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魔王様の日記 (Pixiv Fanbox)

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下霞の月 28日 今日は、道端で人間の男を拾った。余の統治する領土で、それも余の城の近くで無警戒にうろつくなど言語道断だ。即刻配下に取り押さえさせて枷を嵌めてやった。 しかし、この人間はどこから現れたのだろうか。もしや、余を打ち倒す為に送られた勇者とか呼ばれるものなのだろうか。普通そういう者はこの魔界深くの城まで辿り着く前に他の魔族に娶られるため、この目ではまだ見たことがないのだが、なるほど確かに上質な魔力を秘めていて美味そうだ。しかし、こいつはやけに女神の力が篭った剣を持っていたが、余を見てもそれを鞘から抜こうともしなかった。そんな大仰な剣を持っておいて、何故使わなかったのかは分からぬが、そのあたりは尋問でもすれば分かる事だろう。まあ、そんな物を振られても傷一つ付かぬだろうが。 さて、余の城にほど近い場所を、よもや聖剣などを持ちながら闊歩しているという事で、本来なら処刑でもするのが道理なのだろうが、人間に対してそんな事が出来るはずもない。が、かといって放置する訳にもいかぬ。仕方がないので連れて帰る事にした。 連れ帰る時に人間はかなり怯えた様子で、泣き出しそうな顔をしていた。それを見た配下は必死にあやそうとしていたが、そんな事は必要ないと睨んでやると、かなり不満げな顔をしつつも棒付き飴を懐にしまった。そんな物をどこから取り出したのだろうか。大方空間接続魔法を使ったのだろうが、人間を泣き止ませるためだけにそのような大魔法を使うとはなんとも戯けた奴らだ。 さて、人間の処遇だが、所属やあのような場所に居た目的を聞き出すために尋問をしなくてはならない。適当な配下に任せて牢屋にでも閉じ込めておけばよいのだろうが、どうせ奴らは人間を甘やかす。尋問どころか質問にもならないだろう。なので、余の部屋にとりあえず連れ帰り、奴隷として飼う事にした。人間を奴隷として飼う魔王は例外なく堕落すると言われているが、下らない迷信だ。そんなものを信じるほど余は愚かではない。 人間に、まず間違いなく死ぬまでお前は余の奴隷として生きる事になるだろうと、そう伝えるといよいよ青ざめて泣き出してしまったが、やはり泣かれると余としても少々弱い。人間というものはどうしてこうもか弱くて可愛いのかが分からぬ。とりあえずは気が済むまでそうしていろと伝え、執務に戻ることにした。 しかし、こうして人間を間近で観察すると、やはり人間は可愛くてかなわぬなと思う。配下のように魔物としての本分を忘れ、人間をひたすら甘やかして可愛がるだけにならないようにしなくては。まあ、魔物は放任主義であるし、平和な魔界では余の仕事は多くないので、別に人間にかまけて仕事をほっぽらかしても何か特別に不都合がある訳でもないのだが。 下霞の月 29日 奴隷にした人間だが、執務から帰ると居心地悪そうに地べたのカーペットに座っていた。ソファーに勝手に座るのは良くないと判断したのだろう。愚かな人間にしては、中々立場を弁えた奴だ。気をよくしたので、今日からはそこのソファーなら使ってもよいと言ってやると、少しだけはにかんで余に感謝を伝えてきた。その後はしばらく地べたに座ったままソファーをちらちらと見つつ、余が何も言わぬと確認すると恐る恐るソファーに座っていた。 なるほど、人間とはかくも可愛げのあるものなのか。率直に言って、見ていてかなり気分がよい。余の事をある程度恐れ敬いつつ、適当に図々しいのがいい。配下が余を畏れるような態度とはまた違う、いかにも人間らしくおどおどとした態度は見ていて胸がすくような感覚だ。 人間は魔物にもよく懐くと聞くが、こやつも余に懐いたりするのだろうか。