪に霜の置くまでに」
「和歌、ですか?」
「そ、磐之媛命って人のね。所ジョージのお祖母さんなんだけど」
「大嘘吐かないで頂けますか?」
「意味はねぇ、私の黒髪が霜が降りて白くなっても、貴方を待ち続けますって意味なんだ」
「へぇ……それで、わざわざ髪を黒く染めて……」
「多分ね。冷凍庫に入れとけって言ってたのもこれがあるからだろうね。あと、和歌の意味からして、待ってるからプロポーズの返事はまだいいよって意味もあると思う」
「はぁ……回りくどいことしますのね……」
「あいつは最近ずっとこんな感じの事してくるんだよね」
「……返事は、どうしますの?」
「どうしよっかな~」
「……ちゃんと、考えてあげて下さい。ゴールドシップがこんなに心を許しているのは、貴方だけだと思います。あの子の理解者として、どんな結論でも、ちゃんと向き合ってあげて下さい」
「うん、分かってるよ……ところでさ」
「はい?」
「あいつがこんなに回りくどいことするのはさ、俺以外のやつにプロポーズしてる事を理解してほしくないからだと思うんだよね。恥ずかしいから」
「……なら、私は」
「うん、ゴルシにバレたらヤバいだろうね。背中にでっかくブリキ大王の刺青掘られるかもね」
「貴方、私を巻き込みたかっただけですの!?」
「うん。ごめんねごめんね~」
「心がこもってませんわ!?と言うか、どうしますの!?」
「どうにもならんと思うよ」
「何故そんなに諦めがいいんですか!」
「だって、ねぇ……」
ドドドドドドド……
「おい!!!トレーナァァァ!!!オラァ!!!」
「あはは、メンゴメンゴ」
「避けるな!!!アタシの!!!純情を!!!」
「ゴメンザイムQ10だわ」
「待て!!!逃げるな!!!大塚製薬!!!」
「ははは、じゃあねマックイーンちゃん」
「全部の関節逆向きにしてやる!!!」
「……ウマ娘と、互角に追いかけっこしてますわね……。壁キックで屋根の上に登って爆走してますわ……」
「……トレーニング、しましょうか……」
次の日、朝起きるとマックイーンの顔には油性ペンで「肉」の字が十八個書かれていた。机の上には、達筆な筆文字で「罪と罰」とだけ書いてある半紙が置いてあったそうな。