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連載小説「女装強要妄想ノート」(13) (Pixiv Fanbox)

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3月第3週「勝負で負けた罰ゲームで女装させられる」   (3) 「まずはカップの内側が胸に当たるように考えて――」  亜弓はそう言いながら、ブラジャーのカップの部分を、兄の胸に押し当てる。  左右の胸に一つずつ、柔らかな円弧のラインがお椀のように当たると、そこにあるはずのない胸を支えられてでもいるかのような錯覚があって、真弓は胸のうちを高鳴らせる。 「本当はちゃんとアンダーバストとトップバストを測って、ぴったりとしたブラジャーを買わなくちゃいけないんだけど、まぁ今回はあたしので充分ね。そのうちちゃんとしたショップで、真弓ちゃん用のブラを選んでもらいましょ」 「しょ、ショップで……!?」 「あははっ、確かノートにもあったよね。『妹と一緒に自分も女子用の下着を買わされる』だったっけ? ま、そのうちママが実現してくれるだろうから、今はそれで我慢しなさい」 「い、いいよ、そんな……!」 「素直じゃないんだから。それとも、ムリヤリされるってシチュエーションの方がいいからかな? 真弓ちゃんったら複雑なお年頃ねぇ」  言い当てられて、真弓はさらに赤くなる。 「話を戻すと、カップの向きを確認したら、ストラップのわっかに腕を通して――そうそう、あとは捻じれないように気を付けながら、背中のホックを留めてやれば……」 「うっ……!」  男子には無縁で未知の締め付けが、胸回りと肩に食い込んで、真弓は思わず背筋を伸ばす。見下ろせば、胸元にブラのカップが当たっているのが見えたが、中はとうぜんからっぽで、薄い胸板もブラの内側も、完全に見えてしまっている。 「うっ、スカスカになってる……」 「んー? ま、男子だもんね。おっぱいがないのが、残念?」 「い、いやっ、そういうわけじゃ――」 「だったらー、お姉ちゃんが、マッサージしてあげよっか? おっぱいの大きさに悩む可愛い妹に、大きくなるマッサージを」  そう言って指をワキワキさせ始めた「姉」に、失言を悟った真弓は大慌てで首を振り、 「だから、違うったら――あぁっ!」  言い訳するが、もはや後の祭り。  電光石火で背後に回った亜弓に両胸をつかまれ、周囲の肉を寄せてあげるように揉みしだかれて、真弓はたちまち悲鳴を上げた。 「や、やめっ、ん、あっ……!」  甘い悲鳴を上げながら身をよじり、何とか亜弓の手から逃げようとするが、彼女の手は吸盤でもついているかのように「妹」の胸から離れない。 「くすくすっ、可愛く喘いでくれちゃって、本当に妹相手にいたずらしてる気分になってきちゃった。これからは毎日、お姉ちゃんがおっぱいマッサージしてあげるね」 「い、いらないから、あ、あぁっ……!」  亜弓に激しく胸を揉まれ、真弓はついに軽い絶頂に達して、そのままペタンと床にくずおれてしまう。怪我の功名で亜弓の魔手から逃れることに成功したものの、脱力感から身動きも取れずに、胸元を押さえて荒い息をつき続けるばかりだ。 「はぁっ、はぁっ……」 「あははっ、なんだか痴漢されてイっちゃったみたいで、すっごくえっち」 「ち、痴漢はほとんどその通りじゃないか……!」 「イっちゃったのもほんとでしょ? ま、おっぱいの話はあとにして、本命に取り掛かってちょうだい」 「い、イってないから……!」 「そんな赤い顔で、喘ぎながら言われても説得力ないわよ、真弓ちゃん」  くすくす笑いつつ、妹は壁にかかった自分の制服を下ろす。  紺地に赤いラインが入った、冬物のセーラー服。ハンガーから外してベッドの上に並べると、 「ほら、いつまでも座り込んでないで、ちゃんと着てちょうだい、真弓ちゃん」 「うん……」  真弓は大きく深呼吸すると、気を取り直して立ち上がり、改めてセーラー服を見下ろす。 (本当に、オレが、妹の制服を――)  心ひそかに憧れていた妹の制服。いったい何度、着せられる妄想をして抜いたかわからないそれが、いま目の前にあり、しかも着るように「命令」されている――あまりにも夢見た通りのシチュエーションに、心臓がドラムのように鳴り響く。 「くすくすっ、さ、遠慮しないで――じゃなかった、さっさとあたしの制服を着なさい。これは罰ゲームなんだから、ね」  妹はもう、これ以上は手出しせずとも大丈夫と判断してか、チェアに脚を組んで座り、腕も組んで鑑賞モードに入っていた。 「……………………」  「罰ゲーム」と言われては、是非もない。  真弓はベッドの上のセーラー服を手に取って、まずはその前に結ばれているスカーフをほどいてゆくのだった。   (続く)

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