菓子でも与えてみるか? 人間はソファーの上で膝を抱えながら持て余したように座り──人間は小さいので、魔族の中でも身長の大きな余に合わせて作られたソファーは少々大きすぎたようだ。小動物じみている──しばらく余を見ながらじっとしていたが、いつまでも放っておく訳にもいかない。余は人間の隣に座り、尋問を開始する事にした。 結論から言うと、人間への尋問は拍子抜けするほど簡単に終わった。こちらの質問には特に反抗することも無く答える上、そもそも魔術への耐性が全くない為、心の中で何を考えているかも読心の魔術であけすけに見えるのだ。無防備な奴である。 こやつはどうも田舎の生まれで、戦闘の知識や腕も全くない、清々しいほどの一般市民らしい。早くに親を亡くして孤児院で育てられ、これから独り立ちというところだったそうだ。それが突然女神の啓示とやらを受けて勇者に仕立て上げられ、聖剣を持たせられた後にろくな説明も受けず、気付けば瞬間移動の魔術で余の城の周辺に放り出されたという事だ。 これらの事は質問すれば嘘偽りなく答えた。こやつはいかにも純朴で嘘をつくという発想もないようだが、尋問の必要が無くて楽でいい。頭を撫でてやると嬉しそうにしていた。本当に小動物のような奴だ。 こやつは確かに戦闘能力が全くなく、驚くべき事に鉄どころか岩すらも砕けないらしい。そんなに無力で生きていけるのかと不安にすらなるほど弱く、魔族に傷など一つも付けられないのは明白である。しかし、聖剣を持たせられているという事は、つまりそいつが勇者である事の証明であり、人間側からの宣戦布告である。これは我々も魔族として無視する訳にもいかない。 通常は勇者というものは自然発生する確率は極端に低く、数十年に一人居れば多い方である。それとは別に、女神からの啓示で勇者として後天的に覚醒する場合があるが、これは世界に10人しか同時に存在する事ができない。逆に言うと、勇者が死んだ(今までそんな事例は存在しないが)時や、勇者が魔族にエナジードレインの搾精を受けて勇者の力を吸われた(今までの勇者は全てこのパターンでやられている)時には他の人間が勇者になれるという事でもある。 別に勇者によって我々魔族が害される事はないが、一応人間と魔族は形式上の敵対関係にあるため、人間軍の尖兵となる勇者は倒さねばならない。そして、勇者の力を研究するため、出来れば生け捕りにしたい。いや、正確には生け捕りにした後に我慢できず搾精してしまって勇者の力を吸い出さないような理性の強い魔物に生け捕りにさせたい。我々魔族がそう考えている事は人間側も知っているはずなので、こやつは言ってしまえば生贄のようなものなのだろう。勇者はくれてやるからしばらく侵攻してくれるなという政治的な交渉材料にされたに違いない。哀れな奴だ。 今日分かったのはこれくらいだが、あまり一日で多くの事を聞いても人間には負担になるだろう。人間はストレスにひどく弱く、体も予想を遥かに超えて軟弱だと聞く。この日は尋問をこれで終えて、飯を食わせてソファーで寝かせてやった。故郷のベッドよりもふかふかだと喜んでいた。本当に可愛げのある奴だ。媚びているのだろうか。 下霞の月 30日 余が目を覚まして奴隷の様子を見ると、奴はまだすやすやと眠りこけていた。主人たる余よりも遅く起きるとは何事だ……と思うより先に庇護欲のようなものが湧き、もう少し寝かせてやるかとはだけた布団を直して、先に余の着替えを済ませた。我ながら少し甘いだろうか。しかし、こやつの幸せそうで無防備な寝顔を見るとどうも起こす気にはなれぬ。冷血無比たる余にここまで情を抱かせるとは、恐ろしい奴だ。 奴が起きた後は、共に朝食を摂った。奴はひ弱な人間であるから、三食きちんと摂らせねばならぬ。しかし、奴は奴隷であり、余は主人であるから、同じテーブルで食べる訳ではないし同じ食事内容でもない。余が豪勢な朝食を食べた後、奴は小さな奴隷用のテーブルでみすぼらしい食事を食べるのだ。 