4月の壁紙[2400px] (Pixiv Fanbox)
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フラット
ナイト
ドート
「解毒剤がこう、、、、さ」
満開の花をたくわえた木々の隣で男が微笑んでいる。
車椅子に座った男の後ろ、一人の女性は車椅子の後ろのグリップを握り、草木の間を縫うように続く石畳の上をゴロゴロ、ゴロゴロと進んでいく。
ゆるやかな登り坂に差し掛かったとき、男は急にうなりはじめた
「見えているんですね」
女性は優しく男に声をかける。
「ああ」
「あそこにいるんだ、あいつらが」
男は怯えている。
「続けて」
女性のやさしい声は少し鼻についている。
「僕は部屋の隅でガタガタ震えることしかできなかった。
俺の上で死んでいる男は敵意がない事を示し続けていた。
それでもなお、私達は《いないこと》にされていたのに。」
女性は男を抱きしめる。
「何が見えたの?」
「あいつらだ、女1人と男1人。僕を見ているよ。
僕のことをきっとすっごく恨んでいて、今も僕を覗きにきたんだ。」
男が指差す先、丘の向こうではきれいな花が顔をのぞかせている。
「詭弁もやがては真実となるわ」
「だったらもう少し自白剤をいれたらいい」
「これ以上は彼の身がもたない。今でさえ副作用がひどいのに」
「いいか、ああいうやつらはな」
「1錠増えたところで何も変わりはしないだろ」
4月3日
車椅子の男は未だ魚の夢を見ている。
彼はあの研究に関わった。あの研究にも関わった。
今度は彼の番だ。
ただそれだけである。
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今月もご支援をいただき誠にありがとうございます。
先日注文した画材が届きました。かなり扱いが難しいのですが別記事で落書きを早くあげたいです。
今月なにか発表があるかもしれません。