「思い出のワンピース」(9) (Pixiv Fanbox)
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「思い出のワンピース」
2.幼馴染は見た(4)
「わぁっ、すごい……可愛いジャンパースカートの下で、そんなに勃起してたなんて……!」
改めて目の当たりにしたその様子を解説するように呟きながら、愛那は撮影を続ける。
浴びせられる言葉とフラッシュに、博希はますますいたたまれない。なのに怒張は、我慢できないほどに膨れ上がってゆく。
「だ、だめ、もうっ……!」
いまだかつて経験したことのない苦しさに、博希は思わず片手で股間を押さえ――図らずもそれが最後の一押しになってしまう
ショーツの中で押さえつけられたモノが激しく痙攣を始め、陰嚢がすくみ上る感覚に、博希は破局の時を悟る。
「あ……だ、ダメ、出る……出ちゃうっ……見ないで、見ないでっ……!」
「見せて! ヒロの恥ずかしい姿、全部、あたしに――!」
ふたりの相反する声が交錯するなか、博希は腰の奥から一気に精液を噴き上げて、ショーツの中に吐き出していた。
びゅくっ、びゅくっ――
カシャッ、カシャッ――
視界が眩み、ブラックアウトしそうになるほどの快感。
「あ、あ――」
甲高い、よがり声。身の内に湧き上がる快楽にあらがえず、絶頂に達するときに漏れ出す甘い喘ぎ。
博希は最初、それは自分の声だけかと思っていた。しかしすぐに、愛那も自分と同じようにであることに気づいて、これまでとは違った驚きに満たされる。
「あ、愛那……?」
「あははっ、バレちゃった」
カメラをどけると、その下からかすかに赤らんだ顔が現れる。目はしっとりと潤み、息が荒いその様は――今の博希と同じ、欲情の名残。
「あたしもちょっと、イっちゃった。ヒロの姿を見てたらつい、ね。がっかりした?」
「う、ううん、そんなことはぜんぜん――っていうか、もとはぼくがこんな格好で、昂奮を我慢できなかったのがいけないんだし」
ずん、と自己嫌悪に落ち込む博希。
「くすっ、その辺はお互い様よ。あたしがスカートをめくれなんて言ったのが悪いんだから。さ、お母様にバレたら大変だから、急いで片づけましょ?」
「う、うん」
お互いに、絶頂の余韻に浸ってのんびりしている暇もない。
見下ろせば、可愛いガールズショーツは表面に白濁液が染み出している有様で、部屋全体にうっすらと青臭い匂いも漂っている。博希は下着を履き替えなおし、愛那は部屋に消臭スプレーを撒いて、証拠湮滅を図るのだった。
もっともそれは、あまり意味がなかったようで――
「ふたりとも、おかえり。気持ちよかったかしら?」
片づけを済ませてリビングに下りていったとたん、開口一番そう出迎えられて、もともと赤かったふたりの顔が、さらに赤くなる。
「い、いちおう言っておくと、一線は越えてませんから!」
「ふふ、わかってるわよ、愛那ちゃん。で、いい写真は撮れたかしら?」
「はいっ、それはもう!」
満面の笑みで答える愛那に、博希はますます赤くなる。女装どころか、パンチラから下半身露出、果てはオナニーまで撮影されてしまったのだ。
「それで提案なんですけど、あたし、新しくアルバムを作ろうと思うんです。可愛い女の子の格好をしたヒロの写真を保存した、アルバムを」
「あら、いいわねそれ。お母さんも、ヒロにもっともっと可愛いお洋服を着せてあげようと思ってたの。愛那ちゃんが撮影してくれるなら、願ったり叶ったりだわ」
「まぁ、素敵ですわ、お母様! くすっ、可愛いお洋服を用意してもらって、それを撮影されて、ヒロも嬉しいわよね?」
「う……うん」
博希は赤い顔で、小さくうなずいた。
「そうそう、せっかく2着あるんだから、これからは毎日女児服を着てちょうだいね」
「え……ず、ずっと、このジャンパースカートか、あのワンピースで……?」
「ええ。足りないようなら既製品を含めて買い足すし、外に出ろとは言わないから、うちの中だけでも、どう?」
「う、うん……」
家ではずっと、女装――想像するとまたドキドキして、赤くなりながら肯く博希。しかしいつしか羞恥より、喜びのほうが勝っていたのだった。
(続く)