とはいえ、奴にとってはこの小さくて粗末なテーブルでも豪華に見えているようであるし、むしろ余の使っている家具は大きすぎるため、こちらの方が体格に会っていて使いやすいとすら思っているようだ。それに、食事の内容にも随分と喜んでいた。しきりに余に感謝しながら急いで頬張るので、喉に詰まらせないかハラハラしたものだ。チョコレートのクロワッサンとバターとジャムと葡萄のジュースだけの朝食がそんなに嬉しいのだろうか。喜色満面といった顔であった。 なんと言うか、こう、こやつを見ていると心の奥の柔らかくて敏感な部分を擽られるような心地だ。何でも喜ぶから世話のし甲斐があるし、仔犬のように見るからに懐きやすそうであるし、何か甘やかしたくなる本能が掻き立てられる。これは確かに人間の魔性だ。これを跳ね除けるのは魔族にとっては中々酷であろう。聞くところによると、あまりに愛おしく思い過ぎて人間の奴隷を情夫のように使ったり、あるいはこちらから悦ばせるように愛してやったり、あまつさえ結婚までする魔族も相当数居るそうだが、そんな事は言語道断である。 そう、余は魔王である。恐怖の象徴、そして絶対的強者でなくてはならぬ。人間に惚けて力を削ぐなどあってはならない。努めて心を鬼にしてこやつには接しようと思う。 ところで、人間には間食が必要と聞く。棒付き飴を拵えてきたのだが、食べるだろうか。 上焔の月 1日 そう言えば昨日は尋問をしていなかった事に気がつく。奴に飴を渡したら大層喜び、にこにこと頬を綻ばせていたが、それが悪い。思わず奴を膝の上に乗せ、頭を撫でくりまわしていたら一日が終わっていた。時空魔術の攻撃を受けたのかと思ったが、奴を撫で回す事に夢中になっていただけのようだ。この余にここまで牙を折らせるとは何とも恐ろしい。奴を膝の上に乗せて撫で回すのはこれで最後……いや、2日に1回2時間のみにする。 さて、昨日はすっぽかしてしまったので、今日こそは尋問をしなければならない。早速奴の警戒心を解き、嘘偽りなく答えさせるために膝の上に乗せてやり、なるだけ猫なで声で頭を撫でて質問してやる。 ちなみに、これは尋問のために必要な事であるため、前述の2日に1回というカウントには入らない。 尋問するとはいえ、こいつは何も知らないのではっきり言ってあまり聞くことも無かったが、一応好きな食べ物でも聞いておいた。甘いものが好きらしい。棒付き飴は無駄ではなかったようだ。 尋問に素直に答えられた褒美として、今日はバターたっぷりのクッキーを与えた。本当は余が執務の合間に食べるための間食であったが、まあ、たくさんあるし構わぬ。 与えるとリスのように両手で持ってサクサクと頬張っていた。余の膝の上で食べていたので欠片がぽろぽろと落ちていたが、それもまた愛嬌である。その程度で怒るほど余は狭量ではないという事だ。 そう言えば、尋問をしていない時は奴隷を放し飼いにしているが、少し退屈そうにしている。膝の上に乗せて執務している時は構ってやれるから良いのだが、余は魔王という立場もあるから会議などで席を外す事も少なくはない。魔族の言語で書かれた本は読めないだろうから、何を与えようか。こやつはまだ小さいから玩具が良いだろうか?検討の余地有り。 上焔の月 2日 起床すると同時に奴隷の寝顔を眺める。実に無防備な寝姿で、余に寝込みを襲われるなどと微塵も考えていないのだろうと容易に理解できる。この寝顔を朝から見ると実に和やかな気分になり、精神衛生上大変良いため、日課にする事をここに決めておく。毎日一時間ほど眺めようか。 ところで、そろそろ奴隷をソファーで寝かせるのも何となく心苦しいものがある。今度からは余のベッドで共寝でもさせてやろうか。人間は体が弱いからしっかり暖かくして眠らないとすぐに病気になると聞く。ソファーで眠っている時も上等な布団を掛けてやってはいたが、やはり人肌の温もりが一番よいだろう。