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連載小説「女装強要妄想ノート」(14) (Pixiv Fanbox)

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3月第3週「勝負で負けた罰ゲームで女装させられる」   (4)  さらにファスナーを下ろし、襟の裏のスナップボタンも外すと、セーラー服の前側は完全に開く。まるで女子の服を脱がしているかのような錯覚に陥る行為であったが、実際にはこれから自分が着るのだとおもうと、かえってその方がドキドキする真弓だった。  袖を通して羽織り、ファスナーを上げて、スナップボタンを留めれば、 「これが、セーラー服……!」  思った以上に裾は短く、ともすればおへそが見えそうなほど。それでいてしっかりとした生地の重みが肩にかぶさってくるのは、独特の着心地であった。 「くすくすっ、嬉しそうね、真弓ちゃん。スカーフは後にして、先にスカートを穿いちゃいなさい」 「うん」  真弓は素直にうなずいて、スカートを手に取った。  ホックを外してファスナーを下ろし、足を通して、ファスナーを左脇に。迷いのないその様子に、 「へぇ、真弓ちゃん、ずいぶん慣れてるじゃん。もしかしてこっそり着てたの?」 「ち、違うって――お前が小さい頃は、よく着せてやってただろ」 「そうだっけ? まぁそれはそれとしても、初めての制服スカートで、もうちょっと恥ずかしそうにもじもじするかと期待してたのに」 「何を期待してたんだよ……いや、その、スカート穿いてない状態の方が、恥ずかしかったから……」 「あははっ、なるほどね。パンツに浮かんだおちんちんのふくらみを見られるほうが、兄ちゃんとしては恥ずかしいんだ」  あまりにも露骨な言い方に、真弓は真っ赤になってうつむく。  実のところプリーツスカートも、下着姿よりはマシなだけでまるで平気というわけではない。コスプレメイド服の頼りなさとは違う、車ひだによるずっしりとしたプリーツスカートの重み。丈は膝近くまであるため、肌の露出や下着を見られる心配がないからまだ安心――なのだが、ほんの少し体が動いただけでも大きく揺れて、太ももにまといつく。露出しているのとは逆方向で「スカートを穿いている」感覚が強かった。 「くすくすっ……ほら、お姉ちゃんがスカーフを結んであげるから、襟を立てて」 「それくらい、自分で――」 「いいから、お姉ちゃんに任せなさい」  どうやら亜弓は、姉のロールプレイがすっかりお気に召したらしい。  真弓も普段ならともかく、今こうして女子小学生の制服を着せられていては逆らうこともできず、 「うん」  「姉」に言われたとおり、後ろ髪を巻き込んで後頭部を覆うようにセーラー襟を立てた。 「スカーフを半分に折って、さらに折り返してから、襟の後ろに通すのよ。で、前で結んで――結び方も、本結びになるように注意してね」 「わかってるってば……」 「真弓ちゃんったら、ノリが悪いんだから。妹なんだからそこは『はい、亜弓お姉ちゃん』って返事するべきでしょ?」 「う……は、はい、お姉ちゃん……」  答えた瞬間、また一つ何か大事なものを失ったような気がする真弓。 しかし歩実はご満悦で、 「よろしい。うん、これで完成ね。襟を下ろしてちょうだい」 「う、うん……」  ついにスカーフも結ばれて、セーラー服を着終えた自分の姿を見下ろし、真弓は胸を圧迫されているかのような息苦しさを覚える。 セーラー襟と、プリーツスカートの重み。そしてその内側の、ブラジャーとショーツの締め付け。 仕上げに白のハイソックスを履けば―― 「いいじゃんいいじゃん! どこからどう見ても女子小学生! って感じ。あたしより似合ってるんじゃない?」 「そ、そんなことは……」  ないとは言い切れない。男前の顔立ちにショートカット、体つきも筋肉質な亜弓こそ、女子制服を着ていないと少年に間違えられることが多々あるのだ。男子制服を着ていないと女子に――いや、女児と思われがちな真弓とは対照的だ。  亜弓はウキウキで、 「ついでだし、女子小学生フルセット、装備してちょうだいね」 「ふ、フルセット……!?」  目を丸くする真弓の前に、「女子小学生フルセット」を並べ始めた  黄色い女子用の通学帽子と、「6ねん1くみ ささき あゆみ」と書かれた名札。  教科書の詰まった、赤いランドセル。隙間にはリコーダーいれば差し込まれ、肩ベルトには防犯ブザーもついている。 「う、ううっ……」  いかにも女子小学生の象徴のようなグッズを目の前に並べられて、真弓は表情をこわばらせた。   (続く)

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