とある街に入ったら (Pixiv Fanbox)
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すべての始まりは、家族旅行の最中のことだった。
運転席にはお母さんがハンドルを握り、ぼくと妹は後部座席に並んで座る月に一度の日帰り旅行。その行きの車のなかで、ふと外の景色がズレているような違和感を覚えた直後、ぼくは強烈な眩暈を感じて目を閉じた。
「うっ……」
全身が捻じ曲がるような、強烈な酩酊感と、嘔吐感。口元を押さえて呼吸を整えることしばし、気付けばあっという間に気持ち悪さはなくなった。
いったいなんだったんだ、いまのは。
乗り物酔いとは明らかに違う体調の変化に戸惑いながら、それでもようやく目を開けたぼくは――眩暈のことなど吹き飛ぶほどの光景に絶句した。
――ぼくの体は、一変していた。
170センチあった元の体から、50センチほどは短いだろう、一気に視点が低くなった背丈。
それでいて、両胸には身長には不相応なサイズと重量感のある乳房が、たわわに実っている。
着ているのは小学生の妹の制服に似ていたが、胸のところは大きく開いて乳房がこぼれ、短すぎるスカートは太ももの付け根すら隠せていない。露出狂が着るような、いや、もはやいったいどこの誰がデザインして作ったのかもわからないような、破廉恥極まる服装だ。
おまけに――胸は両手に余るほどの乳房がせり出しているくせに、股間からは無毛の、そこだけは(認めるのは悔しいけど)もとより立派な陰茎が屹立していて、少年とも少女とも、男とも女ともつかない、あまりいも非現実的な体になっている。
「な、なにこれっ!?」
思わず大声で叫ぶと、後部座席にぼくと並んで座っていた妹のユウナが、驚いたように振り返る。
「どうしたの、トオルお兄ちゃん?」
きょとんと訊き返すユウナ。
なにも変なことはないような表情だが、そのユウナもぼくと同じような「制服」で、乳首と陰部――無毛の割れ目が、丸出しになっている。
「ど、どうしたって、ユウナ、お前も……!」
「ん? トオルお兄ちゃんったら、変なの。それよりもお兄ちゃんってば、またおちんちんおっきくしちゃって……ユウナがちっちゃくしてあげるから、じっとしててね」
そういうと、ユウナはあろうことかぼくの膝の上に跨ると、何の躊躇もなくぼくの屹立を飲みこむように腰を下ろした。