奴隷は幼い頃の甘えたい盛りに親を亡くしていたそうだから寂しい思いもしているはずだ。奴は大人しくしているし、余が直々に慈悲を与えてやってもよい。 なお、これは決して可愛いから甘やかしている訳ではない事は明記しておく。……これはただ余が見るだけの日記だから、こんな事を書いたところで誰に文句を言われる訳でもなし、弁解する必要も無いか。 そう言えば奴の事は奴隷という立場にしてはいるものの、何かをさせている訳でもないという事に気が付いた。奴隷と言えば余が絶対的な主導権を握っているように聞こえるものの、何もさせなければただの穀潰しになり、余が一方的に飯を与えているだけという事になる。何か役割を与えてやらねば。 魔族が人間を奴隷にする理由は専ら愛玩するためだが、こやつはどうしてくれようか。労働奴隷にはさせられないし、やはり愛玩奴隷にでもしてやろう。あの小動物はペット程度が丁度よい。 という事で、これからは奴隷として役割を与えるため、毎日奴を腕の中に抱いたり、頬を撫でたりもちもちしたりする事にした。もちろん眠る時は抱き枕だ。繰り返すがこれは役割を与えるためであり、甘やかしている訳ではない。よって、2日に1回だけ膝の上に乗せてよいというルールは廃止する。 こやつは本当に抱くのに丁度よい。ぬいぐるみのようなサイズ感で胸の中にすっぽり収まるし、ほかほかと暖かいので抱いていて非常に心地よい。頬も柔らかいし小さくて可愛らしいし頭も丸っこくて撫でやすい。百点満点の愛玩奴隷だ。無限に甘やかして……いや、愛玩してやれる。やはりこやつは愛玩奴隷がぴったりだ。これからもそうしてやる事にする。 しかし、こうして抱いてやっても大人しくじっとしている、いや、それどころか嬉しそうな顔で甘えてくるというのは驚異的な人懐っこさだ。ペンギンでももう少し警戒心があるというものである。こんな間抜けでは外に出たらすぐに騙されてしまうだろう。余がしっかり見てやらねば。 上焔の月 3日 昨日から奴を抱き枕にして眠る事にしたが、とても良い。毎日やる。奴を招き入れた日からすべきだった。反省する。 奴を胸に抱いて眠ると、大変心が落ち着く。なんと言うか、いい匂いがする。懸念事項として、しっかり抱くと奴の頭が余の胸に挟まる事になるが、嫌がってはいなかったのでまあよいだろう。苦しくないとよいのだが。 それから、食事の時も余の膝の上に乗せて、余の食事を少し分けてやる事にした。余が手ずから食事を与えて、それを雛鳥のように食べるのを眺めるのが楽しいからである。結果的に奴隷の立場でありながら余と同じテーブルで、余と同じ食事をさせる事になるが、まあ別に構わぬ。その程度で気を悪くしたりはしない。そんな事よりも、明日からはあやつの好物を多めにするように料理人に言いつけておくのを忘れないようにしなければ。 さて、今日は直属の配下を集め、会議を行った。内容は、人間が喜ぶ玩具についてだ。その内容のため、呼び集めたのは人間の奴隷(または伴侶や恋人、拗らせた者だと息子や兄弟としている者も居るが、ここは呼び方や扱いの違いなので構わない)を所有している者に限った。 普段の会議ではやる気の"や"の字も出さないような奴らだが、余が議題を発表すると目を爛々と輝かせて様々な意見が飛び交った。かなり身のある会議となったので、普段の会議もこれくらい進むとよいのだが、と零したら目を背けられた。戯けた奴らだ。 ここに会議で出たアイデアを書き留めておく。 人間用に翻訳した本→本を読む文化が無い場合はあまり複雑な本だと取っ付きづらい。普段読んでいる魔術の専門書などは論外。余が書いた魔術の論文を読んでほしい気持ちもあるが、魔術は人間にとって馴染みがないから興味を抱かれるとは思いにくい。諦めるしかないか。後々どんな本を与えるかの会議も行いたい。 人間用にチューニングした魔法石→人間でも簡単に魔術が使えるという点では良いが、手からちょっと火を出せるくらいのものが果たして喜ばれるだろうか?