連載小説「通販カタログ」(13) (Pixiv Fanbox)
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(13)
「へ―……」
「ふぅん……」
開かれたクローゼットの中を見て、一ノ瀬さんと二宮さんは予期していたような、それでも驚いているような、呆れたような、そんな声を漏らす。
いっぽうのぼくは、完全フリーズしていて……
「女子小学生の制服一式に、女の子用の通学帽子に、赤いランドセル……しかもブルマーと、スク水まであるんだ。あははっ、ちゃんと名前まで書いてあるじゃん」
「ふふっ、ちらちらと見てたから、クローゼットの中に何か隠してるんだろうなとは思ってたけど……まさかここまでそろってるなんてね」
「そ、その……ごめん」
「まったく、さっき出してくれたら、ランドセルを背負った写真も撮れたのに。ほら、とりあえず背負って」
「う、うん」
一ノ瀬さんに渡されたランドセルを背負って、再び撮影が始まった。
女児スーツに赤いランドセルなんて、完全に卒業式の女子小学生だ。しかも短いフリルスカートの下は、紫色のTバックショーツ――前かがみになって振り向いているところを、後ろからローアングルで撮影されると、
「裕一、いいお尻してるじゃーん。紫色のレースがよく似合ってるぅ」
「ふふっ、なんだかエッチなイメージビデオの撮影みたいね、裕一くん」
「き、着せたのは二宮さんで、撮ってるのは一ノ瀬さんじゃないか……!」
「へへへっ……それはそれとして裕一、あたしたちのことも、名前で呼んでよ。あたしたちは裕一って呼んでるんだから」
「え……い、いいの? えーっと……」
ランドセルのベルトを握ってポーズを取りながら、ぼくは二人の名前を思い出そうとするが、なかなか出てこない。確か一ノ瀬さんが――
「凛よ。この子が、一ノ瀬凛。あたしは二宮桃花」
「凛さんに、桃花さん――うん、よろしく」
いろいろあったけど、とりあえず二人と仲良くなれたのはシンプルに嬉しい。それと――二人からの「手土産」も、恥ずかしくはあったけど、いまならしょうじきに嬉しく思えた。
「その……二人とも、ありがとう。セーラー服だけじゃなくて、女児服に、卒業スーツまで」
「あははっ、気にするなって。いかにも女子小学生ですって感じのパステルカラーの女児服なんて、あたしはもう恥ずかしくて着られないし」
「ええ。卒業スーツなんて、持ってても着ないもの。裕一くんが着てくれるなら嬉しいわ」
「うっ……それ言われると、女子でも着ないような服を着てるって自覚して、すごく恥ずかしいんだけど……」
そういうと、女子二人はくすくす笑って、
「じゃ、最後にその女子制服を着て見せてくれよ」
「ええ。裕一くんが自分でそろえた制服、見せてちょうだい」
「う、うん」
これだけもらっておいて、断れるはずもない。ぼくはいつもの女子小学生制服に着替え――さらにその後、ブルマー姿も二人の前で披露させられることになったのだった。
*
夕方になって二人が帰った後、部屋に母さんがやってきた。
「あら? そのパステルカラーの女児服とスーツ、お友達にもらったの? いいじゃない、いかにも女子小学生っぽくて」
「う……うん」
そういえば――けっきょくクローゼットにしまうことなく出しっぱなしになっていたんだ。袖を通したといっても10分くらい試着しただけだし、ハンガーにかけてクローゼットにしまっておこう。あ、下着は洗った方が良いな。
「その、下着ももらったから、いっしょに洗ってくれる?」
「あらあら、セクシーなのとキュートなの、両方もらったのね。それに――セーラー服も? よかったじゃない、これからは女の子の制服で、通学できるわね」
「し、しないから! っていうか無理でしょ!」
いくら家の中で女装していて、源太やあの二人にそれがばれているとはいえ、さすがに女子制服で通学するような度胸はない。学校からも怒られるだろうし、クラスメイトが好意的に受け入れてくれるとは限らないのだ。
「そうかしらねぇ。やってみたら、案外何とかなるものよ? まぁそれはそれとして、あとでそのセーラー服、着て見せてちょうだいね。お父さんもきっと喜ぶわ」
「う……息子の女装を見て喜ぶ父さんもどうかと思う……」
まぁ、それを言ったら女装を始めたのはぼく自身なんだけど。
けっきょく、二人からもらった服を片付けたあと、ぼくはセーラー冬服に着替えた。帰ってきた父さんは、セーラー服姿のぼくを見て娘ができたようだと言って大喜び。さらにほかにもらった服も、明日以降着て見せることになってしまった。
「はぁー、今日はいろいろあったな……」
入浴後、いつものようにパジャマにしているブルマーに着替え、自室に戻ってベッドに寝転がると、ぼくは大きくため息をついた。
学校では制服女装で授業を受け、帰宅後も凛さんと桃花さんから、それぞれ女児服と卒服スーツを着せられて、女子小学生制服女装しているのもバレてしまい、制服とブルマーまで二人に披露。さらにもらったセーラー服を着て、家族に見られ――振り返ればいろいろな服で女装させられ、しかもそれをたくさんの人に見られたわけで――
「うっ……」
ブルマーの中のものが、激しく疼く。緊張から解き放たれたことで、今まで委縮していたものが一気に勃ち上がり始めたのだ。意外と内弁慶だな、ぼくのチンコ。
でも、こうなったら出さないわけにもいかず、
「んっ……」
ずり下したブルマーから取り出した怒張を、ぼくはゆっくりしごき始めた。
(続く)