人間は魔術に憧れるというが、もっと楽しげなものや派手なものの方が良いだろうか。例えば自分で花火のような光を自由に出せるものなどは取っ付きやすいと思われる。要検討。 人間用の玩具(トランプやチェスなど)→やはり人間には人間用の玩具が合っているという意見は最もである。しかし、例に挙がったものは二人ないし多人数で遊ぶものが多いように思われる。今回のコンセプトは余が不在の時に人間が一人で退屈を潰すというものなので、適当ではないかも知れない。やはり人間は誰かと遊びたいものなのだろうか。余が居る時は付き合ってやってもよいが、その時はかなり手加減してやらねばならないという懸念もある。保留。 世話係のゴーレム→確かに適当に遊び相手として互角に成立するくらいの知能にセットしたものを置いておけば、人間も適当に暇を潰せるし寂しくもないだろう。これなら二人で遊ぶチェスなども遊べる。しかし、ゴーレムは女型ばかりであるから、それに対して愛着を持たれると何となく癪である。あくまで主人として懐かれるのは余であるため、ゴーレムにそれを奪われるのは気に触るという事だ。不採用。 楽器や料理道具などの趣味のもの→趣味は暇を潰すにはもってこいであるため、中々よい。が、熱中しすぎて余が蔑ろにされる可能性が拭えない。そこだけ気を付ければ、成果物を余に見せてくれる事もあるだろうからかなり良い選択肢と言える。手作りのお菓子などを手渡してくれると考えると今から心が躍ってしまう。採用。 上焔の月 5日 一昨日会議を行って疲れたので、昨日は一日休みをとった。どうせ魔族なんてはなから他人の言う事を聞かない奴らだから、余がサボったところで大した影響もない。そもそも魔族に政治などほとんど無く、それぞれ好き勝手に暮らしている。そう考えると、社会性を重んじる人間を纏める王と違って、魔王というものは気楽である。 という事で、昨日はベッドに寝転び、ひたすら奴隷を可愛がってやった。奴はどうも抱きしめられるのが好きらしい。余の肉体や美貌の魅力に骨抜きにされ、蕩けきっていた。淫魔の身体に男が触れるとどうしようもなく魅了されて、言いようもなく惚れきってしまうと言うが、余の身体もそういうものなのだろうか。そう言えば、奴を胸の中にしまい込んでやると完全に恍惚の極みのような顔をして蕩けていたので、きっとそういうものなのだろう。そもそも余は寝る時は裸だ。それも作用しているのだろうと推測する。自慢であるが、余の肌はすべすべのもち肌であるし、身体はむちむちと豊満で、しかもくびれている所はくびれていてスタイルも完璧だ。ただの人間、それも童貞の男に魅了されるなという方が酷であろう。奴隷にそういう目を向けられるのも中々どうして気分はいいものだ。寛大な心で許してやる事にした。 さて、奴隷を悦ばせてやったところで、今日はちょっと執務を……と思ったが、蕩ける人間があまりにも可愛らしいので、今日も人間を甘やかす……いや、愛でる事にした。 ところで、恋仲でなくともキスくらいはしても良いのだろうか。頬にキスする程度なら構わぬと思うが、口に舌を捩じ込む深いものは駄目だろうか。……誰も見ておらぬか。こやつもどうせ拒まぬし、ちょっと口を嫐る程度は良いだろう。 執務は……まあ、そもそも急を要するようなものなら許可もなく現地の魔族が勝手にやっている。2日サボったくらいで何かが変わる事もあるまい。そもそも大した執務もないので問題は全くない。今日もたっぷり奴隷を甘やかし尽くして可愛がってやる。愛玩奴隷なのだからきっちりと役割を果たして貰わねば。 上焔の月 9日 さて、結論から言おう。 奴隷をベッドの上でいたぶり愛した。めちゃくちゃにした。3日、いや、4日ぶっ通しでした。邪魔が来ないよう結界も張ってやった。ベッドの上で蕩けて絶頂する奴隷が可愛すぎるからついついやり過ぎてしまったのだ。 そもそも、余が裸体を晒して寝転んでいるだけでも奴はかなり興奮していたようで、共寝をしている時も必死に可愛らしい男根を隆起させていた。その上で肉付いて太く真っ白で滑りのよい太ももを絡めていたり、奴の頭よりもずっと大きな胸で顔を挟み込んでたぷたぷと揺すって愛撫したり、匂いを脳に染み付けたりしてやったり、あるいは揉ませてやったり吸わせてやったりもしたので、とうとう興奮で吐精してしまったのだ。そのあまりに情けない顔と漏れ出すような喘ぎに、何か魔族としての本能が刺激されて、もう居ても立ってもいられないような心地になり、そしてそれを解消するにはこやつを甘やかしながら射精させるしかないと思ったのだ。 という事で、それはそれは飽きるほども射精させてやった。実際には飽きる事など余も奴隷も無いのだが、それは言葉の綾というものだ。 まずは、前々から思っていたようにキスをしてやった。口を深く重ね、啜るように吸いながら、何度も何度もしつこく口内をねぶり尽くす。そうすると、目を白黒させながら呆気なく絶頂するのだから堪らぬ。弱弱しく痙攣しながら腰を突き上げて空吐精する姿は、どうにも心の弱い部分を擽ってやまない。いい子いい子と頭を撫でながら、舌だけは蛞蝓のようにいやらしく、しかし甘く口付けのままに絶頂を重ねさせる。 愉しくて愉しくて、あるいは可愛くて可愛くて、愛おしくて愛おしくて、永久にでもやっていられる。そう思うと同時に、聡明なる余はこのままでは本当に永久に続けてしまうと気付いてしまった……が、まあ、その時はその時である。別にそこまで困りはしないだろう。すぐにそんな思考を外に追いやって、気にせず続行する事にした。奴隷を愛するのに邪魔な思考はどんどん追い出すべきである。 あとは、太ももでむっちりと挟み、その肉の重量に任せて奴隷の好きなように腰を振らせてやったりもした。そうさせながら、ぎゅっと奴隷の頭を胸に掻き抱き、深い谷間に頭を埋めさせて、しっかり甘やかしながら甘えさせる。すると、奴隷は狂喜して腰をへこへことへっぴり腰で振りながら、肉棒の赴くまま快楽を貪ろうとして、太ももの肉が奴隷の腰にぶつかりぶるんぶるんと揺れる。その時のいかにも余裕の無さそうな、児戯にも等しいような腰振りが堪らなく愛らしくて本当にかなわぬ。そうしてより深く頭を抱いてやると、より情けなく吐精するから人間というものは実に愛玩動物なのだと実感してしまった。 奴隷は余の胸を特に気に入っているようなので、もちろんパイズリもしてやった。奴の可愛らしい肉棒を胸で挟んでやると、すぐに恍惚に塗れた甲高い生娘のような喘ぎ声を漏らしながら、とぷとぷと精を漏らす。本当に弱い奴だ。人間の軟弱で勢いのない精が、いかにも漏らすという言葉が適切な勢いで吐き捨てられ、余の深い谷間から溢れる事もなく溜まるのは実によい心地である。締めたり緩めたり、互い違いに捏ねたり上下に揺らして腰を叩いたり、様々な方法で射精させたが、ただ胸で挟んでゆるゆると揉みしだき、本当に漏らすような甘やかしに甘やかした吐精が気に入ったようだ。喘ぎが覚束なくなるまで50度ほどそうして射精させた。 ……と、他にも口や尻肉の谷間、手や足裏など、射精させた事を事細かに書けばキリがないため割愛するが、人間をこうしてひたすらに甘やかして蕩けさせて射精させるのは何にも替え難い喜びがある事がよく分かった。人間を甘やかして業務をすっぽかすなど許されぬ事だと思っていたが、これからは配下のサボタージュも大目に見る事にする。これは我慢がどうとかいう話ではない。仕方がない事だ。あえて言うならば人間が可愛いのが全ての元凶と言えるだろう。この魔王たる余にここまで言わせるとは、本当に底知れぬ奴だ。 と、ここまで長々と奴隷を甘やかした事を書いたが、流石に処女は捧げていないという事をここに明記しておく。 処女を捧げる相手というのは、愛する者であり、尚且つ強くて優秀な遺伝子を持つ強者でなければならない。愛しているという部分はまあ構わないにしろ、魔王たる余が結婚する相手がひ弱で軟弱な人間というのは少しばかりいただけない。余が奴隷の人間が好きすぎるあまりに結婚までして、そのまま孕んだ拗らせ魔族であると知られれば、配下に示しがつかない。いや、奴隷に全く罪はないし、何か文句を言われれば余が直々に叩き潰すのだが……じゃあ良いのか?いやいや……うーむ……。 しかし、余と奴隷の子供か……可愛いし聡明な子になるのだろうな。顔が綻んでしまう。 上焔の月 17日 単刀直入に言う。 もう堪えられなくてセックスした。一週間くらい続けてした。蕩けて意識が朦朧としている間に結婚すると言質も取った。魔王たる余から逃げられると思うな。 そもそもの話として、正直に言うとあやつの事は完全に愛玩奴隷として見ていたからすっかり忘れていたが、あやつは元はと言えば女神に直々に啓示を受けた勇者である。勇者というものはそれだけで強者と言えるであろう。人間の遺伝子は確かに弱いものだが、それを取り込むメリットも確かにあるし、それが勇者のものであれば尚更よい。つまり、余が奴隷と結婚して子を孕む事は何ら問題がない。あるはずがない。なるほど、今から考えれば何も悩む事は無かったのか。 つまり、余が弱者である人間を押し倒して、その細い腕や華奢な首筋を見て、その見ただけで分かる被捕食者ぶりを感じながら、ハメ潰すような杭打ちピストンをしてぞくぞくと背徳感を感じる必要も無かった訳である。考えてみれば拍子抜けだ。こんなにも簡単なロジックに気づかないとは、余も冷静ではなかったという事か。 さて、人間とのセックスであるが。 非常に、これ以上なく、究極的に、最高に良かった。 あやつはお世辞にも男らしいと言えるような腰振りは出来なかったし、奴の肉棒も身体相応のサイズであるため、余の子宮口までも届かないほどであった。しかし、それを補って余りあるほどに、可愛かった。愛くるしかった。愛おしかった。思い出すだけで胸が苦しくなる。 余のあやつと比べれば倍ほどの幅がある尻肉に必死に腰を打ち付け、好き好きとしきりに叫ぶ姿は、いっそ凶悪なほど可愛かった。愛らしさの殺人兵器である。聖剣よりもよっぽど強い。 おかげで余も幸せな気分で行為に励む事が出来たし、あやつを鳴かせるために自ら腰を振りたくったりもした。あやつは随分といい声で鳴く。おかげでどうしてもいたぶってやりたくなる。全く、本当に魔族の嗜虐心を煽る天才のような奴だ。 杭打ちピストンの他にも様々ないたぶり方をしたが、その中でも覆いかぶさって奴の身体を全て余の肉で包み、肉の中でとめどなく果てさせるのはかなり好みだ。奴に全く逃れる手段がなく、なされるがままに吐精するしかないのがよい。10度ほども射精させると、流石に快楽が強すぎて抵抗しようとしてくるが、細腕でくにくにと余の胴を、マシュマロを潰した時ほどの反発力で押し上げようとするのには参ってしまう。あまりにも可愛すぎる。あれを本気でやっているのだから、本当に愛おしい奴だ。 さて、そんなこんなで奴は正式に余の伴侶とする事になった。そのうち結婚式でも挙式しようと思う。どれもこれも、あやつが可愛いのが悪い。 正式に結婚したら、あやつは奴隷ではなくなる故、もう少しまともな暮らしを保証してやらねばならないだろう。 例えば、食事は余と同じものにして、余と同じテーブルにするとか。 余が食べるように間食を食べさせたりだとか。 余が居らぬ時は、暇を潰せるように趣味の物を与えてみたりだとか。 余と同じベッドで、愛するように抱き合って眠るとか。 …………あれ、普段と変わらない、か? ……これは、もしかして、もしかしての仮説なのだが。 いや、ほとんど有り得ないような、にわかには信じられない話なのだが。 もしかして、もしかすると。 余は、元から人間を甘やかしていたのだろうか……?

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